ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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117.目はまだ開いていない。



 すっかり快復したオレは、京利にフォローされながら、ここ新生児ルームに併設されたオメガ性の専用授乳室に来た。京利がいるから、贅沢にも個室にしてもらった。(ありがとう京利!いっぱい稼いでくれて!)だって、京利にも見てて欲しい。初めての授乳!

 オレは、少々テンションが上がりすぎていて、危なかっしかったのか、京利に抱き上げられて、丁寧にソファの上に降ろされた。

 このソファ、ゆったり座れるし、沈みすぎない。安全に配慮されている。気持ちいいな。
 
 今、京利とオレは、新生児ルームから我が子、凛真がやってくるのを待っている。あ~そわそわする。まだかなまだかな。大丈夫かな。


 京利が手を握ってくれた。
 えっオレそんなに落ち着きないですか?


 んぎゃんぎゃっふんぬふんぬっふぎやっ


「泣いてる!」


「来たな。元気な声だ」


「確かに」


 オレはもうなんかどういう感情なのかわかんないからとりあえず京利の手を握った。オレ汗ばんでるな。


 ガチャ

 扉を開けて、凛真を抱っこした看護師さんが笑顔でおはようございます、ってにこやかに入ってきた。凛真は火がついたように泣いている。凛真と看護師さんの笑顔の対比がすごい。


「凛真、どうして泣いてるの?」


「赤ちゃんは、とにかく泣きますね。今はさっきオムツを替えましたから、もちろんお腹が空いているのと、お母さんとお父さんが来てくれてさみしかったよ~って泣いているのかもしれませんね」


「わかるんですか?」


「お母さんとお父さんならすぐにわかるようになりますよ。はい、まずは抱っこしてみましょうか」


「はっはい」


 看護師さんは泣いている凛真をオレの胸に押し付けて、抱くときの腕の位置や姿勢などを丁寧に教えてくれた。


「うひゃ凛真っ泣かないでお母さんが来たよ」


 変な声が出たのは、凛真が思ってたより温かくてうごめいていて、なんか生きてる!って思った。どんな感想だよって自分でも思う。とにかくなんかすごくとんでもない生命力を感じるんだ。

 そして抱いて改めて思う。

 凛真っ可愛いっ!この赤ちゃんが我が子だと間違いなくわかる。産まれたときにも抱かせてくれたけど、産まれたてのときとお顔の色も表情も全然違う。でもわかる。この子はオレが産んだ子だ。絶対に間違えない。


「ふふ、お母さんに甘えている泣き声にかわっていますね」


「ええ!ほんとに?ねえ京利っ可愛い!」


 京利は…ずっと動画を撮っていたようだ。
 違うな。真剣に撮り続けている。
 京利、ぶれないね。


「さっそく、おっぱいをあげてみましょうか」


「うん、凛真、飲みたいみたいだね」


「凛、わかるのか?」


「うん!ほら京利も見てみて、おっぱい探しているんじゃないかな」


 なんか凛真が一生懸命、胸に顔を寄せるような、口をはむはむしているような仕草が何かを探している?ように見える。目はまだ開いていない。

 そう!あれだ。わんちゃんやにゃんこが産まれてすぐにお母さんのおっぱいを探すあれ!


「凛真、もうちょっとまってくれる?お母さん今から準備するからお願いだよ」


 ふにゅふにゅ言ってるけど泣きはしていない。


「では、捲ってみてもらえますか?おっぱいを確認しますね」


 今来てる服は、授乳用に胸の部分が開くデザインの服だ。産まれる前に、さえたんにアドバイスをもらいながらネットショッピングをしたんだ。ふわふわの素材だし赤ちゃんに触れても怪我をしないようになっている。

 胸の生地が重なっている部分を捲って、ポケットになっている部分に差し込むとおっぱいの部分が綺麗に露出する。

 京利がなぜか息を呑む。

 看護師さん(ちなみにオメガ性の女性)が、オレの乳房と乳首の張り具合や柔らかさを確認している。


「良いですね、とっても準備ができている状態です」




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