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助っ人交渉
●
当たり前ながら少ない給料で人を呼ぶのは難しい。
ついでに言うと労働のきつい飲食業なら猶更だ。仮に今は楽だとしても、将来に厳しくなるから人を増やすのである。普通は簡単に頷いてくれないし、容易く頷く人間はあまり信用できないことも多い。
だからこそ妥協点としては身内が最初のターゲットと成る。
「兄貴。やりがい詐欺って知ってる?」
「詐欺は酷いな。……あまり反論は出来ないけど」
健は料理学校に通っている妹の美琴にアルバイトの話を持っていった。
兄である健が料理人に成ったこともあり、妹が料理の道に関心を抱くのは別におかしなことではない。そこで接客その他の練習も兼ねて程ほどの金額で来てくれないかと頼んだのだ。金が出せない分は食材を提供して練習に充てるとか、時間を短くしてその分もらえている様に見えるような小細工は一応自分で考えて提案している。
ただ基本的に正直に話しをしたこともあり、アッサリと否定されてしまう。
「もう少しお客が来て最低限の賃金は払えるようになってから言ってもらうとして、そのレベルじゃ普通人は来ないよ? どんな魅力があんの?」
「おお! お前なら話を聞いてもらえるとは思っていたぞ!」
とはいえ兄妹だ。妹も料理の道ゆえに話くらいは聞いてくれる。
もちろん健としては先ほど述べたように幾つか首を縦に振る条件を予想しており、見込みが無かったわけでもない。そういう意味で性格が透けて見える分だけ、兄妹というのはお互いに相手へ理想など抱いていないとも言えた。
分かり合う兄妹愛とか口にすれば鼻で笑うが、互いの性格くらいは把握しているのだ。
「まず料理のコツと、俺が聞いた商売のコツはみんな教えるよ」
「足りない。少なくとも月見里さんに兄貴のツケで、私がしたい商売のアドバイスを聞いてくれること。もちろんキッチンを練習に使わせてくれることも含めてね」
ここまでは最低限の条件だ。
コツなどの情報提供など当然の事。店の経営にさし障りのない範囲で食材と機材を使って、自分がしたい料理の特訓をするというのも当然のことだ。だから巫女とが逆立ちしても出来ない事……兄のツケで伝手を利用させてもらうことにした。
そのくらいは要求してもバチは当らないし、正当な代価がないなら悪い意味での『適当』で返すしかないだろう。
「でもここまでの条件ならアリの範囲だよね。他には?」
「……せっかく機材と食材を使うんだ。俺が使わない昼間に弁当でも作って、売ってみるってのはどうだ? 味は見てやるし何だったら俺が調理しても良い。店を出す練習になるぞ」
うっと美琴が唸るのが聞こえる。
兄妹で性格が似ていることもあるが、チャンスに弱いのは美琴も同じだった。いつか自分の店を出したい、その練習がしたいというところまでは当然として……。まさか商売の練習までさせてくれるとは思っても見なかったのだ。健がオジサンの店を貰えるという話に飛びついたように、美琴も話に飛びついて来た。
少なくとも現時点の美琴が逆立ちしても得られないチャンスであり、駄目だったら逃げられるという美味しい話である。
「マジ?」
「もちろん味の保証ができた上でだがな。俺が調理するというのも、その最低限がクリアできなかったらだ。量が必要な時に手が足りない場合もか。……なんだったら俺が仕入れている業者や農家で必要な素材を仕入れてきても良いぞ」
美琴が想像もしなかったのにはちゃんと理由がある。
妙な物を作るとせっかく向上している店の評判が悪くなる。だから下手な物どころか美琴の自信作であろうと、店で売って良いなどとは言わないと思っていたのだ。この話は流石に意外であり、がぜん興味が湧くなどとは思いもしなかった。
もっとも、あまりにも都合が良過ぎたことで馬脚を現したともいえるが。
「……先に月見里さんへ相談したでしょ? 他に何の条件があんのよ。ここまで言ったんだし、先にいっちゃいなさいよ」
「判るか? とりあえず俺が満足できるレベルを前提として許可を出す事。免許類は俺のを使う事。そしてこれが何より重要なんだが……」
