ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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19.近すぎる

 

 今日は、今からメイがここに来てくれる。

 オレは、京利に抑制剤を飲まされて、情事の形跡が見えない服もきちっと着た。一番上のボタンだけ外して、ネックガードは、見られるようにしといた。

 メイには、京利がいかに素晴らしくて、かっこよくてスパダリがすぎるかを説明したいから、早く会いたい。


「凛、可愛い。服とても良く似合っている」


 おそらく、今着てるこの服は、京利の指示のもと、アカサカさんが買いにいってくれたんだと思う。京利は、ご機嫌でオレに下着から最後の靴下に至るまで、全部、着させてくれた。似合っているのなら良かった。

 そして、オレは今、京利に髪の毛を整えてもらっている。きっとこれは、噂のあれだな。アルファ性のマーキングってやつなんだ。メイにオレの発情フェロモンを匂わせないためなのかな。オレ的には、京利の気配に包まれていて至極しごく幸せな気分。鏡ごしに目があって、照れる。


「よし、完成!」


 鏡の中のオレ、すごく好青年になっている。
 それに、幸せそう。顔が緩んでるな。
 でも京利もでれってしてる。お互い様だね。


「ありがとう、京利」


 って、振り返ったら、カシャカシャカシャカシャって、連写でオレの写真を撮りはじめた京利がいた………。
 何か言おうと思ったけど、カシャカシャカシャカシャカシャカシャって、真正面から連写で撮られて、言葉を失ってしまった。
 無表情なのはあれかなって思って、とりあえず微笑んでおく。


「可愛いよ、凛、最高だ!」


「う、うん」


 ルルルルル、あっ下のコンシェルジュさんからの来客の合図だ。京利のスマホも震えた。これはアカサカさんかな。


「はい。来たか、わかった。丁重にお連れしろ」


「来たの?」


「ああ。赤坂がここまで案内してくれるから安心しろ」


「うん」


 なんかすごくドキドキする。
 相手はメイだから、そんなに緊張することもないのに。
 やっぱりメイが認めてくれなかったらどうしようって考えてしまうからだろうか。


 京利が、玄関に向かいながら、オレにリビングにいるように指示を出した。ソワソワしながらソファに座った。
 ガチャンと重そうな玄関扉が開いて、そして閉まった。廊下を進む音がして、今度はリビングのドアが開いて京利が入ってきた。後ろにはすごく久しぶりなメイが、ちゃんとついてきていた!オレは立ち上がる。


「凛!心配したんだから!」


 オレの姿を見て、駆け寄ってきた。


「メイ!いっぱい心配かけてごめん」


 お互いが近づいて、手を握りあって、ハグをしようと思ったところで、京利が来て、べりっとオレ達を剥がした。


「近すぎる」


「なんでよ。オメガ性同士なんだからいいでしょ?!」


「ダメだ」


 なんか京利とメイが言い合ってるけど、なんか二人の距離感近くない?なんかちょっと嫌なんだけど。


「幼なじみは、ここに座ってくれ」


 京利は、対面のソファにメイを座らせて、自分はオレの真横に座って当然のようにオレの腰に腕を回した。


「凛、とても元気そう、良かった。顔色も良いし、ツヤもあるし、ちゃんとご飯食べられているのね」


「当然だ。俺が居るんだから。幼なじみはまるで過保護なお母さんのようだな」


「少し黙ってていただけないかしら。四ノ宮様とお話するために、ここに来たんではないんです。それに私は、確かに凛の幼なじみで母親のようかもしれないけど、ちゃんと名前があるんです!」


 オレは、びっくりして目がまんまるになっていたと思う。メイは、気が強い。ところが、オレと居るとき以外は、感情を相手に悟られまいとするし、こんなにはっきり言い返すようなこともない。


「幼なじみのことを名前で呼ぶと、俺の凛が悲しむ」


 ねっ?って額にちゅって。
 ひえええぇえ!めっちゃ恥ずかしいんですけど。




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