ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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49.えっ2本?!

 

 塩凛しおりん、そう京利は名付けた。

 どうやら、心が落ち着いたオレは、京利には非常に塩対応に思えるらしい。一人で何でもできるし、一人でご飯を口に入れるし、一人でトイレにいくし、テレビは見るし、本は読むしって、かまってちゃん系男子になった京利は、ぶつぶつ言っていた。いや、普通じゃね?今言ったこと。
 お風呂は一緒に入ってんじゃん。


「じゃあ京利は、こんなオレは、嫌いなんだ?」


「いや!大好きだ!だから、塩凛と名付ける!」


 ぷっ、意味わかんない。オモロ。


 そして、今日はついに京利のご両親と謁見えっけんする日だ。オレは、今日の為に、流行りのファッションや、流行りのお菓子、礼儀作法など、ずっと見てなかったテレビや雑誌を積極的に見て、情報を集め、現物を手に入れて(ネットや赤坂さん頼みだけど)、京利とオレ、メイと赤坂さんも巻き込んで、ファッションショーおよび試食会を開催した。

 もちろん、着ていく服と手土産の話だ。

 ファッションに関しては、満場一致まんじょういっちで、京利とオレのリンクコーデ(要はペアルック)に決まった。白と黒のデザインシャツとパンツの組み合わせなんだけど、シンプル、シック、お上品、3つの項目で全員満点だった。

 お菓子に関しては、お菓子を食べるのも作るのも大好きなメイを主導に、と思っていたけど、なんと赤坂さんがプロ並みの食レポをぶちかまし、大いに盛り上がった。結果、世界的に有名なお菓子職人のお店からのれん分けを許された、新進気鋭の職人が作ったマドレーヌに決まった。これは美味しい!

 赤坂さんの言葉をかりると、『バターのコクがガツンとくるのにレモンリキュールの香りがそれを爽やかにしていて、おそらくですが柑橘系の花のハチミツを使用しているのでしょう。それがハチミツのクセを感じさせないので、優しい甘さで全体をまとめてしっとりさせています』

 なるほどー。というわけで、このお菓子に決定した。オレは、個人的に蜂蜜とレモンが大好きになったので、このお菓子を今後も推していこうと思う。

 因みに、洋服もお菓子も、高級というわけではなく、頑張れば手が届く範囲の金額におさめている。

 京利は、普通でいいって言うけど、オレは、譲るつもりはなく、最終的にオレの言う通りに事を進めてもらった。オレは、失敗するわけにいかないんだ。

 そして、ついに本日出立しゅったつ
服装良し!身だしなみ良し!手土産良し!ハンカチ持った!と最終チェックを行っていると、カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャって連写音が聞こえてくる。
 
 ………デジャブかな。


「凛!最高だっ!!可愛すぎるっ!!!」


 オレは、にっこり笑っておく。


「さあ!行くよ京利」


 京利の手を引っ張って、お土産を持って玄関に行こうとしたら、京利が一歩も動かない。えっ?と思って振り返ったら、さっきまではしゃいでいた京利が、真剣な顔をしていた。繋いだ手をぎゅっと力強く握られる。

 え?なになに、どしたの?
京利は、そのままひざまづいて、うやうやしくオレの手をとって甲に優しくキスをした。


「凛、俺だけの凛、どうか生涯、いや永遠に俺と結婚してください!」


 おもむろに、ベルベットのリングケースを胸元から取り出して、開いてオレの方に向けた。まさか!

 えっ2本?!えっ2本?!

 京利は、真剣な顔でオレを見ている。
ケースには、輝かしい蜂蜜色の巨大な宝石が、仰々しい台座にはまった指輪と、白金の上品だけど精密な透かし彫りが施された指輪が、窪みに嵌まっていた。



 なるほど。やってくれんじゃん京利。
 オレは、しぬほど嬉しかった。


「喜んで!!!」


 京利の首に抱きついた。




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