116 / 154
116.『夜景が見えるレストラン』
「わあ!美味しそう!」
ベッドに設置した簡易テーブルの上には、素敵な赤いテーブル掛けが敷いてあった。
『夜景が見えるレストラン』で出てくるようなオードブルが、華やかな大皿に乗せられて、真ん中にでーんと配置されている。繊細な調理技術が施された料理の数々が、色彩豊かに少しずつ盛り付けられて、なんとも美しい。
本日は、京利とオレ、横に並んでくっついて座っている。それぞれの前に小さくカットされたお肉(たぶん絶対おそろしく柔らかい)が、これまた金の縁取りが細く上品に入った小皿に、オレには到底覚えられないような名前のトロミのあるソースが、かかっているようなかかっていないような絶妙な具合で、生花とともに飾り立てられいた。
そして、テーブルの端には、それぞれのシャンパングラスとふんわりしたパン、お箸が置かれていた。
「京利!すごいね!」
オレはもう一度、目をきらきらさせて眺め回した。京利に許可をもらって写真も撮らせてもらった。
「凛、乾杯をしよう。
今日は本当にありがとうお疲れ様、凛。
たくさんのプレゼントをありがとう」
「京利、たくさんがんばってくれて、
本当にありがとう。
京利がいないと、
きっとあんな上手に産めなかったよ。
京利、愛してるっ」
「俺も凛を愛している
これからもずっと一緒にいよう」
「「乾杯!!」」
軽快な、カチンという音が心地よく響く。
京利が用意してくれていたノンアルコールのシャンパンで乾杯した。とても美味しいシャンパンだった。それ以上何も言えないけど、とても爽やかな甘みのシャンパンだった。美味しい。最高に嬉しい。
全部オレの為に用意してくれていたんだね。赤坂さんもありがとうだよ。
乾杯のあとは、一品一品、京利と感想を言い合いながら、食べた。全部美味しかった。
「うわっ!これめっちゃ美味しいよ!京利あ~ん」
嬉しそうに、蜂蜜色の瞳が緩んで細められる。京利は、こぼしてなるものかという意気込みを感じる大きな口でぱくっと食べる。
「ふふふ、どう?」
ごくんと京利は飲み込んで、
「美味い」
優しい微笑むを浮かべてオレだけを見ている。
「これ何ていう料理なの?」
京利の顔が近づいてくる。
「これは、……わからないな」
唇と唇がもう間もなく触れてしまういそうだ。
「ぷふっそんなわけないでしょう?」
唇と唇が触れ合う。
お互いの優しい熱を感じ合う。
唇を重ね合う。
最高に幸せな心地だ。
結果、たくさん食べられた。いっぱいおっぱい出そう。出たらいいな。凛真にたくさん飲んで欲しい。
どうやらオレは、食べながらうとうとし始めていたらしく。
京利がトイレと歯磨きだけしないか?って聞いてくれて、うん。したい。って答えて、がんばって意識を戻そうした。
それで京利に手伝ってもらいながら、それらを全部すまして、抱っこしてもらったところぐらいには完全に夢の世界だったかもしれない。
最後に京利が、ゆっくりおやすみ、って唇にキスしてくれたことだけ覚えている。
オレは、すぐに深く眠ってしまったけど、随分あとになってから、『俺がキスをしたら、きゅっきゅって笑ったんだ!可愛くて悶絶して呼吸がとまってしんでしまうところだったんだ!』という大袈裟な話を何度も聞くことになる。
んぎゃあ、ふぎゃ...
はっ!
「凛真っ」
「凛っもう起きたのか?」
驚いた顔をした京利が飛び起きたオレを、寝そべった状態で見ている。なんか京利またかっこよくなってない?
「おはよう京利っ!行かなきゃ!」
「凛真のところに?身体は大丈夫なのか?」
「うん!元気!京利、昨日はごちそうさま~」
ぎゅうって京利に抱きつく。京利はすぐに抱きしめかえしてくれた。あたたかい。
「京利!凛真が泣いてるんだ、さみしい腹へったって」
あなたにおすすめの小説
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜
水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。
言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。
強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。
だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。
「触れるな」
お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。
だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。
言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。
誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。
孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。
二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。
大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)
子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ
喰われるなんて聞いてないんだが(?)
俺はただ、
いちご狩りに誘われただけだが。
なのに──
誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に
なぜか俺が捕まって食われる展開に?
ちょっと待てい。
意味がわからないんだが!
いちご狩りから始まる
ケンカップルいちゃらぶBL
※大人描写のある話はタイトルに『※』あり
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。