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114.だめだ!
ここは、京利が目覚める前から過ごしてきた特別個室だ。あのあと、みんなと別れてからオレのわがままで凛真を抱っこした看護師さんが暖かい新生児ルームに入っていくところを見送ってから、この部屋に戻ってきた。
京利の匂いがする。ああ、落ち着く。
産まれてすぐに行なわれた凛真の検査は、健康体そのものということだ。良かった。
凛真は、これからしばらく新生児ルームで過ごすことになる。そこにオレが授乳に通う。そして、凛真の体重が増えて、身体機能の検査でOKがでたら、晴れてこの部屋で一緒に過ごせるようになる。
オメガ性の男性の出産で普通分娩だったので、少しばかり小さく産まれた凛真。たくさん母乳を飲んで、免疫力を最強にして、新生児ルームを卒業だ!
赤ちゃんに必要な栄養成分でできていて、免疫力がつく母乳、凛真はうまく飲んでくれるだろうか。
「凛、疲れただろう、すぐに横になろうな」
京利は、オレを車いすから抱き上げようとしてお尻に手を回した瞬間、シャカシャカと音が聞こえてしまう。恥ずかしい。オレは赤面した。京利は何にも気にしていない様子で、すぐにオレをオレのベッドの方に、降ろそうとした。
「嫌だ、京利と一緒に寝る」
京利の首に巻きついて、抵抗した。
「でも、それじゃあ凛の疲れが取れない」
「嫌だ、ひとりで寝た方が疲れ取れない」
京利の首筋からとても甘い匂いがする。
ふんふん。いい匂い。
顔は見えないけど、でれでれしてるんだろうな。
「しょうがないな。いつも通り一緒に寝よう」
「やった!ありがとう京利」
「あとで、美味しいご飯で二人で乾杯しよう。赤坂に頼んである。少しでも食べて寝ような。そのまま楽に横になれるか?いまから温かいタオルで身体を拭くぞ」
「嬉しい!あっでも…。恥ずかしい」
何が恥ずかしいって、なんとオレは今、オムツを履いているのだ。子宮の洗浄時に使った生理塩水や、腸壁に残っている体液なんかが流れてきて、お尻が濡れてしまうようだ。
あと、たくさん力んだ後だから、尿漏れなんかも起きるようだ。だからこのタイミングは、オムツを履いて過ごすらしい。
女性が使うようなパッドは、男性だとおちんちんやぶらぶらするたまたまで、上手く位置が定まらないらしく、抑えきれないからオムツをするのが安心安全なんだって。
本当に?オレ、騙されてない?
「凛、大丈夫だ。凛の身体は全部覚えている。ちゃんとできる。お尻も一度拭こうな。気持ち悪いだろう」
いや、そういうことじゃないんだけだな。って思ったんだけど、確かに拭いてもらいたい。ううっ。
「じゃあ、オムツ脱ぐのは自分でやる!」
「だめだ!」
思いのほか強く言われてびっくり。
「凛は、今!人生の大仕事をこなして身体がひどく疲れているんだぞ。
オレにすべて委ねてのんびり気持ちよくなって、凛を労わせてくれ」
いつになく熱弁をふるう京利。
そう言って、お風呂場にお湯を取りにいった。
えっ違うよね?
京利にそういう危なげな趣味ないよね?
京利が急いで帰ってきた。お湯の水面がタプタプしてる。
「なんでそんな急いでるの?」
「凛が視界にいないと落ち着かない」
あやしい。
目が合わない。
「さあ、拭いていくぞ」
一度絞ったタオルを、京利がはたはたすると湯気がもわもわっとあがった。癒やされる~。
オレは、もう委ねることに決めて、上を向いてごろんとした。うわー上を向いてねれるって最高!妊娠後期は、お腹が苦しくて、とても上を向いてねられない。
そうしてオレが最高の気分でいると、京利はオレの病院の寝間着を手際よく上半分を脱がせて、まずは顔を拭いてくれた。
「京利、めっちゃ気持ちいい…」
続いて首、肩と拭いてそこで唐突に手が止まる。
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