ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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123.薔薇を背負った京舞くん




「搾乳も、京利様にお手伝いしてもらったらきっと上手くいくと思います」


「真中さん、京利から賄賂わいろとかもらってたりする?」


「うふふっそんなものもらってませんよ~。

 ただ私は、四ノ宮家の繁栄を祈っているひとりではありますね。

 くふふっ凛さんてほんと面白い方ですね」


「いや別に、笑いを取ろうとはしてないんだよね」


 オレは口をとがらせて、ぷくーってふくれた。


「ごめんなさい凛さん。それより凛さんの今のお顔をみて大事なことを思い出しました。お伝えしますね。
 凛真さんの唇を見てください。ほら、唇が前に出て、たらこ唇のようになってますよね。これは、とてもいい感じに乳首を咥えてくれているサインともいえます」


「へえ!そうなんだ。このチュウするときのような唇だよね?さっき、めちゃくちゃ可愛いと思ったんだ」


 俺ともチュウしよう。

 …なんか聞こえた気がする。


「そうです。このお口です。

 あと赤ちゃんは、歯茎でしごいてお乳を出しているので、お母さんの乳首のケアはとても大事なのです。
 授乳中のお母さんの多くが、乳首にトラブルを抱えていると言います。

 今のところ、夜はゆっくり休んで頂けるので、この軟膏なんこうを必ず塗り込んで寝てください。天然由来の成分でできているので、凛真さんが舐めても大丈夫な軟膏です。
 乳首ケアを怠ると、お母さんも痛いし、赤ちゃんに上手く吸ってもらうこともできなくなって、それが理由で母乳生育を断念される方もいるんですよ」


「それは困るね!絶対に塗るよ」


「はい。他にも困ったことがあったら教えてくださいね」


 真中さんは、そう言うとチューブに入った軟膏を渡してくれた。あっ

 
「お腹いっぱいになったみたいですね」


「可愛いなぁ」


 オレは、眠ってしまった凛真を見つめた。今日もカメラでオレを撮影していた京利だが、カメラをおろし、オレの座っているソファにやってきて、隣にくっついて座った。オレの腰に腕を回して、一緒に凛真の寝顔を眺める。


「可愛いな、凛にそっくりだ」

「京利に似て、イケメンなんだよ」


 そんな不毛なやり取りが、
 何よりも幸せなことだと理解する。
 オレは、この幸せを享受きょうじゅする。

 もう何ものにも負けたりしたい。

 恐怖も絶望もクソ食らえ!

 オレは、オレの家族を守るんだ。

 だから、凛真、安心しておやすみ。








 部屋に戻ったオレと京利は、立ち尽くしていた。

 京舞くんがいる。相変わらずの美形だ。
 背景に薔薇(生花!)を飛ばしている。


 辺りは、花、花、花花花花花………。


 部屋の中は、薔薇(ばらであってるよな?)と、あと、秋桜!と…その他いろいろなお花で溢れかえっていた。それも上品に可憐に、花籠や花瓶、花器にいけられているものもあれば、巨大な花束もある。
 窓際には、ドライフラワーが飾られていた。ベッドのサイドテーブルには、ポプリが置かれていた。
 それらには、赤いギンガムチェックの生地がふんだんにあしらわれていて、とても可愛らしい。

『妖精王』再びのご登場だと思われる。


 薔薇を背負った京舞くん。

 完璧な構図だ。


「この部屋どうなってんの?凛真っちは?」


「京舞くん!来てくれたの?嬉しい」


「まあね。今日やっと学校が休みになったから」


「凛真には今、母乳をあげて帰ってきたとこなんだ」


 あとで真中さんにお願いして、京舞くんにも会ってもらおうっと。それより!


「あのね、京舞くん!
 凛真の産まれてすぐの写真あるよ!みる?」


「見る」


 即答だ。

 ここでオレは、なぜかまたいたずら心がうずうずしてしまう。オレってばちょっと浮かれてる?なんかはしゃいじゃってるのかもな。


「ええ、どうしよっかな~」


 わざとらしく悩む。


「なんでだよ!美味しいチーズケーキ持ってきたのに」




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