ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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81.今がまさにピーク



「それからね、今日のことだけど、京利から突然に連絡が入って、
『あいつが凛をっ!俺が引きつけるから凛を頼む!赤坂から連絡させる!』って。
 電話はすぐに切れちゃったんけど、ちょうど一緒に居た私達は、とにかく京利が言いたいことはわかったから、急いで凛ちゃんの所に向かっている途中だったの。
 
 その車の中で、京利が刺されたという話を聞いて、すぐに方向転換してこの病院に急いで来たのよ。だから、京利の行動は詳しくわからないの」


「状況だけを話すと、京利は右腹部を刃渡り20cmのナイフで刺されて、階段を転がり落ちて頭を打ったみたいだ。

 場所は、彼女と会っていたホテルの客室層の方で、高層階にある部屋をでて、すぐのところのようだ。

 見つけたのは、15階の商業施設層と客室層の境目にある総合案内フロントで待機していた、京利の秘書のひとりで、京利は彼に30分して戻らなかったら部屋に乗り込んで来てくれと言っていたみたいだ。
 
 言われた通りに階層を上がってみると、血塗れで倒れている京利と、その階段の上で、ナイフを持ったまま真っ白なドレスに血を浴びて、陶然とうぜんと京利を眺めている彼女を発見した。京利と彼女がどうして客室まで行ったのかはわからない。

 その彼は今、警察で事情聴取されているからね、ここに呼ぶことができないんだ。ごめんね凛くん。

 彼がね、警察と救急車を呼んで僕達にも連絡してくれたんだよ。

 凛くん、僕達が知っているのは、ここまでだ」


「パパママ教えてくれてありがとう。お話を聞けて本当によかった。ありがとう」


「こちらこそ、全てを聞いてくれてありがとう凛ちゃん」


「っ!お話中ごめん、メイメイがっ」


「凛。申し訳ないけど、少し離れるわね。皆さん凛を…」


 全部言い終える前に、力が抜けるように倒れ込んでしまったメイを、さえたんが抱き上げる。

 メイの息が荒い。すごい汗だ。ずっと我慢していたんだ。


「連の強烈なフェロモンにやられてる。オメガ棟の方に連れていって寝かせてくる。りんりんを頼むよ、京さん、理桜さん」


「さえたん!」


 急ぐさえたんに声をかけてしまう。
 振り向いてにっこり微笑んでくれるさえたん。


「さえたんっ!メイをお願いします」


 オレは、立ち上がって、頭を下げる。


「僕を誰だと思ってるの?優秀なお医者様だよ」


 さえたんは不敵に、にやりとした。
 危なげなくメイを抱きかかえて早足でいってしまう。


 オレは、こんなときなのに、連さんとさえたんがとても似ているなって考えた。


「今、連さんのフェロモンがすごく出ているのよ。威嚇フェロモンではないけど、とても重たいわ」


「手術中はいつもそうだというけどね、大変な時ほど押しつぶされるような空気になるそうだよ。凛くんのような特殊な体質の者や、同等以上のアルファ性でないと補助に入ることは困難だと言っていた。

 連さんの逸話はたくさんあってね。周りに誰もいなくなっても手術をやり遂げたとか、アルファ性勢揃いで挑んだ大変な手術で最後まで立っていたのは彼だけだったとか。

 始まった頃から少しずつ重くなっていたけど、今がまさにピークなのかもしれないな。僕も辛い」


「パパ、ママ大丈夫っ!?」


「もちろん大丈夫よ。最後まで一緒に待ちましょ?」


「僕も一緒に待つからね」


 オレは、ただ頷いた。


「よく、こんなところにずっといられるもんだね~待合室に行けばいいのに、うげ、ほんとになにこれ」


「京舞くん?!」


 来てくれたんだ!嬉しい!オレは立ち上がって飛びついた。


「ありがとう、京舞くんっ来てくれて嬉しい」


「いやいや、兄貴が大変なことになってんのに家族として普通くるでしょ」


 呆れた口調だけど、オレをしっかり抱きとめてくれている。本当に優しい。




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