ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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71.この子と手を繋いで

 
 
 でもでも実は、オレは嬉しかったりする。オレも寂しかったから。すぐ近くに京利がいると思ったら安心する。
 もし何かあっても呼べば、すぐに会えるもんな。だから安心して、メイと手を繋いで、講義室までの道のりを歩いていく。これはいい運動だわ。体力、付けとかないとな。今のオレの課題だ。

 いつの間にか季節が移り変わり、世の中は暑い季節を迎えている。

 メイは、このところオレにべったりだ。いや、オレではなくこの子にか。暑いから汗ばんでる手も気にせず、歩くときはずっと手を繋いでいる。

 メイは、産まれてくるこの子と手を繋いでいるのかもしれない。

 もともとメイは、大学内ではオレから離れないと京利に誓っていたが、手を繋げとは言われていない。メイも不安を抱えているんだよな。

 以前から、『双子みたいだな』ってよく言われたけど、大学に復帰してから、メイがこんな風だから、ますます言われだした。背丈も体格も同じぐらいで、瞳の色が一緒だったりする。

 もしかしたら、本当に血を分けた双子なのかもしれないかもしれない。

 まあそんなことはどうでもよくて、オレが大学に復帰するには、助けてくれるメイが必要不可欠だった。メイがこうやっていつも一緒にいてくれることがどんなに心強いか。

 オレが赤ちゃんのために体力つけたい、って話をしたら講義の待ち時間にメイは、散歩に誘ってくれる。

 オレは普通分娩を希望したい。

 一般的にオメガ性の男性は、赤ちゃんが通る産道が狭いから帝王切開で産む場合が多い。それでもオレは、自分の体力があって、医師の許可が得られるなら、普通分娩を希望したい。

 赤ちゃんは、母親が陣痛の痛みにくるしんでいるときに、子宮の収縮で息苦しさを感じ、圧迫感にも耐えている。産道を通るときは、頭をねじ込んで、道を拓いて進むから、相当辛く苦しいという。

 それなら帝王切開でさっさと決着をつけた方がいいと思うよね?普通は。

 でもオレはその話を聞いたときに、赤ちゃんと一緒に頑張る!って決めた。オレの場合は、京利も一緒に頑張ってくれるだろう。

 オレは、回数制限がある帝王切開より、何人も産むことができる(可能性の話だ)普通分娩を選ぶ。この子は苦しむことになるけど、オレも京利も一緒に苦しむから一緒に頑張ろうよ。そのかわりに兄弟をいっぱい産むよ。

 そう、オレはいつも賑やかでわちゃわちゃする家庭を京利と一緒に築きたいんだ。

 これには、オメガ性の孕みたい欲求が強くでているのかもしれないけど、オレは、京利が許してくれる限り産みたい。

 って京利に、この間話したらすごく喜んでくれた。『頑張って働くから』って言っていた。ふふ。



 芝生を眺めながらそんなことを考えていたら、突然に目の前を塞がれた。えっなに?

 よく見ると、目の前に可愛い女性(ひと目でお嬢様とわかる感じ)が立っていた。横を見ると、メイはその女性を厳しい目でにらんでいた。繋いでいる手に痛い程に力が入っている。


「貴方が、京利さんの番の方?」


 非常に可愛い笑顔で声をかけられた。ネックガードを首に巻いているからオメガ性なんだろうと思う。他人の悪意を感じることができるオレは、身震いをした。

 オレは、体型が細めだからお腹の膨らみもわかりやすいし、首の噛み痕も、隠しても噂が蔓延まんえんしている大学で、しょうがなくない?って気づいて、別に普段の服装を気にすることもなく、そのままにしているから、誰でも見られるだろう。京利も見せておけばいいといっていた。



 例えば、誰かさんが、オレと全く接点がない学生に、四ノ宮京利の『運命の番』はどこにいる?って聞いたとしても、すぐに学部と受けているはずの講義など、わかってしまうことだろう。




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