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109.一緒になって
なんだよオレ。まじで情けないやつじゃん。
「凛、苦しい時は、俺を殴れ。腕に噛みつけ。この指を噛みちぎったっていいんだ」
「僕のこの顔を殴れるなら殴っていいよ」
京利もさえたんも本気だ。
本気で言ってる。
ねえ凛真ごめんね。
苦しくしちゃったね。
「ぷふ。京利もさえたんもありがとう」
よし!
「京利、お水飲みたい」
すかさず口元にストローを持ってきて飲ませてくれる。オレはぐぎゅっぐぎゅっと飲み干した。ぷはー!
「さえたん、オレ今のは全部ダメダメだった。
どうすればよいかご指導ください」
さえたんの目がキラーンと光る。
「よく聞いた!えらいぞ!
まず陣痛がきたら絶対に力んだらだめだ。まーりんのいる場所が絞られて、まーりんが苦しくなってしまうんだよ?力むのは、最後の最後だけだ。
それに呼吸が早すぎる。過呼吸で、手足が痺れているんじゃない?身体に酸素がいきわたらないことで、良くない状態にもなりかねない。
どうか落ち着いて。力を抜いて。
とはいえ!
ここには京利くんがいる。
そして、君達は『運命の番』なんだ。
いいかい?
なにも出産は、苦しみを味わえば良いってもんじゃないんだよ。
さあ京利くん。出番だ。次から陣痛が始まったら、りんりんを蕩けさせるフェロモンを出して。出しすぎてぐにゃぐにゃにならないようにね。加減は難しいだろうけど。そうすればりんりんも上手く力をぬけるかもしれない」
「俺は、完璧にできたぞ京利。なあ?冴」
いつの間にか起きた連さんが、ソファにだらっと凭れてこちらを見ていた。
「そうだね、連はいつも完璧だよ。だから黙ってろ」
連さんは、ニマニマしているから面白がって京利を挑発しているようだ。
「京利なら俺以上にうまくやれるよな?」
うへー、オレは呑気にはらはらした。
「連、やめろ」
さえたんが特別な声で連さんにつっこむ。
恐る恐る京利を見ると、上品な口元に極上な笑みを浮かべて、目尻を落としオレに話しかける。
「凛、案ずるな。俺に任せろ。一緒にがんばろうな。俺と凛の息はぴったりなんだから簡単なことだ」
かっかっかっかはっ!
連さんが豪快に笑う。
「京利!おまえ、凛と一緒になって面白え男になったと思っていたけど、俺ぐらいいい男になったじゃねえか」
一緒になってのところで、京利の顔が一瞬でれっとゆるんだことをオレは見逃していない。連さんの言い方が京利に刺さったんだろう。どんだけかわいいんだよ。
「連さん、いつもご教授いただき感謝します」
京利は、立ってちゃんと連さんと目を合わせたあと、頭をさげた。
成り行きを見守っていたオレとさえたんは汗ばんだままずっと繋がれた手をぎゅっぎゅっと握り合って合図を送り、にんまりと笑い合った。
モニタリング装置が高い収縮を感知する。
「うう、くるね」
でもオレはもう慌てない。怖くない。
「りんりん、よく聞いて。今ぐぐっと子宮口が伸びて開こうとしているよ。ここで力を入れたら、まーりんが困っちゃうからね。ゆっくりゆ~っくり息を吐こうか。一旦吐くよ。僕に合わせて。ふーーーーーーー」
オレもふーーーーーってし始めてすぐに痛くて息が切れる。
「よし、りんりんよくできたよ。京利くん始めて。さありんりんもう一度、ふーーーーーーーーー」
ふーーーーーんんっ!あっあっふーーーーーーーー
オレの息が切れる瞬間、京利のちょっとだけえっちなフェロモンを浴びて、とろんとしてしまいあやうく我を失いかけたけど、そこはさすが京利!うまく調整してくれて、おもいっきり息を吐けた。ちゃんと力が抜けていたと思う。
「いいね!京利くんもりんりんも上手!その感じでいこう。京利くん、りんりんが吐くときに合わせて出してみて」
「わかった」
「京利、ありがとう」
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