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下層攻略の準備編
最終節へと向けた報連相
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●
事故の件だけではなく追加で発生した火災と狼の事件。
これらが過去った後で、俺は報告書を提出した。もちろん領主である騎士に言い含めて、災害と向こうの領主が全部悪いという事で納めた。
何かの理由でダンジョンの結界が機能して居ない。
その理由を大雨による災害を遠因として、隣の領主が馬鹿な判断をして火災を起こし狼を追い込んだことでトドメを刺したという事にしたのだ。
「そういう理由であの領地にはもう少し手が居る」
「だが、その『背景』もあってもう逆らう気はねーよ」
「ボンボンも再教育させて、長男の補助に回すそうだ」
「あの周囲を守るダンジョンの手入れと、戦力としてホムンクルスの配備は急務。あいつにだけ手厚いんじゃなくて、理由あって『最初』に立て直すと言う形になるんじゃねえかな」
もちろん報告する相手はエレオノーラ。
表向きの報告書を提出しつつ、本当の所を連絡して置いた。事後報告だけだと何なので、裏の話とこれからの手当込みで話を通した感じだな。
とはいえそれだけでは時間の無駄なので他の話もする。
「面白い話も見つけたので、これから領地の境を再検査させといてくれ。理由は同じような災害の可能性を調査するという理由だが、近隣の諸侯が動いた時の対策だな」
「縄張りとか言う概念ね? 判ったわ。まあ暫くは大丈夫だとは思うけどね」
同じようにダンジョンの結果が欠落して居ては困る。
それと同時に領地の境にある空間を見直し、迎撃に向いた場所であったり、何かしらの利益が出そうな場所を再確認する。もしフェーデが起きたらそうい場所で戦う事になるし、産業と言う物は利益が出る商売や場所が時とともに変わる物だ、見直すだけでも結構防衛力であったり利益に差が出る場所もあるだろう。
そういう場所には砦であったり街道の再整備が必要だが、その辺りはホムンクルスで補えるからな。計画よりも遅くなったとは言え、行政や親族衆の誰もが驚くスピードで工事が終わったのは間違いがない。
「ひとまずこれで身内に関しては大丈夫だろうぜ」
「油断は禁物だが、ここまで利益を出したら行政府がバックに付く」
「大諸侯ならともかく、その辺りの伯爵だの子爵じゃ話もゴリ押しでんだろ」
「これから下層の再攻略を行う訳だが、次で下見を済ませればそこで終わりだ。誰もお前さんの手腕に文句を付けねえよ」
行政府は基本的に放置だし、利益が出ると判ればスルーしてくれる。
逆にエレオノーラに任せておけば問題は起きず利益が出ると判ってるのに、親族やら近隣の貴族が言い掛かりをつけたくらいで、お家乗っ取りを許すはずがない。良くも悪くも慣例主義であり、当主候補が腕利きならば頭のすげ替えなど許すはずがないからだ。
そして女性当主は異例なんてルールはないので、慣例的にも邪魔する根拠は見つからないだろう。
「私は素材を用意しただけよ。今のところあのダンジョンを何とかしてるのは貴方の手腕でしょうに」
「俺は雇われてるからな。その決断も含めて雇い主に帰結するさ」
俺達は肩をすくめ合った。褒めたわけではない。
ここまでの流れは雇われた当初に予定していた流れにようやく到達しただけに過ぎない。内外の文句を押さえつけただけで、本番は此処からであるとも言える。だからここからの行動にできるだけミスをせず、予定を予定のままに終わらせねばならない。
とりあえずは計画の再確認だな。
●
ここまで上層・中層と順調に攻略して来た。
だが、それでいきなり下層を一度で攻略するつもりはない。むしろ、今回は有益な情報の確保を目的としている。他の連中に邪魔されなくなるためのステップを完了させる為であり、次回以降に確実に下層を攻略するためだ。
そもそもこれから魔力の収支と経営が安定するのだ。
一度で攻略する何度する真似を考える必要はない。もしエレオノーラが数年後に党首候補になるんだったら、博打で一度の攻略を考えたかもしれねえけどな。
「此処に来るまでにフィリッパの所で呪文型を確認した」
「思ったよりも感性が早いわねえ? もうちょっと掛かると思ったけど」
「どうも体格どころか人間の形状にはこだわらなかったみたいだな。呪文の詠唱と敵位置の指摘だけしかできねえ」
まさに最低限の機能だけを載せた感じだった。
それでも割りと大きかったのは、呪文2つを覚えることができ、可能ならば3つ目を狙ったためだろう。戦闘力はまるでなく、言語の他に腕なのか尻尾なのか分からないナニカで位置を示すだけの存在だった。たしかにアレだと手早くできそうだ。
とはいえ問題は幾つもあるだろう。