健にここまで譲歩する頭があるはずもない。
最初から友人である豊に、どうしても必要な『女性視点』を借りるために、何かアイデアはないかと聞いていたのだ。すると店が関わっているとして恥ずかしくないだけのレベルになるまでは面倒を見る事や、商売上どうしても必要な免許類の都合を健が担えばよいと伝えたのである。こればかりは美琴にできるはずがない。もちろん健にだって出来はしない。
そしてここで重要な事がもう一つある。
「お前、車の免許はもう取ってたよな? 仕入れ用に使ってる車で移動販売するんだよ。そしたら最低でも店の名前に傷はつかないからな。客の傾向だって事前に選ぶことができる」
「あっ! その手があったか!」
夜間営業が基本の居酒屋が、昼間に店舗をシェアする事もある。
だが別に店舗を使えるからと言って、必ずしも場所を同じ所でする必要はないのだ。特にこの居酒屋は郊外の中でも悪立地で、周囲にオフィスも工場も無いのである。こんな場所で弁当屋をやっても売れるはずがあるまい。
しかし、ソレを逆手に取る手がある。ワゴン車を使った移動販売だ。
「よーするに、移動販売に必要な何もかもを兄貴に任せるって事ね。さすがは月見里さん、よく考えてるう」
「味の保証もな。レシピだって工場で働いている人向けなら直ぐにでも使えるはずだぞ」
居酒屋のレシピは酒を前提としているので味が濃い。
そして売れ易い弁当の傾向には二種類があり、肉体労働向けの味の濃いメニューと、オフィスワーク向けの軽食のような食べ易さ向きの料理に分かれていた。つまり味付けに関して言えばある程度流用が出来るので、居酒屋メニューの味の濃いものは工場向けの弁当用に参考にできる。逆にオフィス向けの軽いものは、むしろこれから居酒屋に必要な華やかな物があればお互いの参考になるだろう。その料理を作るのはこの店なので、ここへ入り浸りたいと思えるほどに環境を改善しなければ意欲の方も改善はされないだろう。
つまり、健と美琴は協力し合えるという事だ。
「そういうことならOKよ。直ぐには今のバイトからシフト減らせないし、さっきも言ったように最低限の給料が出るまで待つことにするわね。最初の意見代代わりに、何かサラダで面白い物作ってくれない?」
「ちゃっかりしてるな。ま、丁度いいちゃいいか」
話は決まったがあくまで将来の話だ。
今は人が居ても過剰なだけだし、必要なのは女性視点でのアイデアである。だからそのアイデアの料金として参考にできそうなメニューを教えろと言っているのだ。
もちろん健とてアイデアが無いわけではないので悪い話では無かった。
「うちの店は同じメニューでも、出す人や要望に対して微妙に変えてある。ベーコンで言うとカリカリにまで焼くのは同じだが、厚みに差があるとかな」
健は冷蔵庫から野菜を適当に取り出し、ベーコンを何種類か並べた。
ベーコンを焼くならその脂でも良いかもしれないが、前もって軽くあぶって臭みを抜いたサラダ油を使用する。カリカリにまで焼く間、徐々に油を抜いていくが少しでも臭いを減らすためだ。その上で薄いベーコンを細切れにカットし、同様にベーコンステーキ用の厚切りベーコンをサイコロ状にカットする。
そしてサラダと混ぜ合わせつつ、また別のモノを取り出す。
「面白いといえば良くある手法としては、クルトンの代わりにチップスや駄菓子の麺を使う事かな。学校のメンバーで飲み歩いたりは?」
「兄貴……あたしまだ二十歳前なんだけど。お、駄菓子の麺のやつって太いのもあるのね」
それもそうかと言いながら、健はポテトチップスや駄菓子の袋を取り出した。
それらを棒で軽く叩いた後、袋の上からもみ解していく。そして薄切りベーコンの方にはポテトチップスを砕いた物、サイコロ状にした暑い方には味付け麺の方を混ぜ合わせた。そう、これらはクルトンの代わりなのだ。
もちろん野菜の方も微妙に違うので、トータルで言えばかなり感触の違うサラダになるだろう。
「一応はドレッシングもチーズも同じものだ。時間があるなら隠し味くらいは入れてもいいかもしれんが、客の前でする程のことじゃないな。やるなら予約の段階でやる」
「まだ予約客なんか来ないけどね? まっいーんじゃない。ドタキャンの心配も無くてさ」
