ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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121.むっちりしても良しとした

 


 朝食のさくふわクロワッサンサンドと牛乳、フルーツ生搾りジュースをたらふく食べたオレは、お腹いっぱいでごろんとベッドに寝転がっている。

 京利は、横で一緒に寝っ転がり、オレの頭を撫でたり手を繋いだり至るところにちゅっちゅっしてみたり、ひどく楽しそうにしている。


「ねぇ京利、そんなことばっかして飽きないの?」


「飽きるものか、凛はいくらでも愛でられる」


「そうなんだ、ふふっくすくす」


 脇腹を撫でられてくすぐったい。


「凛、眠たくなったなら眠るといい」


「ありがとう」


 確かに眠たいな…くぅくぅ。

 秒で眠れるのはオレの特技だ。


「凛、可愛すぎる!」





 んぎゃあふぎゃあふんっふぎゃ


「凛真っ!泣いてる!」


 京利の方を見ると、こちらを見て微笑んでいる。テーブルにノートパソコンがあるから、お仕事していたのかな。


「凛には、凛真の声がわかるんだな」


「うん。わかる。泣いてる。行かなきゃ!」


 もちろん、ここまで凛真の声が聞こえるわけがない。この特別な個室がある本棟とオメガ性専用の別棟は離れている。

 でも何となくわかるんだよ。

 まあそれはそれとして、凛真の授乳は、何時間おきに行うというような時間を定めず、お腹がすいて泣いているようなら電話で呼んで、と新生児ルームの方にお願いしてある。まだ電話がかかってきていないところをみると、凛真は泣いていないのだろう。


「さあ凛、準備をしよう」


 来たなっ!
 オレにも作戦がある。
 


「じゃあお風呂場の方でブラジャー着けてくるね」


 さり気なく言いきる。


「凛っ、ちょっと待って……。


 …この吸収パッドも持っていけ。
 胸に専用ポケットがあるから挟んでおくんだぞ」


 ふふん、勝った。
 京利の悔し気な顔っ見ちゃった!
 可愛い!


「京利ごめん、よくわかんないから着けてくれる?」


 オレは、ちょっとした京利へのいたずら心だったんだけど、京利の尋常じゃない凹み具合が可哀想になってきて、素直にお願いすることにした。


 しょんぼりしていた京利が、散歩に行く大型犬のように耳をぴょこんと立ててこちらに飛んできた。


「任せろ!ちゃんと勉強した」


 さすがの京利、器用に上半身裸のオレに着けてくれた。念の為、鏡でおのれの姿を確認してみる。


 なんだこれ!?オレ、やばい。
 むちむちじゃん。これが産後太りってやつ?!


 でもまあいっか。オレが美味しくたくさん食べて良い母乳を出して、凛真にいっぱい飲んでもらって、健やかに大きくなってもらうんだ。

 母乳を出している間は、むっちりしても良しとした。

 でもこうして見ると、パッドを入れているからか、オレにおっぱいという部位が出来上がっていた。
 へ~すごいな。鏡で確認しながらブラジャーの上からおっぱいを持ち上げて、寄せて谷間を演出してみた。

 お~!いいじゃん。
 ってこんなことしてる場合じゃないから。


「京利、早く行こ!」


 振り返ると、鼻血を垂らして呆然とする京利がいた。


「京利…もしかして、この姿に興奮したの?」


 鼻血を手で押さえながら、うんうん頷く京利。なにそれ、嬉しいんだけど。

 ティッシュでそっと鼻血を拭いてあげた。

 すぐに京利がオレを抱きしめてくる。


「最高だ!最高だ!最高だ!凛!最高に可愛い」


 いや語彙力ごいりょくっ!!


「オレ、むちむちになっちゃったけど、凛真に母乳をあげている間は、良しということにした。むちむちなオレでもいいよね?」


「もちろん、どんな凛でも俺の愛は変わらない」


 鼻血でてるのに、そんな激しく頭振っちゃだめだって!また出てきちゃうじゃん。

 オレは、ティッシュをぐるぐるに丸めて小指ぐらいの大きさに固めて、超絶イケメンの細く高い美しいお鼻の穴にブスっと挿し込んだ。


 興奮した京利をなんとか鎮め、急ぎ新生児ルームに向かう。




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