8 / 51
足りたモノと、欠けているモノ
しおりを挟む
●
頑迷な人間という物は存在する。
その日もカッパさんはキュウリを頼んだ。清々しいまでにいつものペースである。お通しに出したチーズもキュウリに漬けて、『悪くはないがいつものが良いな』とのたまう始末であった。
それはそれとして今夜の本命は、こないだの女性客だ。
「このお通しを小鉢に盛ってもらえる? まずは溶かした方で一皿、後で溶かさないのを野菜をできるだけ変えてもう一皿」
「問題ありませんよ。欲しい野菜や肴があれば入れ替えられますので」
紹介がてら、お通しで新メニューを出すのは何時ものことだ。
そこでの第一印象は好評であった。その上で通常のメニューと血が、温野菜のサラダは茹でて盛るだけなのでカスタムし易い。茹でた温野菜とチーズの組み合わせであるならば、スタンダードに提供しても良いし、中身を挿げ替えるなど他愛もない。例えば茹で卵や生ハムをオイルサーディンに変えたりできるわけだ。
もちろん全部野菜が良ければそれも可能だし、チーズを溶かさないのは手間的に助かるまである。
「それならアーモンドかクルミがあれば嬉しいわね。あるなら自家製サングリアを合わせたいところだけど」
「流石に酒は市販のだけですね、すみません。ナッツ類は用意してありますのでちょいとお待ちを」
チーズは二パターンで頼まれたこともあり配分を考える。
ポテト・黒ニンニク・茹で卵はチーズが溶けている事を前提とし、指定された様にアーモンドやナッツは溶けてないチーズと共に提供する。しかしオススメにローストビーフを合わせるつもりだが(向こうもその予定だと思うが)、この組み合わせならばローストビーフよりもアサードを出したくなる。アサードというのはスペイン・アルゼンチン辺りの料理で、サラマンデルというグリルで焼く豪快な肉料理だった。ローストビーフと同じ赤身を使って作る料理でもあり、シェラスコも含めて作れるので同じ肉から作れるバリエーションとしては悪くない。問題なのは機材の方で、現時点で拡張する余裕など一切ないのだが。
ちなみにサングリアは果実入りのワインで、スペインやアルゼンチンつながりである。
「臭いは薄いんで黒ニンニクを試してください。甘いからチーズに合いますよ。それと大勢で大皿を頼まれる場合は、分量または肉類をサービスさせていただきますね」
「あら、嬉しいわね。今度、友人を誘って飲みに来ようかしら」
温野菜のサラダは原価が低いのでサービスもし易い。
今のところ大皿で頼む客は一人も居ないが、大皿で頼む場合は量を多めにする予定だし、パーティ-前提なら大盛りが指定できる。大皿だと1500円で大盛りは2000円とエットより高くなるが、分量は小鉢の5~7倍とセットよりも遥かにリーズナブルに設定してあった。
だが何事にも計算違いという物はあるし、例外だの予想外という言葉は存在する。
「普通に買うと高いのよね。大皿で頼むだけ頼んで、余ったら持ち帰りとか駄目?」
「結果的に余るなら仕方ないですが……持ち帰り前提されると商売あがったりなんで勘弁してください。店なら安価な大食い前提のところでテイクアウト万歳してないのと同じですね」
黒ニンニクの欠点は色々あると言ったが、嗜好品なので好きな人はいる。
味と効用を気に入り、通販で仕入れたら一瓶で1000円を超えることを知って、大皿で頼んだり持ち帰りができないかと相談を受ける事に成った。流石に『家庭で作れますよ?』と伝えてみたのだが、『家で臭いをまき散らすわけにはいかない』とのことで、ある程度は融通を利かせる必要が出たのは言うまでも無かった。
今は他に客が居るから話は別として、一人しかいなければ折れる日もあるだろう。
(しかし、内緒話をし難くなるほどお客が増えて来たか。誰も無いなんて日がずっと続いたのにな……。もう少ししたら将来の事を考えるのも悪くはないな)