笑いながら二人は二つのサラダを小鉢に分け、それぞれ感想を言い合いながら小腹に収める事にした。
当たり前ながら少ない給料で人を呼ぶのは難しい。
ついでに言うと労働のきつい飲食業なら猶更だ。仮に今は楽だとしても、将来に厳しくなるから人を増やすのである。普通は簡単に頷いてくれないし、容易く頷く人間はあまり信用できないことも多い。
だからこそ妥協点としては身内が最初のターゲットと成る。
「兄貴。やりがい詐欺って知ってる?」
「詐欺は酷いな。……あまり反論は出来ないけど」
健は料理学校に通っている妹の美琴にアルバイトの話を持っていった。
兄である健が料理人に成ったこともあり、妹が料理の道に関心を抱くのは別におかしなことではない。そこで接客その他の練習も兼ねて程ほどの金額で来てくれないかと頼んだのだ。金が出せない分は食材を提供して練習に充てるとか、時間を短くしてその分もらえている様に見えるような小細工は一応自分で考えて提案している。
ただ基本的に正直に話しをしたこともあり、アッサリと否定されてしまう。
「もう少しお客が来て最低限の賃金は払えるようになってから言ってもらうとして、そのレベルじゃ普通人は来ないよ? どんな魅力があんの?」
「おお! お前なら話を聞いてもらえるとは思っていたぞ!」
とはいえ兄妹だ。妹も料理の道ゆえに話くらいは聞いてくれる。
もちろん健としては先ほど述べたように幾つか首を縦に振る条件を予想しており、見込みが無かったわけでもない。そういう意味で性格が透けて見える分だけ、兄妹というのはお互いに相手へ理想など抱いていないとも言えた。
分かり合う兄妹愛とか口にすれば鼻で笑うが、互いの性格くらいは把握しているのだ。
「まず料理のコツと、俺が聞いた商売のコツはみんな教えるよ」
「足りない。少なくとも月見里さんに兄貴のツケで、私がしたい商売のアドバイスを聞いてくれること。もちろんキッチンを練習に使わせてくれることも含めてね」
ここまでは最低限の条件だ。
コツなどの情報提供など当然の事。店の経営にさし障りのない範囲で食材と機材を使って、自分がしたい料理の特訓をするというのも当然のことだ。だから巫女とが逆立ちしても出来ない事……兄のツケで伝手を利用させてもらうことにした。
そのくらいは要求してもバチは当らないし、正当な代価がないなら悪い意味での『適当』で返すしかないだろう。
「でもここまでの条件ならアリの範囲だよね。他には?」
「……せっかく機材と食材を使うんだ。俺が使わない昼間に弁当でも作って、売ってみるってのはどうだ? 味は見てやるし何だったら俺が調理しても良い。店を出す練習になるぞ」
うっと美琴が唸るのが聞こえる。
兄妹で性格が似ていることもあるが、チャンスに弱いのは美琴も同じだった。いつか自分の店を出したい、その練習がしたいというところまでは当然として……。まさか商売の練習までさせてくれるとは思っても見なかったのだ。健がオジサンの店を貰えるという話に飛びついたように、美琴も話に飛びついて来た。
少なくとも現時点の美琴が逆立ちしても得られないチャンスであり、駄目だったら逃げられるという美味しい話である。
「マジ?」
「もちろん味の保証ができた上でだがな。俺が調理するというのも、その最低限がクリアできなかったらだ。量が必要な時に手が足りない場合もか。……なんだったら俺が仕入れている業者や農家で必要な素材を仕入れてきても良いぞ」
美琴が想像もしなかったのにはちゃんと理由がある。
妙な物を作るとせっかく向上している店の評判が悪くなる。だから下手な物どころか美琴の自信作であろうと、店で売って良いなどとは言わないと思っていたのだ。この話は流石に意外であり、がぜん興味が湧くなどとは思いもしなかった。
もっとも、あまりにも都合が良過ぎたことで馬脚を現したともいえるが。
「……先に月見里さんへ相談したでしょ? 他に何の条件があんのよ。ここまで言ったんだし、先にいっちゃいなさいよ」
「判るか? とりあえず俺が満足できるレベルを前提として許可を出す事。免許類は俺のを使う事。そしてこれが何より重要なんだが……」
健にここまで譲歩する頭があるはずもない。
