ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

文字の大きさ
51 / 154

51.『妖精王の昼寝を見守る会』



「凛、こっちだ」


 オレは、手土産をサッ才賀に託して、京利にエスコートされるまま、お屋敷の廊下を歩いていた。

 きっとあの場面で、呼び方を指摘されたってことは、そうしないと、京利や京利のご両親に恥をかかせることになるんだ。大丈夫。オレは、出来る子だ。己を叱咤激励しったげきれいする。

 それにしても明るい廊下だ。壁の少し高い位置に配置されている窓が太陽の光を存分に採り入れているようだ。
 オレの身長位あるんじゃないかという大きな壺で、華やかな美しい、どちらかというと可愛い?お花達が一定の間隔で配置され、いろどり豊かな廊下を演出していた。   
 カーテンは、淡いピンクで統一されていて、光を優しく通すレースカーテンには花嫁さんのベールのように精緻せいちな刺繍がほどこされていた。

 ほへー、メルヘンな世界。素敵だな。

 ぽやぽやしていたら、大きな両開きの飾り格子がはいった擦りガラス扉が目の前に現れた。どこからか、メイドさんが二人やってきて、厳かに両側の扉をそれぞれが押して開いた。


 扉の中は廊下どころではなく、もっとすごかった。
 妖精王が昼寝をする秘密の空間なのかもしれない。


 だめだ!気圧けおされるな、しっかりしろ!京利のエスコートを頼りにもう一度、己を叱咤激励する。


「凛、大丈夫だ。凛はいつも可愛い」


 そりゃ京利にはそう見えててもね、周りには…。

 いや、やめた!後ろ向きな考えをごちゃごちゃ考えても仕方ない。オレは、京利の隣でしっかり歩いていくんだ!

 サロンと呼ばれたこのホールは、片側が地面から天井までガラス張りで、中庭がまるまるのぞめるようだ。
 サロン中央には、『妖精王の昼寝を見守る会』が本日開催予定なのか、大きな丸テーブルに、いかにも紅茶をたしなむクリンとカールした持ち手のカップとソーサー、お菓子や軽食なんかが準備されていた。京利のご両親はサロン中央からいくらか庭よりのゆったりしたソファのそばに立っていた。オレ達はそこに向かって歩いていった。顔をあげて歩く。ご両親の顔はまだはっきり見えないけど、ちょっとシブイ顔じゃない?やっぱあれか、どこの馬の骨ともわからない、みたいな感じ?うへー、どうしよう。

 ってなるかよ!オレは、負けない。オレは、京利と生きていくって決めたんだ!どこの馬の骨ともわからない奴なのは本当のことなんだ。お怒りはごもっとも。いくらでも叱って苛めてくれ。すべて甘んじて受け入れてやるよ。でも京利からは絶対に離れないから。って心の中でやたらいきがっていると、ご両親の前にたどり着いていた。すごい厳しい顔をしている。


「京利さん、お帰りなさい、随分ご無沙汰でしたわね」


 まずは、お義母様のひと言、うん?


「ご無沙汰して申し訳ございません。ただいま戻りました」


「お帰り、京利。そちらの方が、おまえの番か?」


 次は、お義父様のひと言、うん?


「そうです。凛といいます。凛、父と母だ」


 なるほど、よくわかった。
 オレは、右手を心臓の上に置いて、頭を下げた。


「私は、凛と申します。ご挨拶が遅れましたこと、勝手に大事なご子息である京利さんと『番成立』してしまったこと、深くお詫び申し上げます。『運命』がどうであれ、京利さんと私では、身分が不釣り合いなことは、重々承知しております」


 一度、顔をあげて続ける。


「ですが、私は、京利さんと離れるつもりはございません。どうか、お義父様とお義母様がご納得いくまで、ご指導をお願いしたく存じます。
 そしてきっと、京利さんの横に並んでも恥ずかしくない番になるとお約束いたします。
 だからどうか、京利さんのお側にいることをお許しください」


 もう一度、頭を下げた。




感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜

水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。 言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。 強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。 だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。 「触れるな」 お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。 だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。 言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。 誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。 孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。 二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。