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67.財力でビュッフェ!
とにかく朝がきつい。
さえたんが言うには、胃の中がからっぽになると、吐き気が出てくるから、起きたら無理やり少しでもいいから食べ物を飲み込めってことだった。日中もちょこちょこ食べるといいらしい。
最初は、朝起きたら急いでトイレにいってたけど、対応に慣れてくると、なるほど確かに何か胃に入れたら、全然違う。とても楽になる。
そうなってくると、急に気持ち悪くなっても焦らなくなって、大丈夫になってきた。安定期に入ると楽になるらしいし、考えすぎずにいこう。
京利は、常に心配してオレの後をついて回った。トイレに駆け込むと、背中を擦ってくれるし、台所に行くと少し先回りして、ノンカフェインの飲み物とフルーツなんかをサッと出してくれる。
絶対に急かさず、変に気を使って、オレを笑わせようとすることもなかった。
もちろんオレは、京利が出してくれたら、ちゃんと水分補給をして、フルーツもつまんだ。赤ちゃんだって、喉も渇くし、お腹も減るよね。
赤ちゃんも、京利も、一緒に頑張ってくれている。その事実がオレをどこまでも強くしてくれたように思う。
ご飯は、財力でビュッフェ!なんてことはなく、京利が用意してくれた、一口おにぎりとか一口ピザとか、一口野菜、一口お肉、なんでも一口サイズになっていて可愛い串に刺さっていた。
うそでしょ?!こんなスパダリ存在する?!
もちろん、食べた。でも、あんまり食べられないときもあった。それでも、京利はこれを食べられて良かった、一口でも食べられて良かったって、いつも褒めてくれた。
ずっと後で聞いた話だけど、この時の京利は、ずっと離れずに、そばでお世話をさせて欲しいから、とにかくオレにうざがられない様にしていたらしい。
『向こうに行っててって言われたら俺は終わっていた』らしい。
割と気分がいいなってときは、公園を手を繋いで歩いたりした。他にも、さえたんの診察が終わった後、病院の庭がとても広くて、木がいっぱいあって、野鳥とかもいるから、疲れすぎない程度に、森林浴をした。
そしてついに。
「良く頑張ったね。りんりん!それに京利くん!無事、安定期に入ったよ。いっぱい頑張ったね」
さえたん、とても嬉しそうに労ってくれた。なんかほんとに家族みたいに、ハグをしてくれて、よしよしって優しく頭を撫でてくれて、京利も同じようにされていた。今まで言えなかったけど、色々心配していたこともあったようだ。
オレは結構、つわりが酷かった方に分類されるみたい。同じくつわりが酷かったさえたんにしてみたら、何とも言えない気持ちで、オレを見ているのも辛かったらしい。入院するほどひどい人もいるって聞くしね。
つわりってまじで辛い。精神状態が良いまま、乗り越えられたのは、京利がフォローしてくれたからだ。これは間違いない。京利に感謝を伝えるといつも、『オレは、凛のそばにいたかった、それだけだ。苦しいのを耐えたのは凛だ』と答えた。
京利とさえたんのお許しがでたので、オレは早速大学に復帰した。安定期に入ったら、母子の健康のために適度な運動をすすめてくれて、ストレスの発散、むくみ解消、体重の増えすぎ予防などが目的である。
お腹にハリというのか、違和感がでたら、そこでストップが正解。運動と休息のバランスを大事にすること。その約束で復帰した。
メイは、宣言していた通り、大学で会えば欠かさず、お腹の赤ちゃんに向けて、話しかけていた。
『私は可愛い可愛いあなたのお母様のお友達よ~元気に産まれてくるのよ~私が抱っこしてあげますからね~』
うん、びっくり。メイってこんなに子どもが好きだったんだね。
そんなオレのお腹はふくらんで、少し目立つ程になっていた。
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