ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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53.嬉しいと思ってる




「母さん!やりすぎだ!盗撮なんて。犯罪だよ?!」


「おまえだって真横で撮って泣いてたじゃないか!」


「俺は隠れて撮ってない!なあ、凛」

 
 なんか京利とご両親が言い合いしているけど、オレはもうなんか正直、好きにしてくれ状態になっていた。
 
 ちょっと違うな、めちゃくちゃに恥ずかしいけど嬉しいと思ってるんだな、オレ。


「あの、パパもママも京利も、好きなだけ撮っていいですから、その、ゆっくりお茶を飲みませんか、京利と私の選んだお菓子食べてもらえませんか?」


 ズッキューン!!!


 うん。聞こえた。ズッキューンって。本当に聞こえる効果音もあるんだね。オレの言葉を聞いてか聞かずか、才賀が綺麗に盛り付けられたマドレーヌを自ら給仕きゅうじにきてくれた。それぞれの手元のお皿に配っていく。オレは、お行儀が悪いと思いつつも、パパとママに声をかけた。


「あの、このマドレーヌ、すごく美味しいんです。パパとママに食べて欲しいと思って買ってきました。私の大好きなお菓子のひとつです」


 かっかっかっかっっか、わ、い、い、

 京利をみると横で苦しそうにもがいていたけど、大丈夫だろうから一旦置いておいて、パパとママを交互に見つめた。


「理桜ちゃん、いただこうか」


「ええ、京ちゃん、いただきましょう」


 お二人は、にっこり笑ってマドレーヌを優雅に持ち口に運んだ。


「まあ!とっても美味しいわ!ねぇ京ちゃん」


「ああ!美味しいよ!本当に美味しい」


「「凛ちゃん!ありがとう」」


 ホッとしたオレは、喜んでもらえて良かったということを伝えて、自分も紅茶やお菓子をいただいた。そのあとは、みんな落ち着いてくれて、ゆったりお話することができた。
 これにて『妖精王の昼寝を見守る会』を無事にお開きか。というところで、ママが提案をしてきた。


「凛ちゃん、この後京利のお部屋で休憩して、夕食を食べていって欲しいの。京利の弟にも会ってあげて。次男はね、京舞けいまって言うの。夕刻になれば学校から帰ってくるし、疲れちゃったらお泊まりしてもいいしね。どうかしら?」


 えっ!京利のお部屋?!行きたい!見たい!きらきらきらと目を光らせて、京利を見た。
 
 ぷっめっちゃ嫌そうな顔!


「「プッ!フフフハハハハハハハッ!!」」


 オレが笑う前にパパとママさんが、お腹を抱えて笑いだした。


「本当に、さえたんの言うとおりね!京利ってば全く違う人間になったみたい!ああダメ、お腹痛いプフフ…」


 パパは、涙を指で拭いながら、


「半信半疑だったけど、本当に面白いよ、まさかあの京利がね!フフフフフハハハハハハッ!」


 京利は、憮然とした顔をしていた。あっこれは、帰るって言い出しそうだ!慌てたオレは、


「ねえ、京利さん!私、京利さんのお部屋に行ってみたいです。お願いします。私と出逢うまえの頃の京利さんの空気に触れてみたいです!知りたいんです。だめ、でしょうか?」


 思いっきりあざとく、上目遣いでお願いした。


「わかった。行くぞ凛」


 席を立った京利は、すぐに扉に向けて進みだした。あっ早いよ待って。って思っていたら、すぐそこ手が届く範囲に立ち止まってくれた。さっすが京利!
 オレは、ゆっくり立ち上がって、パパとママにごちそうさまでしたってお礼を笑顔で伝えて、こちらこそ、と頷いてくれたのを確認してから、席を離れて京利のところに向かった。
 そして、腕に手を添えた。京利は、オレが隣に追いついたのを見て安心したように表情を緩めて、オレの添えた手を、もう片方の手で握ってゆっくり歩きだした。

 その後ろ姿をご両親はずっと見送ってくれていた。





「凛、体調は大丈夫なのか?」


「体調は大丈夫だよ」


 それよりも!
 ここは、京利のお部屋である!嬉しい!嬉しい!




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