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48.猫とハート
起きたら、お腹が減っていた。
窓の外は暗い。
京利どこ?
長い間、眠っていたんだろう。
前後不覚に陥っている。
京利どこ?
ぐるりと周りを見渡してもいなかったけど、京利が居たはずの場所が温かいままだ。部屋に立ち込めていた甘いフェロモンは、やわらかいものに変わっている。オレの隣でずっと一緒に居てくれたんだろうな。
ふと、尿意に気づいてトイレに行こうと思い立ち、ゆっくりベッドから降りて、歩きだす。ふふ、なんかすごい久しぶりに自分で歩いた気がする。このまま京利に抱っこされ続けたら、歩き方を忘れちゃいそうだな。
トイレは、寝室からすぐだから問題なく普通に到着して、座って用を足していたら、いろいろ思い出してきた。朝、なんか変で、苦しくなって、さえたんに連絡したら、さえたんの番さんがアドバイスをくれて、メイと電話して、むちゃくちゃな話を一方的に投げつけて楽になって、さえたんのハーブティを飲んで………そうだ、そこで寝てしまったんだ。
いったいオレは、何をしているんだ。京利が好きすぎて苦しいって。その京利ご本人に、膝に抱っこされて、てずからご飯まで食べさせてもらって、考えることか?どんだけだよ!思春期か!って、そうだオレって思春期だった。恥ずかしすぎてしぬ!
京利はどこにいるんだろう。まぁゆっくり探しますか。京利がオレを置いて何も言わず、どこかに出かけるとか考えられないもんな。ってな感じで、立ち上がって水を流して、手洗い場(もちろん中に設置されている超おしゃれな蛇口!)で手を洗っていたところで、ドタドタドタドタと、すごい勢いで走る音が聞こえる。
「凛っ!凛っ!どこだっ!!凛っ!りーーーん!!!」
京利だ!オレを探してる!すぐにトイレのドアを開ける。京利が走っていった方向に声をかけた。
「京利、いくら高級マンションだからって、そんなに、ドタドタ走ったりしたらだめだよ。それに大きな声出して。ご近所さんが何事?!ってびっくりしちゃうし、迷惑になるよ?」
オレを視界に捉えた京利は、すぐに戻ってきて、オレをぎゅうぎゅう抱きしめた。
「凛!よかったっ!ベッドにいないから心配した!」
「ごめんね、ちょっとトイレに行きたくなっちゃってさ。それにいろいろ今日は迷惑かけて、ごめん」
「迷惑なんてかけられてないし、凛が無事ならそれでいいんだ。凛が冴さんのハーブティを飲んでから、とても気持ち良さそうに眠っていたから安心したんだ。だが、午前中に眠ったはずなのに今まで一度も起きなかったから、さすがに心配になって、冴さんに連絡していたんだ。少しは楽になれたのか?凛」
京利の腕の中で身じろぎ、見上げると、心配そうに眉を下げている顔がオレを見ている。
「うん!すごく楽になった。心配してくれてありがとう。それでさ京利、オレめちゃくちゃお腹減った!なんか食べたいんだけど、朝、食べていたもの残ってる?」
「もちろん。そうだ、何か温かいものを作ろう」
京利は、オレをエスコートして、ダイニングルームに連れて行き、テーブルに座らせて、対面式キッチンでごそごそエプロンをして、何かを作り始めた。
「京利、お料理できるんだね!エプロン似合っててカッコいい」
オレは、イケメンのエプロン姿という非常に眼福なものを与えられて、ほくほくとずっと京利を見ていた。京利は、でれでれしながらも、慣れた手つきで、オムライスとオニオンスープを二人分ささっと作りあげて、テーブルに並べた。
「わあ!美味しそう!すごいよ京利!」
「喜んでくれて嬉しい、さあ食べよう」
「「いただきます」」
オレのオムライスには、ケチャップで猫とハートが描かれていた。
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