コンサルである豊に相談した甲斐が出たと言えるだろう。
人は相変わらずまばらではあるが、こうやって常連客が増え、一過性の客の中にも以前に見たことのあるリピーターが出て来る。こうなってくると頭の隅を横切るのが『次はソーセージ辺りを試してみたいな』という欲望とアルバイト……というか『女性店員が必要か?』という考えだ。
健一人では能力も発想も限界があるが、まだ雇うような余裕もない。
(店自体は一人で回せるんだがな……。いかんせん俺も豊も男だからなあ。客に聞くわけにもいかんし、女性目線が気になるんだよな)
こういうと何だがワンマンというのは行動力も出るが欠点も多い。
できるだけ小綺麗にしたり、今日みたいにおしゃれっポイ料理も考慮したりと考えてはいる。だがそれは手前勝手な理屈でしかない可能性もあるのだ。目が行き届いていない場所や、もっと根本的な問題があるかもしれない。男性客に愛想を降らせる必要はないが、女性客から見て男ばかりの呑み屋というのは気が引けるかもしれないのは健にも分かる。こればかりは彼がいくら気を付けても対処できるはずも無かった。
だから余裕があるならば、料理の提供以外でも女性視点は欲しかった。こればかりは豊にも頼めないし、まさかお客に聞くわけにもいくまい。
(しかしなあ。赤字が減って来たってのも俺一人だからだしなあ。人なんて雇ったらとんでもないことになるぞ。魚市でバイトしたって釣り合う訳がない)
SNSで広めたりポップを可愛く飾っても、所詮はおっさん達だ。
こんな狭い場所におっさん連中が屯していて、女性が気軽に入って来れる訳がない。むしろ目の前でサングリアを傾ている女性客の方が例外だと言えるだろう。健が前の料理屋に務めている時にだって、酒でストレス発散に来て居る女性客がいないわけではないかったが、愉しみに来ている人が多かったわけでもない。それだって大将の奥さんが居なければどれほど居たかは不明である。
結論は出ている。だが、採算以前の話が蓋をしていると言っても良かった。
(まともに店を構えたら必ず使う出費だと割り切るか、それとも非常手段に訴えるか、考え物だぞ)
仮にこの店がオジサンの遺産で無ければ少し話は違ったかもしれない。
場所代を払って良い場所に出店するか、それとも妥協して同じような郊外でもう少し広い場所にするか。それらの条件で店を構えた場合は、確実に女性スタッフを雇っただろう。そして豊が言うには半年は赤字覚悟が当然なのだとか、税務上は三年くらいみてくれるらしい。ならば今から人を雇って更なる赤字に似合っても、必要な投資だと言えるだろう。
ただ、ここはオジサンの遺産であり出ていく気などなかった。
(ただ……方法がない訳じゃない。身内の情に頼る手もあるが……取引か)
そこで妥協案となるのが、身内から一時的な協力者を探すという手法である。
豊にコンサル費用を出世払いにしてもらっている様に、何らかの条件で話を聞いてくれる身内を呼ぶという訳だだ。ただし無給という訳はいかないし、何らかの大きな条件を認めて相殺するとしたら誰でも良いわけではない。ということはかなり無茶な条件を飲んでもらう必要があるし、向こうも代価として自分に対して無茶を要求して来るだろう。
となれば選択肢は少なく、幸いにも健にはその心当たりがあった。
(うちの妹に声かけてみるか。あいつも将来に店を持ちたいと言ってたしなあ……)
将来に試したいアイデア、その実験をこの店でやって良い。
そう言えば乗ってくるかもしれないし、ダメでも女性視点での意見位は聞けるだろう。そんなことを思いながら、ついこの間までは思いもしなかった悩み事で頭を抱えるのであった。
結果を先に言ってしまうならば、お願いして良かったと言っておこう。
頑迷な人間という物は存在する。