「性能と使い勝手に関してはこれからだな」
「近場で要求水準を満たせるかの検査をする」
「重要なのは相手の発見率だけじゃない。その状態でどのくらいの時間を維持できるかだな。その上で次の呪文に入れ替えつつ、お前さんが提案したウイザード・アイと幻影の組み合わせもやってみる事になるだろう」
現時点で判っているのは、呪文二種を確実に使える事だけだ。
三種目は何回か試しても駄目だったが、魔力が最大まで回復するのを待って、二種類の呪文だけを使い続けてどのくらい保つのか? あるいは要所だけに使って何回分なのかを試すことになる。そこで有益と判ってから次の段階に進むことになるだろう。
現段階でも役に立つのは判っているが、何処まで意味があるかは不明だからな。いきなり実戦で試す気にはなれねえ。
「でも具体的に何を試すの? 呪文使える人を雇うとしてよ?」
「判断スピードに報告するスピード。それを元にどんな行動をすべきかの練習だな。気が付いたらその場所に居なくて、まったく別の場所なのか、近くに潜んでるだけなのかで随分と違うだろ? それを追い切れるのか調べねえと」
音源探知と熱源探知があれば姿を消しても判る。
問題はそこから相手を追い切れるかどうか、そして相手が逃げた時にホムンクルスが説明し切れるかにもよるだろう。場合によってはどっちかの呪文が切れている可能性もあるし、音源ならば別の部屋に行っても終えるが、熱源だと追えない。逆にその場で静かにしている場合は、熱源だと終えるが音源では無理だろう。
そういった問題を色々とあぶり出し、ついでにそういう呪文の使い手がどう判断するかの調査もしておきたい。
「継続して雇う気はないが、自分が使って忍び込むのが得意な奴と、他人に使って集団を送り届けるのが得意な奴を雇いたい。構わねえか?」
「仕方ないわね。その辺の調査をして、準備が整ったら攻略開始ね」
相手は洞穴エルフである可能性が高く、昔は姿隠しの呪文を多用したそうだ。その前評判に対策をしつつ、他にどんな能力や部隊を用意しているのかを探ることになる。その調査で相手の手札が判ったら、それにまた対策を立てて本格的な攻略を始める訳だ。
その時にはウイザード・アイでいろんな場所を偵察させて、確実に戦えるようになっている筈だった。まあ単純に攻撃魔法を連発するだけのアタッカーしか居ない可能性もあるが、そんな馬鹿ばかりではないと想像しておくべきだろう。
こうして俺たちは下層攻略への準備を始めた。
事故の件だけではなく追加で発生した火災と狼の事件。
これらが過去った後で、俺は報告書を提出した。もちろん領主である騎士に言い含めて、災害と向こうの領主が全部悪いという事で納めた。
何かの理由でダンジョンの結界が機能して居ない。
その理由を大雨による災害を遠因として、隣の領主が馬鹿な判断をして火災を起こし狼を追い込んだことでトドメを刺したという事にしたのだ。
「そういう理由であの領地にはもう少し手が居る」
「だが、その『背景』もあってもう逆らう気はねーよ」
「ボンボンも再教育させて、長男の補助に回すそうだ」
「あの周囲を守るダンジョンの手入れと、戦力としてホムンクルスの配備は急務。あいつにだけ手厚いんじゃなくて、理由あって『最初』に立て直すと言う形になるんじゃねえかな」
もちろん報告する相手はエレオノーラ。
表向きの報告書を提出しつつ、本当の所を連絡して置いた。事後報告だけだと何なので、裏の話とこれからの手当込みで話を通した感じだな。
とはいえそれだけでは時間の無駄なので他の話もする。
「面白い話も見つけたので、これから領地の境を再検査させといてくれ。理由は同じような災害の可能性を調査するという理由だが、近隣の諸侯が動いた時の対策だな」
「縄張りとか言う概念ね? 判ったわ。まあ暫くは大丈夫だとは思うけどね」
同じようにダンジョンの結果が欠落して居ては困る。
それと同時に領地の境にある空間を見直し、迎撃に向いた場所であったり、何かしらの利益が出そうな場所を再確認する。もしフェーデが起きたらそうい場所で戦う事になるし、産業と言う物は利益が出る商売や場所が時とともに変わる物だ、見直すだけでも結構防衛力であったり利益に差が出る場所もあるだろう。
そういう場所には砦であったり街道の再整備が必要だが、その辺りはホムンクルスで補えるからな。計画よりも遅くなったとは言え、行政や親族衆の誰もが驚くスピードで工事が終わったのは間違いがない。
「ひとまずこれで身内に関しては大丈夫だろうぜ」
「油断は禁物だが、ここまで利益を出したら行政府がバックに付く」
「大諸侯ならともかく、その辺りの伯爵だの子爵じゃ話もゴリ押しでんだろ」
「これから下層の再攻略を行う訳だが、次で下見を済ませればそこで終わりだ。誰もお前さんの手腕に文句を付けねえよ」
