ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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133.自然の摂理

 


 うふふふふふ…ふふ…


 凛真が、京利とオレが過ごしている特別個室にいる。産まれてはや一月。凛真は、少し小さく産まれたけど、今やどっちかというと、ぽちゃぽちゃしている印象だ。先程から、お口がさみしいのか、自分の指を咥えたいのに上手く扱えないのか、足もぴょこぴょこさせて、うごうごしているのが、もうとにかく可愛い!!可愛いんだよっ!うちの子はっ!!

 ふー。ちょっと興奮してしまったぜ。

 凛真が部屋に来てから、ベビーベッドの上に寝かせているわけだが、オレは、その凛真をずーっと見ている。京利はそんなオレの横にぴたーってくっついて、お仕事をしている。時々、いや結構な頻度で思い出したように、オレにちゅってして、凛真にはとびきり優美ゆうびな笑顔をおくる。

 オレ、最っ高に幸せです。

 もちろん赤ちゃんだから、びゃーびゃー泣くんだよね。泣く泣く!めっちゃ泣く。すっげーでっかい声で泣く。でも真中さんが言っていた通り、凛真が伝えたいことが何なのか分かってきた。要望により、泣き方が全然違う。

 赤ちゃんてすごいね。

 どうしてそんな余裕があるのかって?

 そりゃそうでしょ。
 オレはひとりじゃないからね。


 京利が四ノ宮家の人間だから?
 特級のアルファ性だから?
 お金が腐るほどあるから?
 フォローしてくれる人がたくさんいるから?
 番が子育てに積極的に参加してくれるから?
 

 オレの場合、理由はいろいろ考えられるよね。
 でも、そういうことではないんだよ。

 いくら自分の気持ちに嘘をついて、拒んでいたとしても『運命の番』は『運命の番』だし『京利』はどう転んでも『京利』なんだ。自然の摂理ってやつ。

 結局オレは京利なしでは生きていけない。
 生きていけるかもしれないけど生きていけない。

 京利もオレも、出逢ったときにお互いに番になったパートナーがいなかったのは、本当に僥倖ぎょうこうだったと思う。でもいなかったのもまた『運命』なんだろう。

 京利とオレは、出逢った。
 番になった。
 赤ちゃんが産まれた。

 こんなに幸せなのに、何を拒むというのだろう。『運命』だから好き。それでいいではないかと思う。

 オレは、『運命の番』だから京利が好き。そこに人格もクソも関係ない。それで完結する問題だ。


 ところが、オレの『運命』はとびきり甘くて優しくて賢くて、イケメンで健康で、力も強く情熱的だった。
 そして、いつも優しく『凛』と呼んでくれる。いつも優しく抱いてくれるんだよ。

 これは愛だ。滅びることのない愛。

 京利は、オレが『運命』だから、甘くて優しいのかもしれないけど、それこそ自然の摂理だと思わない?だったら極限までオレは享受するよ。

 オレは、『運命の番』だから京利を愛している。
 『運命』でなかったら愛していたかはわからない。

 それは何も悲しいことではない。

 大事なことはひとつだけ。
 オレ達は、愛し合っている。

 ごちゃごちゃ言わない。
 ごちゃごちゃ考えない。


 だからオレは今後も、この幸運に身を任せ、京利に甘えて、パパとママに甘えて、メイに叱られたりしながら生きていくんだ。


「凛、ここを出て落ち着いたら、結婚式がしたい」


「えっ!結婚式しないと思ってた」


「するに決まっている。凛の花嫁姿が見たい」


 男性のオメガ性の花嫁衣装は、さすがにドレスではないけど、ジャケットの裾が長くなって(冬用のロングコートみたいな感じ)いて、下半身は隠すように作られている場合が多い。


「うん!オレも結婚式したい。京利の花婿さん姿、見たい!」


「まずは、一旦両親の家に帰ろうか。凛真が赤ちゃんのうちは、人員がたくさんいる方が手伝ってもらえるし、教育にも良いだろう。それに夜、二人きりになれるチャンスも安心して作れる」


「うん!大賛成!」




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