その日もカッパさんはキュウリを頼んだ。清々しいまでにいつものペースである。お通しに出したチーズもキュウリに漬けて、『悪くはないがいつものが良いな』とのたまう始末であった。
それはそれとして今夜の本命は、こないだの女性客だ。
「このお通しを小鉢に盛ってもらえる? まずは溶かした方で一皿、後で溶かさないのを野菜をできるだけ変えてもう一皿」
「問題ありませんよ。欲しい野菜や肴があれば入れ替えられますので」
紹介がてら、お通しで新メニューを出すのは何時ものことだ。
そこでの第一印象は好評であった。その上で通常のメニューと血が、温野菜のサラダは茹でて盛るだけなのでカスタムし易い。茹でた温野菜とチーズの組み合わせであるならば、スタンダードに提供しても良いし、中身を挿げ替えるなど他愛もない。例えば茹で卵や生ハムをオイルサーディンに変えたりできるわけだ。
もちろん全部野菜が良ければそれも可能だし、チーズを溶かさないのは手間的に助かるまである。
「それならアーモンドかクルミがあれば嬉しいわね。あるなら自家製サングリアを合わせたいところだけど」
「流石に酒は市販のだけですね、すみません。ナッツ類は用意してありますのでちょいとお待ちを」
チーズは二パターンで頼まれたこともあり配分を考える。
ポテト・黒ニンニク・茹で卵はチーズが溶けている事を前提とし、指定された様にアーモンドやナッツは溶けてないチーズと共に提供する。しかしオススメにローストビーフを合わせるつもりだが(向こうもその予定だと思うが)、この組み合わせならばローストビーフよりもアサードを出したくなる。アサードというのはスペイン・アルゼンチン辺りの料理で、サラマンデルというグリルで焼く豪快な肉料理だった。ローストビーフと同じ赤身を使って作る料理でもあり、シェラスコも含めて作れるので同じ肉から作れるバリエーションとしては悪くない。問題なのは機材の方で、現時点で拡張する余裕など一切ないのだが。
ちなみにサングリアは果実入りのワインで、スペインやアルゼンチンつながりである。
「臭いは薄いんで黒ニンニクを試してください。甘いからチーズに合いますよ。それと大勢で大皿を頼まれる場合は、分量または肉類をサービスさせていただきますね」
「あら、嬉しいわね。今度、友人を誘って飲みに来ようかしら」
温野菜のサラダは原価が低いのでサービスもし易い。
今のところ大皿で頼む客は一人も居ないが、大皿で頼む場合は量を多めにする予定だし、パーティ-前提なら大盛りが指定できる。大皿だと1500円で大盛りは2000円とエットより高くなるが、分量は小鉢の5~7倍とセットよりも遥かにリーズナブルに設定してあった。
だが何事にも計算違いという物はあるし、例外だの予想外という言葉は存在する。
「普通に買うと高いのよね。大皿で頼むだけ頼んで、余ったら持ち帰りとか駄目?」
「結果的に余るなら仕方ないですが……持ち帰り前提されると商売あがったりなんで勘弁してください。店なら安価な大食い前提のところでテイクアウト万歳してないのと同じですね」
黒ニンニクの欠点は色々あると言ったが、嗜好品なので好きな人はいる。
味と効用を気に入り、通販で仕入れたら一瓶で1000円を超えることを知って、大皿で頼んだり持ち帰りができないかと相談を受ける事に成った。流石に『家庭で作れますよ?』と伝えてみたのだが、『家で臭いをまき散らすわけにはいかない』とのことで、ある程度は融通を利かせる必要が出たのは言うまでも無かった。
今は他に客が居るから話は別として、一人しかいなければ折れる日もあるだろう。
(しかし、内緒話をし難くなるほどお客が増えて来たか。誰も無いなんて日がずっと続いたのにな……。もう少ししたら将来の事を考えるのも悪くはないな)
コンサルである豊に相談した甲斐が出たと言えるだろう。
