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カイゼン2
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妹を呼んで最初に出た提案は、席の配分を変える事だった。
どこを重視するかにもよるのだが、カウンターが五席から六席。二・三人掛けの小さなテーブル二つかまたは大きなテーブル一つ。小上りも同様の構成で、仕切りを使えば二卓、使わなければ一卓になる。どこも同じスペースを分割するので、大抵は何処かに無理が来るという塩梅になる。
環境改善第一のステップはこれらを見直し、女性が入り易いようにする事だという。
「やっぱり店の中がどうなってるか分かんないのは怖いもんね。外から見え易くしようよ。暫く一人って言うなら小上り無しでテーブルも減らせば随分印象変わると思う」
「まあ俺一人ならカウンターだけの方が助かるしな」
上記に書いた席数は最大限に詰め込めば可能という程度でしかない。
移動経路もさることながら……テーブル席と小上りはモロに競合しており、片方を二つにすればもう片方が狭くなる。間仕切りを無くして更にカウンターを減らせば何とかなるが、それだってトイレに行くたびに肘付き合わせることになるのだ。
ゆえに改善点として最大人数を大幅に見切ってしまう。
「減らしたスペースはそのままにして、中は見易く移動し易くってとこかな」
「なるほど……。テーブルは外に出すなり仕舞うなりすればいいが、小上りはどうする? その日だけなら予約席として誤魔化せもするが」
健は男なので、昔からあるこの手の店に違和感はなかった。
だが女性視点では狭くて薄暗い店は不安で仕方がないという。ならば試してみようという事になったわけだが、どうせ暫くの間は客数の増加が見込めないし、ただでさえスペースをプライベート空間の為だけに分割する必要はない。『間仕切り』の衝立などを最初から取り除き、カーテンもシンプルで控えめな物に変更。それだけでスッキリとしたビジュアルに仕上がって見えるだろう。
そしてテーブルの次は小上がり。畳敷きで一段高い座敷席の小型版である。
「小上がりかあ。パーティ席にしないならいっそない方が良いのよね。でも今更削れないし、お客が増えるなら資金があったとしても工事するのも微妙……」
そもそも小上がりというものが前時代的と言えなくもない。
ないなら無くても良いのだが、段差を作ってしまっている分だけテーブルの様に動かせない。かといって荷物置きにするのは別の心配が出て来てしまう。せっかく見渡しを良くしたのに手狭に見えるし、テーブルや椅子の予備を置くのは汚く見える。
では何かに使うしかないので美琴は強引に使い道を考えたようだ。
「枠で囲んで子供の隔離スペースにしちゃお。実際にママさんが来るかは別にして、空けておく理由になるしこういうのがあれば安心できるもんね」
「そのくらいなら簡単だし、小上りを使いたい人にも見てもらえるか……外国の人ならテーブルの方が良いだろうしな」
そういう訳で、子供連れの為という言い訳で枠を設置することにした。
予約客の外国人は日本文化に興味を示しているらしいので、小上り自体は気になるだろう。しかし当日は足を延ばせるテーブル席の方が良いだろうし、他に客が居なければカウンターの方がリラックスできるかもしれない。
その辺りは当日判断するとして、他にも気になる所はあるようだ。
「あと椅子の回りも何とかしたいかな。当面は荷物入れる箱でいいけど」
「そういえば最近はそういう店が多いな。やっぱりあった方がいいか」
カウンター六席にして入り口近くは少し広げておく。
おかげで他に問題が出てしまうのだが、小上りを無くしてテーブル席は小さいのを一つのみ。これで何とか折り合いがつくのと、暫くはカウンターも満席にならないから十分だろう。テーブル席や小上りを使う様になったら、六席から五席に戻すのも良い。
その上でせっかく通った視線を邪魔しないように、何か増やすのは足元だという。
「トイレはあたしが何とかしとくから、兄貴は当日のメニューを盛ってみてよ」
「やっぱり弄らないとダメか?」
「ダメよ」
そこからトイレの話になると健は微妙な顔をした。
かわいらしい小物を置いたりポップでオススメのメニューなどを紹介はまだ良い。以前より可愛くなっていくトイレを見て、健は居心地の悪さを感じた。カーテンや間仕切りが変わろうと何とも思わないが、滅多に行かないトイレが様変わりするといたたまれなくなるのだ。
とはいえ任せると言った以上は口出しできない。大皿に当日使う予定の料理を盛ることで自分を誤魔化すことにした。
「大皿は……平皿じゃなくて少し変わってるのがいいかな」
茹で野菜と温めたチーズをのせる皿は、白く楕円形で歪んで見える皿を選んだ。
単純な丸や四角に盛り付けるのではなく、楕円の歪みに合わせて野菜を盛っていく。そして中央には大きく間を空けて、主菜として選んだ肉料理や好みのソースをタップリ載せられるようにしておいた。
文字で言えば『J』辺りが近いだろうか?
