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20.必要のない報告
ここで、リビングのドアがノックされて、アカサカさんが入ってきた。お茶をいれてきてくれたようだ。トレーの上には、茶菓子もたくさんのっている。美しい所作で、テーブルにセッティングしてくれた。
ほへーアカサカさんてなんでもできるんだな。
はじめてしっかりアカサカさんの顔をみたけど、なかなかのイケメンだね、京利には到底およばないけど。こういうお仕事してるってことは、きっとベータ性の人なんだよね。
なんつってぼーっと考えていると、
「「凛!!」」
二人に呼ばれた。
「なに?」
って聞くと、これが美味しそうだって、口の中にお菓子を入れてくれた。京利が口まで持ってきてくれたから思わず口を開けてしまった。ちょっと、恥ずかしいんですけど。
「あっ!これ美味しい!メイも食べなよ」
本日のお客様におすすめした。メイは呆れ顔だ。
なんで?
セッティングし終えたアカサカさんは、自然な動作でリビングを出ていった。
「とっとりあえず、状況はわかったわ。いただきます」
メイが紅茶に手を伸ばして、お上品に飲んだ。
「それより凛、ちゃんと約束守ってくれて嬉しい。項を守ってくれたのね」
「うん。京利が、メイとの約束を大事にしてくれたんだよ。京利はね、オレとメイの関係性をたくさん考えてくれた。一番にメイをここに呼んでくれたんだから」
そこから、しばらく京利がいかに素晴らしいかをメイに最初から全部、話した。えっちな場面はもちろん省いてだけど。メイも京利も大人しく聞くに徹してくれた。そしてオレが一番気になっていることを聞く。
「ねえ、なんで二人は、そんなに距離感が近くなってんの?」
「それはね、凛。このアルファ様は、毎日欠かすこと無く、私に電話をしてきたのよ。おそらく凛が眠っている間に。その日の凛について細かく報告してくれたの。やれ、寝顔も可愛いだの、肌がすべすべだの、俺の手からご飯を食べただの、必要のない報告も混じっていたけれど」
「ええ?!京利、そこまでしてくれていたんだ」
「でも、本当にありがたいことだったわ。無駄に心配しなくてもよかったから。会ってみないと凛とネックガードがどうなっているのか、わからない部分はあったのだけど、こうして凛を見ていると、ちゃんとしてもらえたんだなって。四ノ宮さん、本当にありがとうございます」
メイは座ったまま、それはそれは丁寧に頭を下げた。
「京利、ありがとう」
オレは京利に抱きついた、メイの前だったけど、愛おしい気持ちを抑えることができなかった。京利は、オレの頭を優しく撫でてくれた。
「俺は当然のことをしたんだ。高梨くん、これからもよろしく頼みたい」
メイの名前は高梨メイなんだけど。うーん。なんでこんなモヤモヤすんだろう。うーん。うーん。
「では、今から凛の今後について、会議を行う」
「よろしくお願いします」
あのメイが、素直に従っている。これって京利のこと信頼してくれたってことでいいよね?て言うか、会議ってなに。聞いてない。
「まず、現在、凛から発情フェロモンの放出が微弱ではあるが、いまだ続いている。これについては、明日オレの親族の病院に連れていこうと考えている。オメガ性の医者で、性について若い頃から研究を続けている。何かしらの見解を与えてくれるだろうと思う」
「そうね、病院には絶対行って欲しい。私は今まで、凛のフェロモンを感じたことがなかったから、驚いているのだけど、今感じるこのフェロモンは、凛のものなのね」
「メイ、どんな匂い?」
すごく気になっているオレのフェロモンの匂い。鼻が利くメイに聞きたかった。
「とても、控え目な優しい匂いだわ。強烈でもない。極甘でもない。手作りのお菓子のような自然な感じね」
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