ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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46.収穫期を迎えた養蜂場



「京利、ごめ……んんっん、あっんん」


 オレの言葉をさえぎり、キスをしかけてくる。


「謝罪の言葉ならいらない。凛の好きなだけ甘えてこい。なんなら、ずっと抱っこしていようか。殴ったっていい。俺は、凛のたった一人の『運命の番』なんだ。でも今は、正直そんな言葉じゃ全然足りない程に俺は、凛が好きだよ。愛している」


 ちゅっ、くちゅっ、んっうんんっ。


「舌を出せ、凛、俺が凛の苦しみを取ってやる」


「ああぁ、京利、好き。好き。大好き」


 恥ずかしいけど舌を出す。すかさず京利の唇が噛みついて来て、舌の表と裏をくまなく京利の唇で扱かれて、二人分の唾液がオレに流される。心の渇きを癒してくれるような京利の甘い味がする。好き、京利のキス、大好き。

 京利の甘いフェロモンが充満している。とびきり甘い。ここまで甘いフェロモンは、初めてだな。まるで目に見えるように濃い。オレは、またとりとめもないことを、ぼーっと想像してしまう。収穫期を迎えた養蜂場ようほうじょうもこんな感じなのかな。

 オレは、京利の蜂蜜色の瞳を彷彿ほうふつとさせる純度の高い蜂蜜で絡め取られたみたいに、たっぷりと蜂蜜が貯めこまれた巣の中にとらわれてしまった。京利が甘い匂いを出して、獲物をおびき寄せようとしているなら、大正解だ。蜂蜜に溺れて、巣から出られないんだ。めまいがする。呼吸器だけはと、必死で外に口を出し、空気を吸う。


「凛、身体が心配だから、ベッドに行こう」


 うん。そうしよう。って言いたいけど、呼吸が乱れていて、うまく声がでてこなくて、頷くことで、オレの意思を伝える。 

 抱っこで運んで。って言いたいけど、頭がごちゃごちゃしていて、うまく言葉がでてこないから、首に腕を回してくっつくことで、オレの意思を伝える。

 京利は、オレの意思を正しく受け取って、抱っこで持ち上げて、くっつき虫のオレの頭を撫でてくれた。そしてゆっくりと、寝室のベッドに向かう。その間も、オレの頬にキスをしてくれたり、背中をぽんぽんてしてくれたり、甘やかすことに余念よねんがない。

 ベッドにたどり着くと、京利はうやうやしくオレを真ん中に降ろしてくれた。オレは、思わず京利の首に回していた腕を外してしまったんだけど、離れたくないから、すぐに京利の服をひっつかんでいた。まるで猫が爪を飼い主の服にひっかけて、降りたくないと訴えているときのようだ。


「大丈夫だ、何処にも行かない」


 京利はベッドの上で寝転ぶ。片方の腕を伸ばして、ここにおいでと、とんとんと叩いて合図をしてくれた。オレは、当然のようにその腕に頭を乗せる。寝室にも、甘いフェロモンが立ち込め始めた。はあ、気持ちいいかも。さっきとは違って、溺れる感じはない。少し心が落ち着いてきたかもしれない。


「凛、ひとつだけいいか?」


 腕枕の距離で京利と話す。蜂蜜色の瞳もオレを甘やかしてくれる。


「高梨くんから、何度か着信があった。ひと言、大丈夫だと伝えた方がいいと思うんだが、どうだろう。俺が電話してもいいか?」


「だめ!京利がメイに電話するの、今日はなんかいやだ。オレがする」


「あぁわかった。ちゃんと説明できるか?」


「うん。がんばる」


「よし、いい子だ。オレはその間に冴さんの送ってくれた飲み物を、玄関で赤坂から受け取ってくるけどいいか?」


 それもいやだけど、さえたんも赤坂さんもせっかく用意してくれたんだから。と自分を納得させて、京利に大丈夫って言った。京利はオレの気持ちがわかっているのか優しく微笑んでいた。一度オレの頭を撫でて、部屋から出ていった。オレは、メイに電話をかけた。


『凛、電話ありがとう。あれから体調どう?』




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