「ふーん。絵画で使うパレットを意識してるの?」
「まあな。小鉢のセットだったら懐石を参考にしたっていいんだが」
懐石料理は盛り方が決まっている。
何種類かあるが、定形が決まっているからこそ料理に合わせて参考にできる。しかし今回のメインは茹で野菜とチーズをつつきながら、延々と酒を呑むことを前提にしていた。その上で興味が載ったら小鉢で幾つか頼むという構成である。
洋風料理で見られるような洒落た盛り方をするよりは、シンプルに全体が見渡せて余ったスペースを客が自分で左右できる方が良いのではないかと思うのだ。
「ちょっとちょっと兄貴! なんでカニカマにカマボコなんて載せてんのさ!」
「良いんだよ。こっちの皿は安心感を盛って食べれるように、馴染みの品を盛ってある。海外じゃ『スリミ』と呼ばれて人気の定番食材なんだ」
茹でた野菜とチーズにハム・卵なんてものは欧米で幾らでも食べられるだろう。
だからメインも忌避感がないものを選んである。カニカマとカマボコの対比、スモークサーモンを選んだのはその為だ。そしていよいよ小鉢の方にカツオのタタキを用意し、もう片方にはローストビーフを盛ってあった。外国のお客がローストビーフだけをつつくならそれで良いし、興味が乗ってカツオの叩きに手を出しても良い。
要するに本人の自主性に任せて、後は注文でリクエストしてくれれば良いという構えである。
「それよりもクロケットの方は大丈夫なんだろうな?」
「モチのロンよ。むわーかせて」
健は自信作の出汁入りコロッケを出すが、それに対比を付ける。
美琴は細長く仕上げたクロケットを横に三本並べ、その上に一本斜めに立てかけた。まるで葉巻を並べた様な感じだが、それぞれに色合いが違うので別物だと判る。これにソースでも掛かって居ればもう少し洒落ているのだろうが、この店はソースが選べるのでやってない。
ともあれ用意できる部分は可能な限り用意できたのではないかと思う。
「一応はこんなもんかな。後で定番のレビューをでっちあげて印刷するから、他の店のページと比べて見ましょ」
「了解。なんとかなるといいな」
そこまで行けば、残るのは宣伝部分。客をどうやって呼ぶかくらいだ。
最後に用意した皿をテーブル席に載せ、写真を何枚か撮ってノートパソコンで確認していく。もちろん店の外から中、中から外も映して置き、全体の印象を見比べていくのだ。
普通に印刷して見比べ、あるいはホームページに仮データを入れて見比べることにした。
こうして二度目の改善で、店はかなりスッキリした見栄えになる事だろう。
妹を呼んで最初に出た提案は、席の配分を変える事だった。
どこを重視するかにもよるのだが、カウンターが五席から六席。二・三人掛けの小さなテーブル二つかまたは大きなテーブル一つ。小上りも同様の構成で、仕切りを使えば二卓、使わなければ一卓になる。どこも同じスペースを分割するので、大抵は何処かに無理が来るという塩梅になる。
環境改善第一のステップはこれらを見直し、女性が入り易いようにする事だという。
「やっぱり店の中がどうなってるか分かんないのは怖いもんね。外から見え易くしようよ。暫く一人って言うなら小上り無しでテーブルも減らせば随分印象変わると思う」
「まあ俺一人ならカウンターだけの方が助かるしな」
上記に書いた席数は最大限に詰め込めば可能という程度でしかない。
移動経路もさることながら……テーブル席と小上りはモロに競合しており、片方を二つにすればもう片方が狭くなる。間仕切りを無くして更にカウンターを減らせば何とかなるが、それだってトイレに行くたびに肘付き合わせることになるのだ。
ゆえに改善点として最大人数を大幅に見切ってしまう。
「減らしたスペースはそのままにして、中は見易く移動し易くってとこかな」
「なるほど……。テーブルは外に出すなり仕舞うなりすればいいが、小上りはどうする? その日だけなら予約席として誤魔化せもするが」
健は男なので、昔からあるこの手の店に違和感はなかった。
だが女性視点では狭くて薄暗い店は不安で仕方がないという。ならば試してみようという事になったわけだが、どうせ暫くの間は客数の増加が見込めないし、ただでさえスペースをプライベート空間の為だけに分割する必要はない。『間仕切り』の衝立などを最初から取り除き、カーテンもシンプルで控えめな物に変更。それだけでスッキリとしたビジュアルに仕上がって見えるだろう。
そしてテーブルの次は小上がり。畳敷きで一段高い座敷席の小型版である。
「小上がりかあ。パーティ席にしないならいっそない方が良いのよね。でも今更削れないし、お客が増えるなら資金があったとしても工事するのも微妙……」
そもそも小上がりというものが前時代的と言えなくもない。
ないなら無くても良いのだが、段差を作ってしまっている分だけテーブルの様に動かせない。かといって荷物置きにするのは別の心配が出て来てしまう。せっかく見渡しを良くしたのに手狭に見えるし、テーブルや椅子の予備を置くのは汚く見える。
