15 / 154
15.可能性は0ではない
その時点でオレは大口を開けて、ポカーンとなった。世界中にグループ会社がある、あの世界の四ノ宮?!
ひえええええ!
でもまって、
「京利でケイト?!めちゃくちゃカッコイイ!」
「今までそんな風に考えたことがなかったけど、凛がカッコイイって言ってくれるなら…ふふ。大切にするよ⌋
「京利…」
目を見つめて、ゆっくり呼んでみた。
うわぁあすっげえ好き。
「凛…」
思わず見つめあう。
京利は、優しくて優しいやわらかいキスをしてくれた。オレはうっとりした。オレも真似をして、やわらかいキスを返した。あわさっていた唇をゆっくり離して、京利の胸に顔を押し付けてスリスリした。すかさず京利もオレを抱きしめて、両腕で支えてくれる。いい匂い、幸せだな。
「俺は、生まれた時から大金持ちで、英才教育を受けてきた。与えられることが当然だと思っていたし、与えられているってことをよくわかっていなかった。
両親は、アルファ性同士で『運命の番』ではないけれど、仲が良かった。いつもイチャイチャしていた。俺は、それが普通だと思っていて、当たり前の事だった。
弟がひとりいるが、両親は優劣なく、育ててくれた。今思えば、それがどんなに素晴らしい事かわかる。
学校に通い出すとな、いろんな奴がいて、いろんな家庭があったんだ。そうすると、うちの家族は円満なんだなって、生まれて初めて気づいた。
俺の事も、とても大切に育ててくれていることがわかるようになった。
そこからは、俺は俺の家族を守ろう。って密かに決意を固めて、勉強もスポーツも、アルファ性に求められることは精一杯頑張った。ただ社交術だけは全くダメだった。
両親は、『それはあなたの持ち味なんだから、ダメだなんて。否定するような事は言ってはいけないよ。必ず、良き出逢いがあるはずだからね』って根気よく何度だって教えてくれた。
そうやって言って貰えたから、特に気負う事もなく、自然な俺で生きてこられたんだと思う」
「うわ!本当に素敵なご両親だね!」
オレは、嬉しかった。オレの京利を産み、育ててくれた人達が素晴らしい人間で良かった。京利が幸せに生きてくれていたことが、何よりも嬉しかった。にこにこ。
「それで、ふと、その時思い至ったんだ。
『運命の番』に出逢ったら俺もこの両親のように、幸せな家庭を築くことができるんじゃないかなって。それは奇跡のような確率だけど、可能性は0ではない。
そこから、俺はあらゆる集いに顔を出して、父親の仕事について回った。そのうち、社交性も身についてきて、楽に滞りなく関係性を深める術を手に入れたんだ。
あの日も、教授の関係者に頼まれたことがあって、たまたま大学に行ったんだ。そして凛に出逢う事ができた。
こんな俺は重いか?面倒になったか?
凛、俺は今持っている全てを、凛のためなら捨てられる、だから俺を利用してくれてかまわない、側に居させてくれ」
「京利、何も捨てないで。京利のありのままをオレにぶつけてくれたらいいんだよ。オレからもお願い、側に居ることを許して」
京利は、愛おしさに純度の高い蜂蜜をたっぷり混ぜこんだ目で、オレの髪の毛にキスをする。
「凛、今まで頑張って来てくれてありがとう。俺を受け入れてくれてありがとう。俺の凛が、とてもカッコいい理由がわかった。俺は、凛そのものに心底惚れてしまったよ。きっと何度も惚れ直してしまうんだろうな。これから先は、今まで以上に幸せいっぱいにしてやるから。覚悟しておけ」
京利は、オレの今までの人生を憐れむよう事は一切せず、しっかり生きてきたことを肯定して、感謝まで伝えてくれた。
京利の思慮深さに驚く。
なんていい男なんだ!最高かよ。
あなたにおすすめの小説
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜
水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。
言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。
強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。
だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。
「触れるな」
お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。
だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。
言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。
誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。
孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。
二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。
大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)
子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ
喰われるなんて聞いてないんだが(?)
俺はただ、
いちご狩りに誘われただけだが。
なのに──
誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に
なぜか俺が捕まって食われる展開に?
ちょっと待てい。
意味がわからないんだが!
いちご狩りから始まる
ケンカップルいちゃらぶBL
※大人描写のある話はタイトルに『※』あり
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。