19 / 154
19.近すぎる
今日は、今からメイがここに来てくれる。
オレは、京利に抑制剤を飲まされて、情事の形跡が見えない服もきちっと着た。一番上のボタンだけ外して、ネックガードは、見られるようにしといた。
メイには、京利がいかに素晴らしくて、かっこよくてスパダリがすぎるかを説明したいから、早く会いたい。
「凛、可愛い。服とても良く似合っている」
おそらく、今着てるこの服は、京利の指示のもと、アカサカさんが買いにいってくれたんだと思う。京利は、ご機嫌でオレに下着から最後の靴下に至るまで、全部、着させてくれた。似合っているのなら良かった。
そして、オレは今、京利に髪の毛を整えてもらっている。きっとこれは、噂のあれだな。アルファ性のマーキングってやつなんだ。メイにオレの発情フェロモンを匂わせないためなのかな。オレ的には、京利の気配に包まれていて至極幸せな気分。鏡ごしに目があって、照れる。
「よし、完成!」
鏡の中のオレ、すごく好青年になっている。
それに、幸せそう。顔が緩んでるな。
でも京利もでれってしてる。お互い様だね。
「ありがとう、京利」
って、振り返ったら、カシャカシャカシャカシャって、連写でオレの写真を撮りはじめた京利がいた………。
何か言おうと思ったけど、カシャカシャカシャカシャカシャカシャって、真正面から連写で撮られて、言葉を失ってしまった。
無表情なのはあれかなって思って、とりあえず微笑んでおく。
「可愛いよ、凛、最高だ!」
「う、うん」
ルルルルル、あっ下のコンシェルジュさんからの来客の合図だ。京利のスマホも震えた。これはアカサカさんかな。
「はい。来たか、わかった。丁重にお連れしろ」
「来たの?」
「ああ。赤坂がここまで案内してくれるから安心しろ」
「うん」
なんかすごくドキドキする。
相手はメイだから、そんなに緊張することもないのに。
やっぱりメイが認めてくれなかったらどうしようって考えてしまうからだろうか。
京利が、玄関に向かいながら、オレにリビングにいるように指示を出した。ソワソワしながらソファに座った。
ガチャンと重そうな玄関扉が開いて、そして閉まった。廊下を進む音がして、今度はリビングのドアが開いて京利が入ってきた。後ろにはすごく久しぶりなメイが、ちゃんとついてきていた!オレは立ち上がる。
「凛!心配したんだから!」
オレの姿を見て、駆け寄ってきた。
「メイ!いっぱい心配かけてごめん」
お互いが近づいて、手を握りあって、ハグをしようと思ったところで、京利が来て、べりっとオレ達を剥がした。
「近すぎる」
「なんでよ。オメガ性同士なんだからいいでしょ?!」
「ダメだ」
なんか京利とメイが言い合ってるけど、なんか二人の距離感近くない?なんかちょっと嫌なんだけど。
「幼なじみは、ここに座ってくれ」
京利は、対面のソファにメイを座らせて、自分はオレの真横に座って当然のようにオレの腰に腕を回した。
「凛、とても元気そう、良かった。顔色も良いし、ツヤもあるし、ちゃんとご飯食べられているのね」
「当然だ。俺が居るんだから。幼なじみはまるで過保護なお母さんのようだな」
「少し黙ってていただけないかしら。四ノ宮様とお話するために、ここに来たんではないんです。それに私は、確かに凛の幼なじみで母親のようかもしれないけど、ちゃんと名前があるんです!」
オレは、びっくりして目がまんまるになっていたと思う。メイは、気が強い。ところが、オレと居るとき以外は、感情を相手に悟られまいとするし、こんなにはっきり言い返すようなこともない。
「幼なじみのことを名前で呼ぶと、俺の凛が悲しむ」
ねっ?って額にちゅって。
ひえええぇえ!めっちゃ恥ずかしいんですけど。
あなたにおすすめの小説
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜
水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。
言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。
強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。
だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。
「触れるな」
お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。
だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。
言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。
誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。
孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。
二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。
大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)
子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ
喰われるなんて聞いてないんだが(?)
俺はただ、
いちご狩りに誘われただけだが。
なのに──
誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に
なぜか俺が捕まって食われる展開に?
ちょっと待てい。
意味がわからないんだが!
いちご狩りから始まる
ケンカップルいちゃらぶBL
※大人描写のある話はタイトルに『※』あり
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。