ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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39.拒絶できるということ




「そう思って、オレに捨てられるって思ったの?」


「そういう可能性もある。ということに今さら気付いたんだ。傲慢ごうまんにも程がある。

 俺が凛を離すことはないから大丈夫だって、ずっと一緒に居られるって、当然のように思っていた。冴さんのように、凛が俺を拒絶できるということをわかっていなかったんだ。
 ハッとした。高梨くんとの会議も思い返してみたら、呆れる程の馬鹿さだ。自分の考えを、疑うこともしていない。凛が俺を受け入れてくれて有頂天うちょうてんだった。

 だが、凛はいつでも俺を捨てることができるんだ。そんなことにも考えが及ばないなんて、なんて傲慢であさはかで、馬鹿なんだ、俺は。『運命』と結ばれて、浮かれてるただの馬鹿だったんだ。凛と相談して決めたって思っていたがそうではない。俺は、色々勝手に決めてしまっていたな。すまなかった、凛」


 京利は、そこでオレをぎゅっと抱きしめた。


 その腕からオレは抜け出して、膝から降りて、正面のソファに一人座った。京利を見据える。


「凛…?」


 京利は、離れたオレを泣きそうな顔で見ている。


「京利、オレ怒った」


 つーん、ってして横を向いた。


「凛っ!全て俺が悪い。許してくれ」


「もうっ!全然わかってない。オレが京利を捨てるって?!信じらんない!そんなことがあり得るって思ってんなら、番になったりしない。
 先のことなんて誰がわかるっていうんだよ!そんな未来のことを考えている暇があったら、お互いを想って、それこそ飽きられないようにいつまでも努力をしていこうよ。単に自分の振る舞いを無理して良くするとか、そういうことではなくてさ。
 お互いのことを愛して、慈しんで、尊んで、協力して、話し合って、ぶつかって、仲直りして、いつまでもそんな感じで生きていけばいいんじゃないのかよ。

 なんだよ!オレが京利を捨てる可能性もある?!

 なんで、なんでそんな悲しいことを言うんだよ。オレは、自信満々で、何でも先走って決めちゃって、極上な甘さで包んでくれる優しい京利が大好きなんだよ!
 
 もしかしたら、オレ達の赤ちゃんが来てくれたかもしれないってのに!ばかばか!京利のばか野郎っ!
 これから先、今のように後ろ向きな京利のままなら、捨てるよ。それだけはわかってて。さあ、京利どうする?全て俺が悪い?」


 えっなにその顔!泣いてるならまだしも。


「凛!」


 オレを呼びながら、オレの座ってる一人掛けソファにやってくる。足元に騎士のように片膝を立ててひざまつく。
 いやいやカッコいいけど、今、オレ怒ってるから。それでも、京利は関係無しにオレの手を両手で握ってくる。だから、なんなんだよ!そのキラキラした顔は。蜂蜜色の瞳が眩しいんだよ!つーん。


「凛、俺は何も間違っていなかったんだ」


 へ?


「俺は、凛という宝物を手に入れた。この拡大し続けるという広い宇宙で、凛という宇宙一可愛くて美しくて強い、最高に素晴らしい『運命』をたった20年とそこいらで見つけだし、この度、晴れて結ばれて『運命の番』になることができた。
 そして、なんと俺達は、愛しあっている!俺の功績と快挙は、四ノ宮家で未来永劫、語り継がれていくだろう。凛!俺は、なんとしても、なんとしても、凛を大切にすることを俺の魂にかけて、ここに誓う。
 ほっほんどうに、あり、がとう…凛、いっじょにあゆんでいぎたい。どうか、よろしく、おねがいちま、す…」


 京利の名誉のために、ぎゃん泣きしてることはさておき、さえたんがオレ達を心配してお話ししてくれた、番さんとの攻防戦を、京利自信がちゃんと受けとめて、自分の立場に当てはめて考えたってすごくない?アルファ性なのに素直な京利、すごくない?




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