では何かに使うしかないので美琴は強引に使い道を考えたようだ。
「枠で囲んで子供の隔離スペースにしちゃお。実際にママさんが来るかは別にして、空けておく理由になるしこういうのがあれば安心できるもんね」
「そのくらいなら簡単だし、小上りを使いたい人にも見てもらえるか……外国の人ならテーブルの方が良いだろうしな」
そういう訳で、子供連れの為という言い訳で枠を設置することにした。
予約客の外国人は日本文化に興味を示しているらしいので、小上り自体は気になるだろう。しかし当日は足を延ばせるテーブル席の方が良いだろうし、他に客が居なければカウンターの方がリラックスできるかもしれない。
その辺りは当日判断するとして、他にも気になる所はあるようだ。
「あと椅子の回りも何とかしたいかな。当面は荷物入れる箱でいいけど」
「そういえば最近はそういう店が多いな。やっぱりあった方がいいか」
カウンター六席にして入り口近くは少し広げておく。
おかげで他に問題が出てしまうのだが、小上りを無くしてテーブル席は小さいのを一つのみ。これで何とか折り合いがつくのと、暫くはカウンターも満席にならないから十分だろう。テーブル席や小上りを使う様になったら、六席から五席に戻すのも良い。
その上でせっかく通った視線を邪魔しないように、何か増やすのは足元だという。
「トイレはあたしが何とかしとくから、兄貴は当日のメニューを盛ってみてよ」
「やっぱり弄らないとダメか?」
「ダメよ」
そこからトイレの話になると健は微妙な顔をした。
かわいらしい小物を置いたりポップでオススメのメニューなどを紹介はまだ良い。以前より可愛くなっていくトイレを見て、健は居心地の悪さを感じた。カーテンや間仕切りが変わろうと何とも思わないが、滅多に行かないトイレが様変わりするといたたまれなくなるのだ。
とはいえ任せると言った以上は口出しできない。大皿に当日使う予定の料理を盛ることで自分を誤魔化すことにした。
「大皿は……平皿じゃなくて少し変わってるのがいいかな」
茹で野菜と温めたチーズをのせる皿は、白く楕円形で歪んで見える皿を選んだ。
単純な丸や四角に盛り付けるのではなく、楕円の歪みに合わせて野菜を盛っていく。そして中央には大きく間を空けて、主菜として選んだ肉料理や好みのソースをタップリ載せられるようにしておいた。
文字で言えば『J』辺りが近いだろうか?
「ふーん。絵画で使うパレットを意識してるの?」
「まあな。小鉢のセットだったら懐石を参考にしたっていいんだが」
懐石料理は盛り方が決まっている。
何種類かあるが、定形が決まっているからこそ料理に合わせて参考にできる。しかし今回のメインは茹で野菜とチーズをつつきながら、延々と酒を呑むことを前提にしていた。その上で興味が載ったら小鉢で幾つか頼むという構成である。
洋風料理で見られるような洒落た盛り方をするよりは、シンプルに全体が見渡せて余ったスペースを客が自分で左右できる方が良いのではないかと思うのだ。
「ちょっとちょっと兄貴! なんでカニカマにカマボコなんて載せてんのさ!」
「良いんだよ。こっちの皿は安心感を盛って食べれるように、馴染みの品を盛ってある。海外じゃ『スリミ』と呼ばれて人気の定番食材なんだ」
茹でた野菜とチーズにハム・卵なんてものは欧米で幾らでも食べられるだろう。
だからメインも忌避感がないものを選んである。カニカマとカマボコの対比、スモークサーモンを選んだのはその為だ。そしていよいよ小鉢の方にカツオのタタキを用意し、もう片方にはローストビーフを盛ってあった。外国のお客がローストビーフだけをつつくならそれで良いし、興味が乗ってカツオの叩きに手を出しても良い。
要するに本人の自主性に任せて、後は注文でリクエストしてくれれば良いという構えである。
「それよりもクロケットの方は大丈夫なんだろうな?」
「モチのロンよ。むわーかせて」
健は自信作の出汁入りコロッケを出すが、それに対比を付ける。
美琴は細長く仕上げたクロケットを横に三本並べ、その上に一本斜めに立てかけた。まるで葉巻を並べた様な感じだが、それぞれに色合いが違うので別物だと判る。これにソースでも掛かって居ればもう少し洒落ているのだろうが、この店はソースが選べるのでやってない。
ともあれ用意できる部分は可能な限り用意できたのではないかと思う。
「一応はこんなもんかな。後で定番のレビューをでっちあげて印刷するから、他の店のページと比べて見ましょ」
「了解。なんとかなるといいな」
そこまで行けば、残るのは宣伝部分。客をどうやって呼ぶかくらいだ。
最後に用意した皿をテーブル席に載せ、写真を何枚か撮ってノートパソコンで確認していく。もちろん店の外から中、中から外も映して置き、全体の印象を見比べていくのだ。
普通に印刷して見比べ、あるいはホームページに仮データを入れて見比べることにした。
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