ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

文字の大きさ
109 / 154

109.一緒になって

 

 なんだよオレ。まじで情けないやつじゃん。
 

「凛、苦しい時は、俺を殴れ。腕に噛みつけ。この指を噛みちぎったっていいんだ」


「僕のこの顔を殴れるなら殴っていいよ」


 京利もさえたんも本気だ。
 本気で言ってる。
 ねえ凛真ごめんね。
 苦しくしちゃったね。


「ぷふ。京利もさえたんもありがとう」


 よし!


「京利、お水飲みたい」


 すかさず口元にストローを持ってきて飲ませてくれる。オレはぐぎゅっぐぎゅっと飲み干した。ぷはー!


「さえたん、オレ今のは全部ダメダメだった。
 どうすればよいかご指導ください」


 さえたんの目がキラーンと光る。


「よく聞いた!えらいぞ!

 まず陣痛がきたら絶対に力んだらだめだ。まーりんのいる場所が絞られて、まーりんが苦しくなってしまうんだよ?力むのは、最後の最後だけだ。

 それに呼吸が早すぎる。過呼吸で、手足が痺れているんじゃない?身体に酸素がいきわたらないことで、良くない状態にもなりかねない。
 
 どうか落ち着いて。力を抜いて。

 とはいえ!

 ここには京利くんがいる。
 そして、君達は『運命の番』なんだ。
 いいかい?

 なにも出産は、苦しみを味わえば良いってもんじゃないんだよ。

 さあ京利くん。出番だ。次から陣痛が始まったら、りんりんを蕩けさせるフェロモンを出して。出しすぎてぐにゃぐにゃにならないようにね。加減は難しいだろうけど。そうすればりんりんも上手く力をぬけるかもしれない」


「俺は、完璧にできたぞ京利。なあ?冴」


 いつの間にか起きた連さんが、ソファにだらっと凭れてこちらを見ていた。


「そうだね、連はいつも完璧だよ。だから黙ってろ」


 連さんは、ニマニマしているから面白がって京利を挑発しているようだ。


「京利なら俺以上にうまくやれるよな?」


 うへー、オレは呑気にはらはらした。


「連、やめろ」


 さえたんが特別な声で連さんにつっこむ。

 恐る恐る京利を見ると、上品な口元に極上な笑みを浮かべて、目尻を落としオレに話しかける。


「凛、案ずるな。俺に任せろ。一緒にがんばろうな。俺と凛の息はぴったりなんだから簡単なことだ」


 かっかっかっかはっ!

 連さんが豪快に笑う。


「京利!おまえ、凛と一緒になって面白え男になったと思っていたけど、俺ぐらいいい男になったじゃねえか」


 のところで、京利の顔が一瞬でれっとゆるんだことをオレは見逃していない。連さんの言い方が京利に刺さったんだろう。どんだけかわいいんだよ。


「連さん、いつもご教授いただき感謝します」


 京利は、立ってちゃんと連さんと目を合わせたあと、頭をさげた。

 成り行きを見守っていたオレとさえたんは汗ばんだままずっと繋がれた手をぎゅっぎゅっと握り合って合図を送り、にんまりと笑い合った。


 モニタリング装置が高い収縮を感知する。

 
「うう、くるね」


 でもオレはもう慌てない。怖くない。


「りんりん、よく聞いて。今ぐぐっと子宮口が伸びて開こうとしているよ。ここで力を入れたら、まーりんが困っちゃうからね。ゆっくりゆ~っくり息を吐こうか。一旦吐くよ。僕に合わせて。ふーーーーーーー」


 オレもふーーーーーってし始めてすぐに痛くて息が切れる。


「よし、りんりんよくできたよ。京利くん始めて。さありんりんもう一度、ふーーーーーーーーー」


 ふーーーーーんんっ!あっあっふーーーーーーーー


 オレの息が切れる瞬間、京利のちょっとだけえっちなフェロモンを浴びて、とろんとしてしまいあやうく我を失いかけたけど、そこはさすが京利!うまく調整してくれて、おもいっきり息を吐けた。ちゃんと力が抜けていたと思う。


「いいね!京利くんもりんりんも上手!その感じでいこう。京利くん、りんりんが吐くときに合わせて出してみて」


「わかった」


「京利、ありがとう」




感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜

水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。 言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。 強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。 だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。 「触れるな」 お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。 だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。 言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。 誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。 孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。 二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。