人は相変わらずまばらではあるが、こうやって常連客が増え、一過性の客の中にも以前に見たことのあるリピーターが出て来る。こうなってくると頭の隅を横切るのが『次はソーセージ辺りを試してみたいな』という欲望とアルバイト……というか『女性店員が必要か?』という考えだ。
健一人では能力も発想も限界があるが、まだ雇うような余裕もない。
(店自体は一人で回せるんだがな……。いかんせん俺も豊も男だからなあ。客に聞くわけにもいかんし、女性目線が気になるんだよな)
こういうと何だがワンマンというのは行動力も出るが欠点も多い。
できるだけ小綺麗にしたり、今日みたいにおしゃれっポイ料理も考慮したりと考えてはいる。だがそれは手前勝手な理屈でしかない可能性もあるのだ。目が行き届いていない場所や、もっと根本的な問題があるかもしれない。男性客に愛想を降らせる必要はないが、女性客から見て男ばかりの呑み屋というのは気が引けるかもしれないのは健にも分かる。こればかりは彼がいくら気を付けても対処できるはずも無かった。
だから余裕があるならば、料理の提供以外でも女性視点は欲しかった。こればかりは豊にも頼めないし、まさかお客に聞くわけにもいくまい。
(しかしなあ。赤字が減って来たってのも俺一人だからだしなあ。人なんて雇ったらとんでもないことになるぞ。魚市でバイトしたって釣り合う訳がない)
SNSで広めたりポップを可愛く飾っても、所詮はおっさん達だ。
こんな狭い場所におっさん連中が屯していて、女性が気軽に入って来れる訳がない。むしろ目の前でサングリアを傾ている女性客の方が例外だと言えるだろう。健が前の料理屋に務めている時にだって、酒でストレス発散に来て居る女性客がいないわけではないかったが、愉しみに来ている人が多かったわけでもない。それだって大将の奥さんが居なければどれほど居たかは不明である。
結論は出ている。だが、採算以前の話が蓋をしていると言っても良かった。
(まともに店を構えたら必ず使う出費だと割り切るか、それとも非常手段に訴えるか、考え物だぞ)
仮にこの店がオジサンの遺産で無ければ少し話は違ったかもしれない。
場所代を払って良い場所に出店するか、それとも妥協して同じような郊外でもう少し広い場所にするか。それらの条件で店を構えた場合は、確実に女性スタッフを雇っただろう。そして豊が言うには半年は赤字覚悟が当然なのだとか、税務上は三年くらいみてくれるらしい。ならば今から人を雇って更なる赤字に似合っても、必要な投資だと言えるだろう。
ただ、ここはオジサンの遺産であり出ていく気などなかった。
(ただ……方法がない訳じゃない。身内の情に頼る手もあるが……取引か)
そこで妥協案となるのが、身内から一時的な協力者を探すという手法である。
豊にコンサル費用を出世払いにしてもらっている様に、何らかの条件で話を聞いてくれる身内を呼ぶという訳だだ。ただし無給という訳はいかないし、何らかの大きな条件を認めて相殺するとしたら誰でも良いわけではない。ということはかなり無茶な条件を飲んでもらう必要があるし、向こうも代価として自分に対して無茶を要求して来るだろう。
となれば選択肢は少なく、幸いにも健にはその心当たりがあった。
(うちの妹に声かけてみるか。あいつも将来に店を持ちたいと言ってたしなあ……)
将来に試したいアイデア、その実験をこの店でやって良い。
そう言えば乗ってくるかもしれないし、ダメでも女性視点での意見位は聞けるだろう。そんなことを思いながら、ついこの間までは思いもしなかった悩み事で頭を抱えるのであった。
結果を先に言ってしまうならば、お願いして良かったと言っておこう。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる