39 / 154
39.拒絶できるということ
「そう思って、オレに捨てられるって思ったの?」
「そういう可能性もある。ということに今さら気付いたんだ。傲慢にも程がある。
俺が凛を離すことはないから大丈夫だって、ずっと一緒に居られるって、当然のように思っていた。冴さんのように、凛が俺を拒絶できるということをわかっていなかったんだ。
ハッとした。高梨くんとの会議も思い返してみたら、呆れる程の馬鹿さだ。自分の考えを、疑うこともしていない。凛が俺を受け入れてくれて有頂天だった。
だが、凛はいつでも俺を捨てることができるんだ。そんなことにも考えが及ばないなんて、なんて傲慢で浅はかで、馬鹿なんだ、俺は。『運命』と結ばれて、浮かれてるただの馬鹿だったんだ。凛と相談して決めたって思っていたがそうではない。俺は、色々勝手に決めてしまっていたな。すまなかった、凛」
京利は、そこでオレをぎゅっと抱きしめた。
その腕からオレは抜け出して、膝から降りて、正面のソファに一人座った。京利を見据える。
「凛…?」
京利は、離れたオレを泣きそうな顔で見ている。
「京利、オレ怒った」
つーん、ってして横を向いた。
「凛っ!全て俺が悪い。許してくれ」
「もうっ!全然わかってない。オレが京利を捨てるって?!信じらんない!そんなことがあり得るって思ってんなら、番になったりしない。
先のことなんて誰がわかるっていうんだよ!そんな未来のことを考えている暇があったら、お互いを想って、それこそ飽きられないようにいつまでも努力をしていこうよ。単に自分の振る舞いを無理して良くするとか、そういうことではなくてさ。
お互いのことを愛して、慈しんで、尊んで、協力して、話し合って、ぶつかって、仲直りして、いつまでもそんな感じで生きていけばいいんじゃないのかよ。
なんだよ!オレが京利を捨てる可能性もある?!
なんで、なんでそんな悲しいことを言うんだよ。オレは、自信満々で、何でも先走って決めちゃって、極上な甘さで包んでくれる優しい京利が大好きなんだよ!
もしかしたら、オレ達の赤ちゃんが来てくれたかもしれないってのに!ばかばか!京利のばか野郎っ!
これから先、今のように後ろ向きな京利のままなら、捨てるよ。それだけはわかってて。さあ、京利どうする?全て俺が悪い?」
えっなにその顔!泣いてるならまだしも。
「凛!」
オレを呼びながら、オレの座ってる一人掛けソファにやってくる。足元に騎士のように片膝を立てて跪く。
いやいやカッコいいけど、今、オレ怒ってるから。それでも、京利は関係無しにオレの手を両手で握ってくる。だから、なんなんだよ!そのキラキラした顔は。蜂蜜色の瞳が眩しいんだよ!つーん。
「凛、俺は何も間違っていなかったんだ」
へ?
「俺は、凛という宝物を手に入れた。この拡大し続けるという広い宇宙で、凛という宇宙一可愛くて美しくて強い、最高に素晴らしい『運命』をたった20年とそこいらで見つけだし、この度、晴れて結ばれて『運命の番』になることができた。
そして、なんと俺達は、愛しあっている!俺の功績と快挙は、四ノ宮家で未来永劫、語り継がれていくだろう。凛!俺は、なんとしても、なんとしても、凛を大切にすることを俺の魂にかけて、ここに誓う。
ほっほんどうに、あり、がとう…凛、いっじょにあゆんでいぎたい。どうか、よろしく、おねがいちま、す…」
京利の名誉のために、ぎゃん泣きしてることはさておき、さえたんがオレ達を心配してお話ししてくれた、番さんとの攻防戦を、京利自信がちゃんと受けとめて、自分の立場に当てはめて考えたってすごくない?アルファ性なのに素直な京利、すごくない?
あなたにおすすめの小説
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜
水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。
言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。
強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。
だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。
「触れるな」
お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。
だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。
言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。
誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。
孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。
二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。
大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)
子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ
喰われるなんて聞いてないんだが(?)
俺はただ、
いちご狩りに誘われただけだが。
なのに──
誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に
なぜか俺が捕まって食われる展開に?
ちょっと待てい。
意味がわからないんだが!
いちご狩りから始まる
ケンカップルいちゃらぶBL
※大人描写のある話はタイトルに『※』あり
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。