ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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118.急に親近感が湧く

 
 
 看護師さんが、チェックをしてくれている間も、凛真は手をわきわき動かせて、ぶにゃふにゃ言いながらしきりに顔を動かしてはぶつかるオレの胸あたりに向かって何かを探している。匂いでわかるのかな。


「これならあとはもう、赤ちゃんに吸ってもらうことで、母乳がすぐにたくさんでてくるようになりますよ。毎日トレーニングされていたんですね!

 今、私どもの病院では、授乳前のおっぱいの清拭や消毒を推奨していません。お母さんの匂いがなくなってしまうからですね。
 とくに汚れが気になるようなときは、きれいな濡れガーゼで拭いてもらっています」


「はい、わかりました」


「それにしても、凛真さんは本当にお利口さんですね。こんなに賢く待っている赤ちゃんを私は見たことがありません!」


「「そうなんです!!」」


 京利とオレの声がかぶる。


「ふふふっ息ぴったりですね。

 それでは、いよいよ咥えさせてみますね。最初は、お母さんだけじゃなくて赤ちゃんも不慣れです。こうやって乳首を優しく引っ張ってぺちゃんこにするイメージで伸ばして、赤ちゃんのお口に持っていってあげます。赤ちゃんが大きくお口を開けたタイミングが良いですね。大切なことは、深く咥えてもらうことなんですよ。咥え方が浅いと、赤ちゃんも上手く吸えないし、お母さんの乳首の方も痛く傷ついてしまうだけになってしまうんですよね。はい、今です!」


 看護師さんがタイミングを見計らって、凛真が大きくお口を開けた瞬間にオレのぺちゃんこに伸びた乳首をはめた。凛真は、ふんにゅってぎゅっとお口を閉めた。


「あっ!吸ってるっ!すごい力!」


「良いですね!今すごく理想的な位置に乳首がはまっています!あっ、ちゃんと母乳が吸えていますね」


「ほんとだ!なんかすごい吸われている感じ!」


「凛真さんもお母さんも、とってもお上手です!この感じで授乳を進めていきましょう。お母さんのおっぱいならたくさん母乳が出ますよ」


「本当に?!めっちゃ嬉しい。凛真ゆっくりたくさん飲んでね、聞いた?京利!」


「美しい……」


 ヨダレを垂らし、ほうけた顔でオレと凛真を見つめている。

 …ちょっとほっとこう。
 なお、カメラの録画は続いている。


「これでまずは右側のおっぱいを飲んでもらっているので、今度はタイミングを見計らって左側も吸ってもらってくださいね。
 例えば、赤ちゃんがおっぱいを吸いながら眠ってしまったりお腹がいっぱいになってしまったら、次の授乳を左側にするとか。両方のおっぱいを均等に飲んでもらいましょうね。偏ると母乳の出方も偏って、おっぱいの中で炎症が起きたりしたら、赤ちゃんもお母さんも困ってしまいますからね。
 あと色んな向きで飲んでもらうのも大事なので、これからお母さんも赤ちゃんも慣れてきたら、いろいろ試していきましょうね」


 「よろしくお願いします!」


 うわあ、めっちゃ可愛い。
 めっちゃ愛おしい。
 一生懸命にオレのおっぱい飲んでる。
 やばい。賢い。可愛い。

 オレがうっとり凛真の姿に見とれていると、


「本当に、凛真さんは賢い赤ちゃんです。私の時なんて、はじめは泣くばかりで、全然上手くいかなかったんですよ。凛真さん、ご立派です」


 ふと顔を上げると、看護師さんもオレと同じようにうっとりしていた。


「えっ看護師さん、赤ちゃんいるの?今何歳?」


 オレってば、急に親近感が湧くじゃん。

 看護師さんは一瞬、驚いた顔をしていたけど、すぐに笑顔になって答えてくれた。


「14歳になりましたよ。
 多感なお年頃ですが、偉そうですし、立派な馬鹿息子です。ベータ性で男性で、夫と同じです。

 本当に最初の授乳は、大変なんですよ。

 実は私、助産師でして、冴様に師事している弟子のひとりなんです」




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