最初から友人である豊に、どうしても必要な『女性視点』を借りるために、何かアイデアはないかと聞いていたのだ。すると店が関わっているとして恥ずかしくないだけのレベルになるまでは面倒を見る事や、商売上どうしても必要な免許類の都合を健が担えばよいと伝えたのである。こればかりは美琴にできるはずがない。もちろん健にだって出来はしない。
そしてここで重要な事がもう一つある。
「お前、車の免許はもう取ってたよな? 仕入れ用に使ってる車で移動販売するんだよ。そしたら最低でも店の名前に傷はつかないからな。客の傾向だって事前に選ぶことができる」
「あっ! その手があったか!」
夜間営業が基本の居酒屋が、昼間に店舗をシェアする事もある。
だが別に店舗を使えるからと言って、必ずしも場所を同じ所でする必要はないのだ。特にこの居酒屋は郊外の中でも悪立地で、周囲にオフィスも工場も無いのである。こんな場所で弁当屋をやっても売れるはずがあるまい。
しかし、ソレを逆手に取る手がある。ワゴン車を使った移動販売だ。
「よーするに、移動販売に必要な何もかもを兄貴に任せるって事ね。さすがは月見里さん、よく考えてるう」
「味の保証もな。レシピだって工場で働いている人向けなら直ぐにでも使えるはずだぞ」
居酒屋のレシピは酒を前提としているので味が濃い。
そして売れ易い弁当の傾向には二種類があり、肉体労働向けの味の濃いメニューと、オフィスワーク向けの軽食のような食べ易さ向きの料理に分かれていた。つまり味付けに関して言えばある程度流用が出来るので、居酒屋メニューの味の濃いものは工場向けの弁当用に参考にできる。逆にオフィス向けの軽いものは、むしろこれから居酒屋に必要な華やかな物があればお互いの参考になるだろう。その料理を作るのはこの店なので、ここへ入り浸りたいと思えるほどに環境を改善しなければ意欲の方も改善はされないだろう。
つまり、健と美琴は協力し合えるという事だ。
「そういうことならOKよ。直ぐには今のバイトからシフト減らせないし、さっきも言ったように最低限の給料が出るまで待つことにするわね。最初の意見代代わりに、何かサラダで面白い物作ってくれない?」
「ちゃっかりしてるな。ま、丁度いいちゃいいか」
話は決まったがあくまで将来の話だ。
今は人が居ても過剰なだけだし、必要なのは女性視点でのアイデアである。だからそのアイデアの料金として参考にできそうなメニューを教えろと言っているのだ。
もちろん健とてアイデアが無いわけではないので悪い話では無かった。
「うちの店は同じメニューでも、出す人や要望に対して微妙に変えてある。ベーコンで言うとカリカリにまで焼くのは同じだが、厚みに差があるとかな」
健は冷蔵庫から野菜を適当に取り出し、ベーコンを何種類か並べた。
ベーコンを焼くならその脂でも良いかもしれないが、前もって軽くあぶって臭みを抜いたサラダ油を使用する。カリカリにまで焼く間、徐々に油を抜いていくが少しでも臭いを減らすためだ。その上で薄いベーコンを細切れにカットし、同様にベーコンステーキ用の厚切りベーコンをサイコロ状にカットする。
そしてサラダと混ぜ合わせつつ、また別のモノを取り出す。
「面白いといえば良くある手法としては、クルトンの代わりにチップスや駄菓子の麺を使う事かな。学校のメンバーで飲み歩いたりは?」
「兄貴……あたしまだ二十歳前なんだけど。お、駄菓子の麺のやつって太いのもあるのね」
それもそうかと言いながら、健はポテトチップスや駄菓子の袋を取り出した。
それらを棒で軽く叩いた後、袋の上からもみ解していく。そして薄切りベーコンの方にはポテトチップスを砕いた物、サイコロ状にした暑い方には味付け麺の方を混ぜ合わせた。そう、これらはクルトンの代わりなのだ。
もちろん野菜の方も微妙に違うので、トータルで言えばかなり感触の違うサラダになるだろう。
「一応はドレッシングもチーズも同じものだ。時間があるなら隠し味くらいは入れてもいいかもしれんが、客の前でする程のことじゃないな。やるなら予約の段階でやる」
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