ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

文字の大きさ
62 / 154

62.梅と昆布



「僕達も、毎日話しかけて良いものなのかどうなのかわわからないまま悩んで話し合った結果、出来る限り朝食を一緒に食べる、一日一回ハグをする。ってことにしたんだ。
 
 なかなか僕達が、夕食の時間に揃って家に居るって難しいからね。朝食にしたんだ。使用人達にもたくさん協力してもらった。なんとしても朝には家に帰るぞ!って気持ちでやってきたんだ。

 でも僕達の選択が正しいことなのか、時々わからなくなってくるんだ。京利にも京舞にも変化が感じられなかったからね。

 きっと世の中の親御さん達が、同じように悩むことなんだろうと思う。

 それでも毎日その決まりをやめることなく続けていたんだ。

 すると突然に京利が変わり始めた。僕の仕事について回って、真剣に学び始めた。さすがは優秀な京利だから大学を卒業する頃には、しっかり自分の仕事を多数持っていたんだ。自立できると判断した京利は、自分で決めて家を出た。

 そして一年後、こんなに素晴らしいお嫁さんを連れて帰って来てくれたんだ。

 そのお嫁さんは言った。京利を選んだのは『運命』ではなくこの家で育った『京利』だったからって。

 本当に、こんなに嬉しいことがあるかい?

 凛くん君を離さないよ。ねえ理桜ちゃん」
 


 やっぱり堪えきれず泣いてしまったママは、うんうんって頷いている。


 場の空気を変えるように京利が動きだす。


「いい加減に、凛を返してくれ!」


 わざとオーバーな動きだ。

 京利がオレ引っ張ると、腕を緩めたパパとママ。腕の檻から出たオレは、少し寂しくなった。


「あっ京利!お願いがあるんだ。京舞くん、きっとお腹空いてると思うから、おにぎり作って持っていっていい?」


 あっ!オレは、言ってしまってから、恥ずかしくなった。
 思わずおにぎり!なんて言ってしまったけど、さっきまでフルコースを食べていたのに、おにぎりなんて食べるわけないじゃん!


「なんだとっ!!!いいわけがないだろ!

 まだ俺も凛が握ったおにぎりを食べたことがないのに。例え食べていたたとしてもだめだ。絶対にだめだ。
 
 俺が調達して京舞に持っていってくるから凛はここにいろ。後で迎えにくる。

 ちなみに俺の好きなおにぎりの具は梅と昆布だ」


「あ、あぁうんわかった。ありがとう!京利。
 さっきは本当のこと言っちゃってごめんねってオレが謝っていたって、京舞くんに伝えてきてね」

 
 クスクスクス……どこからともなく笑っている声が聴こえる。多分、執事さんとかメイドさんとか。京利は走っていった。


「本当に凛ちゃんて楽しい子なんだから。それで私達に聞きたいことはなにかしら」


「えっなんで、オレ、いや私が、」


 そういえば、オレのキャラ設定めちゃくちゃになってる!変な汗が背中を伝う。


「今更、口調を丁寧にしてもだめだよ。僕達には普通でいいから、ね?」


「確かにもう遅いですね、はは。
 あのっ、なんで聞きたいことがあるってかったの?」


「う~ん、なんとなく?」


「京利もわかってたと思うよ?」


 パパとママにうながされて、ゆったりとしたソファに座る。両端をパパとママで挟まれている。
 パパはオレの背中を撫でるし、ママはオレの頭を撫でているし、なんか甘すぎない?


「それで凛ちゃんの聞きたいことはなにかしら?京利の昔のこと?恋人はいたのか、とか?早く早く~」


「ひとつだけ、どうしても聞きたくて(昔の恋人!?なにそれ気になる!けど一旦置いといて)
 あの、京利は今、お仕事をちゃんと出来ているのでしょうか?」


 ………。



「ぷっ、ふはははひー最高だよ凛くん!!いい質問だ」


「まあ、凛ちゃんたらそんな事が聞きたかったの?ふふふっ」


 オレは、真っ赤になりながらはいと返事をした。
 そして、なぜ聞きたかったのかを話した。




感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜

水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。 言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。 強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。 だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。 「触れるな」 お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。 だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。 言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。 誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。 孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。 二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。