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21.お任せしたい
「その……。あまりこういうことは言わない方が良いことなんだけど、凛が不安そうだから言っとく。とても好ましい匂いだわ。おそらく私だけじゃなく、誰にとっても」
「良かった!京利があまりにもクンクンしてくるから、変な匂いなのかなって不安に思ってたんだ」
「凛。頼むから俺以外にフェロモンの匂いについて聞かないでくれ。番以外に聞いてはいけない。例えば俺が高梨くんに、俺のフェロモンどんな匂い?って聞いていたらいやだろう?」
「!!!!!確かに。嫌すぎる!
京利ごめんなさい。もう二度と京利以外に聞いたりしない、メイもごめん」
「わかってくれたならいい。それで話は戻るが、先程、抑制剤を飲ませたが、この状況なんだ。原因としては、初めての発情期がきたことに関係しているとしか思えない。
それにしても、この微弱なフェロモンもわかるなんて、凛のいう通り高梨くんは鼻が利くんだな。となると凛は今まで、フェロモンを意図的に出すことが出来ないという以前に、本当に、無意識下においても発情フェロモンが、一度も出たことがないということか」
「そうね、私が感じとれたものはなかったわ。小さい頃から近くにいたけど」
「わかった、ありがとう。明日の病院次第だが、凛の大学復帰にはもうしばらく日を要するだろう。
ここから本題なんだが、凛が復帰するとき、高梨くんにお願いしたいことがある。凛の大学の送り迎えは俺がする。そして大学内に入ったら、高梨くん、君にお任せしたいんだ」
「!!!もちろんよ。絶対に凛から離れないと誓うわ。それにしても、大学にはもう行かせないって言うと思っていたからびっくり。なにせアルファ様は狭量だから」
京利は、オレの髪の毛の感触を楽しんでいたが、残念ながらその通りだと、目元を緩めて話をする。
「本音を言うと、この家から一歩も外に出て欲しくない。一生閉じ込めて、俺だけを見ていて欲しい。凛の目に映るものは、俺だけであって欲しい。
実際にアルファ性から監禁に近いことを強要されているオメガ性もかなりの数、存在しているだろうと思う。
少し昔のことを言うと、オメガ性は、当然に皆が有している、生きる権利を自由に求められなかった。この現代においても、差別の歴史が色濃く残っている。衣食住も守られなかった時代の暴力、暴言、そういった悪意からできる限り遠いところで、むしろ目に触れないところで、凛に生きていて欲しいんだよ。
だが、そう思う反面、俺は凛の人生を一緒に歩きたい。もっと楽しんで欲しい。凛が笑うところを誰よりも近くでたくさん見たいんだ。願わくは、凛と一緒に色んなものを見たい。
凛と高梨くんが、一生懸命に勉強に励んで掴みとった未来を、俺が閉ざすなんて、そんなこと出来ようもない。確かに高梨くんの言うように、凛のことで狭量なアルファになってしまう場面も多々あるだろう。それでも、俺は凛と一緒に歩んでいきたい」
オレは、ボロボロと大粒の涙を流していた。
京利はそんなふうに考えてくれているんだ。
「京利、オレも一緒に生きていきたい」
「ありがとう、凛。あとでやっぱり無し、は出来ないからな。もう離さないぞ」
メイは、ずっとオレ達を見ていた。京利の話も、横やりを入れたりもせず、静かに聞いていた。
「ただ、監禁、軟禁は双方合意のもと、行われていることもたくさんあるからな。それはそれでいいとも思う」
「京利、オレ、正直大学に行って何をするって決めていなくて、卒業後にお金が稼げたら良かったんだけど、ちゃんとやりきるよ。メイと一緒に勉強頑張る。メイ、これからもよろしく」
「もちろんよ、凛、一緒に頑張りましょう」
メイは、花が咲くようにフワッと笑った。
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