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3.いい子だ
ずっと探していたんだ。
オレをぎゅうぎゅう抱きしめながら悲壮感に溢れた声で言い、オレの心臓をわしづかみした。
「ごめんなさい」
オレは、今まで運命の番なんて絵空事だと、何も探さず何も求めず、何も信じてこなかった。それなのに、ケイトはずっと探してくれていたなんて。
オレは、とてつもない罪悪感と、とてつもない喜びの感情に揺さぶられて、とうとう涙が零れてしまった。
「リン、俺の名を呼んで」
「はい。………ケイト」
ひとつ頷いて、声が震えたけれど、ちゃんと呼べた。嬉しい。
「いい子だ」
ケイトは、笑った。白くて美しい並びの歯を見せて、華やかな薔薇園のつぼみが一気に咲いたように、それはそれは艶やかに笑った。右手の甲と長く美しい指で、オレの頬を擽るように撫でてくれている。
見惚れた。もともと目は離していないんだけど。
オレの番は、思ったより若いのかもしれない。幼さと妖艶さが混じり合い、そこに獣のような鋭い色気が突き刺さって、この雄を最大限に演出していた。
信じられないくらいにかっこいい。いつまでも見ていたい。この時になって、ようやく心臓の音が帰ってきた。はち切れんばかりに鼓動を刻んでいる。本当に今の今まで止まっていたのかもしれない。
もう一度、ケイトはオレを引き寄せて抱きしめた。ケイトの唇がオレの耳にあたっている。
「リン、キスするから」
ケイトは、オレの耳穴にそっと吹き込むように宣言した。なんて素敵な声なんだろう。それになんていい匂い。
選択権はなかった。でもそれで良かった。
二人の唇が重なりあった。自然に目を閉じた。
番の気配を初めて感じた時以上の衝撃なんてもうないだろうって、そう思っていたのに、簡単に覆る。
唇が触れ合った瞬間、バチって静電気が弾けるように痺れて、その後は熱せられたガラス同士が凝着するように、二人の唇は離れようとしない。
ケイトが、何度もオレの唇を確かめるように、ちゅっと、音を立てて、キスをしてきた。オレはもう、気持ち良くて気持ち良くて、涙を流して蕩けていた。やがて下唇をはむはむされだした時には、立っていられなくなっていた。そんなオレをケイトは逞しい腕でしっかりと抱きしめてくれていた。
オレは、うっすらと目を開けた。ケイトは、蕩けるような甘い眼差しでオレを見ながら、キスをしてくれていた。
オレが目を開けた事に気付くと、ケイトは、唇をくっつけたまま、ふふって微笑んだ。
少しびっくりしたオレの唇の隙間からケイトは熱くて柔らかい舌を潜り込ませてきた。
「ふっ、ううん、はぁあ」
唇と唇がぴったり合わさっている。その間を、二人の舌が行き交った。ケイトは、オレの口の中を丁寧に舌で撫でた。歯と歯の間を擽った。それこそ外側から内側から一本づつ擽った。オレが、舌をどうしたらいいのかなって迷うと、ケイトがオレの舌を甘噛みするもんだから、たまらない。ケイトの口の中に舌を導かれてざりざりと擦り合わせたり、お互いの味を確かめ合う。
そのようにして、飽きることなくキスをしていたから、オレの口の周りは飲みきれなかった唾液が垂れてしまっていてぐちゃぐちゃだと思う。涙の跡もひどいものだろう。
誰だよ、キスの時は鼻で息をしたら大丈夫って、いったやつ。全然大丈夫じゃない。苦しいよ。
それに、身長差があるから、オレのヘソあたりに、番の硬く、大きく、熱くなったものが押し付けられいた。もちろんオレのものだって硬くなってる。
欲しい、欲しい、欲しい、ケイトが欲しい。
「このまま連れ去っていい?」
と、またケイトは耳穴に吹き込むように言った。
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