行政府は基本的に放置だし、利益が出ると判ればスルーしてくれる。
逆にエレオノーラに任せておけば問題は起きず利益が出ると判ってるのに、親族やら近隣の貴族が言い掛かりをつけたくらいで、お家乗っ取りを許すはずがない。良くも悪くも慣例主義であり、当主候補が腕利きならば頭のすげ替えなど許すはずがないからだ。
そして女性当主は異例なんてルールはないので、慣例的にも邪魔する根拠は見つからないだろう。
「私は素材を用意しただけよ。今のところあのダンジョンを何とかしてるのは貴方の手腕でしょうに」
「俺は雇われてるからな。その決断も含めて雇い主に帰結するさ」
俺達は肩をすくめ合った。褒めたわけではない。
ここまでの流れは雇われた当初に予定していた流れにようやく到達しただけに過ぎない。内外の文句を押さえつけただけで、本番は此処からであるとも言える。だからここからの行動にできるだけミスをせず、予定を予定のままに終わらせねばならない。
とりあえずは計画の再確認だな。
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ここまで上層・中層と順調に攻略して来た。
だが、それでいきなり下層を一度で攻略するつもりはない。むしろ、今回は有益な情報の確保を目的としている。他の連中に邪魔されなくなるためのステップを完了させる為であり、次回以降に確実に下層を攻略するためだ。
そもそもこれから魔力の収支と経営が安定するのだ。
一度で攻略する何度する真似を考える必要はない。もしエレオノーラが数年後に党首候補になるんだったら、博打で一度の攻略を考えたかもしれねえけどな。
「此処に来るまでにフィリッパの所で呪文型を確認した」
「思ったよりも感性が早いわねえ? もうちょっと掛かると思ったけど」
「どうも体格どころか人間の形状にはこだわらなかったみたいだな。呪文の詠唱と敵位置の指摘だけしかできねえ」
まさに最低限の機能だけを載せた感じだった。
それでも割りと大きかったのは、呪文2つを覚えることができ、可能ならば3つ目を狙ったためだろう。戦闘力はまるでなく、言語の他に腕なのか尻尾なのか分からないナニカで位置を示すだけの存在だった。たしかにアレだと手早くできそうだ。
とはいえ問題は幾つもあるだろう。
「性能と使い勝手に関してはこれからだな」
「近場で要求水準を満たせるかの検査をする」
「重要なのは相手の発見率だけじゃない。その状態でどのくらいの時間を維持できるかだな。その上で次の呪文に入れ替えつつ、お前さんが提案したウイザード・アイと幻影の組み合わせもやってみる事になるだろう」
現時点で判っているのは、呪文二種を確実に使える事だけだ。
三種目は何回か試しても駄目だったが、魔力が最大まで回復するのを待って、二種類の呪文だけを使い続けてどのくらい保つのか? あるいは要所だけに使って何回分なのかを試すことになる。そこで有益と判ってから次の段階に進むことになるだろう。
現段階でも役に立つのは判っているが、何処まで意味があるかは不明だからな。いきなり実戦で試す気にはなれねえ。
「でも具体的に何を試すの? 呪文使える人を雇うとしてよ?」
「判断スピードに報告するスピード。それを元にどんな行動をすべきかの練習だな。気が付いたらその場所に居なくて、まったく別の場所なのか、近くに潜んでるだけなのかで随分と違うだろ? それを追い切れるのか調べねえと」
音源探知と熱源探知があれば姿を消しても判る。
問題はそこから相手を追い切れるかどうか、そして相手が逃げた時にホムンクルスが説明し切れるかにもよるだろう。場合によってはどっちかの呪文が切れている可能性もあるし、音源ならば別の部屋に行っても終えるが、熱源だと追えない。逆にその場で静かにしている場合は、熱源だと終えるが音源では無理だろう。
そういった問題を色々とあぶり出し、ついでにそういう呪文の使い手がどう判断するかの調査もしておきたい。
「継続して雇う気はないが、自分が使って忍び込むのが得意な奴と、他人に使って集団を送り届けるのが得意な奴を雇いたい。構わねえか?」
「仕方ないわね。その辺の調査をして、準備が整ったら攻略開始ね」
相手は洞穴エルフである可能性が高く、昔は姿隠しの呪文を多用したそうだ。その前評判に対策をしつつ、他にどんな能力や部隊を用意しているのかを探ることになる。その調査で相手の手札が判ったら、それにまた対策を立てて本格的な攻略を始める訳だ。
その時にはウイザード・アイでいろんな場所を偵察させて、確実に戦えるようになっている筈だった。まあ単純に攻撃魔法を連発するだけのアタッカーしか居ない可能性もあるが、そんな馬鹿ばかりではないと想像しておくべきだろう。
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