ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

文字の大きさ
4 / 154

4.絆の根底にあるもの

 

 このまま連れ去ってくれるんだ。嬉しい。もうオレの頭は正常に動いてないし、早くオレの全部をケイトのものにして欲しいとそれしか考えられない。


「連れ去ってケイト、早く」


「すごい殺し文句だ」


 まだ理性残しておきたいのに。
 ケイトがぶつぶつって何かを言った。


「当分帰してあげられないけど、連絡しないといけない人はいるか?」


 頭がバカになったオレにも分かるように、もう一度聞いてくれた。え、帰してもらえないの?なんて最高なんだ。嬉しい。
 でも、ケイトがオレの事を考えて聞いてくれているんだから、って蕩けた頭でちゃんと考えようとしたらほんのわずかに理性が戻ってきた。


「あっ、メイ!」


「メイ?」


 あれっケイト怒っちゃった?どうして?かっこいい眉毛がつり上がってる。怖い顔だ。でもかっこいい。


「家族か?」


「ううん、家族みたいだけど大切な人」


 ちゃんと説明したのに余計に怒らせちゃったかも。しかめっ面になってる。あぁ、オレの番は、しかめっ面でもかっこいい。


「あのね、オレ家族いないんだけど、幼なじみのメイがいろいろ精神的に支えてくれたんだ」


 今度こそ、オレちゃんと説明できたよね?
 あれれ?すごく苛立いらだってる感じ?


「くそっ」


 そう悪態をついて、オレをまた抱きしめた。


「これからは俺がずっとそばにいるからな」


「うんケイト、大好き」


 うがが、って変な声を出して、ケイトが頭を抱えた。


「とにかくメイとやらに電話しろ。途中で代わる」


 熱い息を吐き出しながら頷く。


「リン、自分でそこまで出来るな?」 


 甘やかな顔で頭を撫でられながら言われて、ゾクゾクする。


 ここで久しぶりにスマホを取り出してみると、メイからメールやら着信やら、たくさん来ていた。心配かけちゃったな。
 特別講義どうしたんだろ、と思いつつ、電話をかけた。メイは直ぐにでた。


『リン!リンなの?!今どこ!何があったの?!』
 矢継ぎ早に質問が飛んできた。


「メイごめん。オレの運命が居て、今一緒に居る、これから何処かに連れて行ってくれるって」


『はあ?何言ってんの!本当に運命なの?!』


「運命でまちがっ」


 そこでケイトがオレのスマホを取って話しだした。


「俺はシノミヤケイトだ。リンは今発情期に入ったみたいだから、俺のマンションで二人で過ごす。だからリンの事は心配しなくていい。これからは俺に全て任せろ」


『ちょっと待ちなさい。リンは今まで一度も発情期が来なかったのよ。そんな言い分、聞けるわけない。とにかく一度会わせて』


「ダメだ。今のリンを俺以外に見せる気はない」


『………。じゃあ絶対にリンのネックガードは外さないで。私と会ってからじゃないと番になんてさせない。それが耐えられないなら、リンを帰して』


「なかなか厳しい事いうね。出来ればキミとは今後仲良くやっていきたいんだが」


『あなた次第よ。リンに代わって』


 オレは、思いっきり拗ねていた。なんでケイトはメイと仲良くしようとしてるの?


「メイ、心配かけてごめん」


『リン、まだシノミヤさんを信頼してはだめよ!』


「うん」


『また絶対連絡してね』


「うん」


 運命が現れたって、絶対に信用しない。 


 オレとメイの共通認識として、お互い何回も確かめあった事だ。オレとメイの絆の根底にあるものだ。なんだか目が覚めた。


「メイありがとう、また絶対連絡するから」


 そう言って、電話を切った。

 ケイトを見ると、ニコニコと口元を緩めてこちらを見ていた。目が覚めた心地のオレは、少し疑いを含んだ目になっているかもしれない。


「リン、さっきのヤキモチか?やばい、俺の番が可愛すぎる。悶え殺す気か。早く自分のフィールドに連れていかないと。フェロモンも安定していない」

 
 ケイトは、オレの手を握った。




感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜

水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。 言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。 強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。 だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。 「触れるな」 お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。 だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。 言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。 誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。 孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。 二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。