ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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124.華麗にスルー



「え!京舞くん冗談じゃん!
 映像もあるよ」


「くっそ!見たすぎる!」


 すっかりお口が悪くなったな。
 京舞くんの素の姿いいね、うんうん。


「じゃあチーズケーキもらうね」


「食えよ!たくさん食え!
 早く写真と動画見せろよ」


 京舞くんが、情緒不安定になっちゃった。


 オレは一緒に見よう(京舞くんの反応が見たい)と思って、写真やらタブレットを持って、うきうきでどっこいせっとソファに座ろうとすると…


「凛」


 低く唸るような声。
 うへ~こっちは激おこじゃん。


「なあに?京利」


 はにかみながら返事をすると、


「今からお昼ごはんが届くからこちらで座っていろ」


 オレは、すこし逡巡しゅんじゅんしたものの、ここは素直に従って京利のそばに戻ることにした。


「うわあ…どんだけ嫉妬深いんだよ」


 あれ?いつの間にか、京利にかける言葉も歳相応というか自然になってる。

 やったね。ふふふ。


「凛、何が可笑しいんだ?」


 うお!超イケメン京利の超イケメン眉間寄せ、いただきました~!かっこいい~!


「なにもおかしくないよ?」


 オレはベッドに上がりながら、京利の腕に自分の腕を絡めた。


「京舞くん、自由に見ていいからね」


 一言だけ声をかけて、京利にすりすりする。
 途端に京利の纏う空気が甘いものに変わる。


「あ~ありがとう」


 空気を読んだ京舞くん、さすがだね。


「京利、お昼ごはんなにかな」


「お昼は和食のようだぞ」


 そう言うと、オレをぎゅうっと抱きしめる。


「凛が足りない」


 そうだよね。オレも京利足りないもん。
 京利に余裕がないのはそのせいでもあるよな。
 こういうときは、物理的に寄り添うのが大事だ。





「ぎゃあ!!!」


 京舞くんの断末魔が聞こえる。
 ソファの上で転げまわっている。
 察したオレ達は、華麗にスルーした。


「こんな可愛いお部屋で和食たべるって面白いね。誰が準備してくれたんだろう。きっと大変だったはず。京利は、誰からの贈り物なのかわかってるの?」


「うーん、わかるようなわからないような…」


 京利にしては、珍しく歯切れが悪い。


 トントントン


「開けますよーいいですかー」


「さえたん!開けていいよ」


「っ…………」


 そうなるよね。さえたんも部屋の中を見て絶句している。


「これは…会長か?!」


「やっぱりか…でもなぜ…」


「ねえりんりん、屋上庭園で誰かに会った?」


「庭園で会ったことがあるとしたら、庭師のおじいさんぐらいだけど。京利にあげた薔薇も一本だけ譲って欲しいってお願いしたら快くわけてくれたんだ。その庭師さんになら会ったことあるよ」


「まじか!りんりん、そうかまじか…」


「凛、その方はな、この病院の創立者であり、世界の医療を100年早く進歩させた人として、何度も叙勲じょくんされている。今は引退されていてお花屋を営んでいるんだ。俺の大伯父おおおじにあたる方だ」


「つまり、僕のお祖父様だよ。

 今は確かにお花屋さんだけど、なかなかお目にかかることができない人でね。公の場には一切でてこない。

 僕も含め、医師や研究者が、医療の色んな話を聞いてみたいと思っているんだけどね。それなのに引退してからは、「後は任せる」といったきり、完全に医療から身をひいて、どこにいるのか決してわからないんだ。
 おじいちゃんの医療の知識は、今までの論文でも十分学べるけど、やっぱり生で聞きたいこともあるんだよ。
 たまに発売される著書を読んでは、彼に会えるのをみんな夢みている。

 それなのにさ、りんりん、会っちゃうだもん。ずるいよ」


 なるほど。


「確かに不思議な感じの人だった、このお花達のお礼はどうしようかな」


 考えているフリをしつつ、オレはまったく違うことを考えていた。

 あのおじいさんは、仙人ではなく『妖精王』だったのかも、なんてね。




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