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黒字への道
微速前進
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改めて店を見渡すと、客層ごとに来店時間は異なる。
早い段階から来ているのは店主の身内、そして門限の関係上で手早く帰る必要のある者だ。
しばらく前までは居ても一人か二人だったのだから大した進歩だろう。
「本日のお通しです。料理も間もなくお持ちしま……」
「これこれ。コレが美味しいんですよー」
「あら。かわった形の麺……ね? 片方はマカロニの仲間みたいだけど」
今回はパスタと洋酒フェアなのでパスタ類のお通しになる。
代わり麺の紹介も兼ねているので、一風変わった麺を出してソースの方は牛筋をトマトで煮込んだラグーソースに共通しておいた。味そのものはミートソースと同じだがトロリと煮込んだ牛筋の触感がたまらない。
ただし、今回は麺の形状が少し違う。
「仲良くなったみたいだし、解説を頼めるかな?」
「ラジャっす! マカロニに似てるけど溝が付いてるのはペンネと言って少しでもソースが絡み易いように。もう片方の四角い団子状のはニョッキといって芋を混ぜたこれもパスタの仲間ですね」
「イエス。アルゼンチンにはニョッキの日がありますね」
今日のパスタ祭り部分を担い、一風変わったお祭り感を演出する。
ペンネは歯車を長くしたような形状で、中の穴とギザギザの溝で解説通りソースを絡める為だ。ニョッキはジャガイモと小麦を混ぜた団子状のパスタで、腹持ちが良く昔は断食前だとか安価な保存食として給料日前に食されたという。お通しは酒を呑めば無料なので無理なく紹介できるし、麺のバリエーションとしてはその面白さが即座に判るというのが大きい。パスタそのものはソースの味付け自体は定番なので、こうした部分で目新しさを出そうというのだろう。
今回のポイントは麺を変更するだけなので簡単なのが良い。
「……もう始めてるんだな。いつもので」
「あいよ」
次に訪れるのは夕食に来ている者だ。
カッパさんと名付けられた男は、こんな日でもいつものようにキュウリで二品頼んだ。以前はもっと後に酒を呑むために訪れていたが、最近ではお勧めに食事類を入れる事が多いのでこの時間になっていた。
とはいえ居酒屋だから酒を中心に予定を組むのは間違ってはいない。
「お勧めのクリームスープ・スパゲッティとサラダ・スパお待ち!」
「これお洒落でいいですね! あたしも……」
「それならシェアしましょ? 後で貴女のをもらうから気にしないで」
常連の女性客に用意したのはスープ状にしたスパゲッティ。
茹でた野菜を優雅に食べている彼女に、温かい物をという配慮。対してアメリカ人の方は延々とチョリソを筆頭に肉類を頼むので、口のスパイシーさを洗い流す意味でもサラダ・スパだ。小さくまとめて野菜を添えて、オリーブオイルでチョリソの強烈な香辛料を相殺する。
シェアして分け合うと聞いたので器を提供しつつ、カッパさんの為のメニューに移った。
(この人なら歯ごたえを楽しめる方が良いか。その上で酒の進む味付け……)
一見の客なら頼んだ品に合わせるが、常連なら好みに合わせられる。
選ぶ麺は一口でも千切っても食べられるニョッキを選ぶとして、先行して食べているキュウリの味を損ねない物が良いだろう。色合い的にもアレだと、バジルの香りを立て始めた。
小鉢に盛ると緑色が鮮やかである。
「本日のお勧めでニョッキのパスタ・ジェノエヴェーゼです」
「置いといてくれ」
緑の色合いで塩辛いペスト・ジェノヴェーゼ。
この色のジェノヴェーゼは日本でよくみられるタイプだが、ニョッキで出てくる事は珍しい。食べてればモチモチとした歯ざわりがするので、キュウリの硬さと硬軟を楽しめるだろう。
同じ色合いで硬軟の差はあれ辛めの味付け、同じ酒で軸味わえるだろう。
「あー。それ頼もうとしたんだけどな~。でも同じのを頼むのもな~」
「シェアする訳で無し、同じので良いと思うんだが」
美琴も同じ品を頼もうとしたのだが考えを変えたようだ。
妙なこだわりがあるタイプには二種類があり、いついかなる時も自分の考え方を変えないタイプと、他人と被らないことを前提に自分らしさを追及するタイプが居る。
美琴はどちらかといえば後者である。
「まあそうなんだけどね。今日は珍しいのを見たいって言うのが先なのよ。……決めた。ナポリタンで面白いのってできる?」
「作れと言われれば作るが、パスタ祭りにナポリタンを頼まなくても」
ナポリタンは日本で派生した簡易パスタだ。
トマトソースで煮込みながら炒めるという過程を省いて、ケチャップで味付けをした物である。本場の人間にとっての貧乏飯は『ペペロンチーノが最底辺である』はずなので、ケチャップで味つけだけの『最底辺より下』というのはとんでもないという事らしい。
だが此処は日本である。どうして頼んではいけないものか。
「そりゃそうなんだけどさ。珍しいものが見たいから頼んでるの。文句を言うくらいなら、面白いのを作ってみてよ」
「あいよ」
なお、ナポリタンが簡易的なパスタだったのは当初の話である。
日本人は何でも魔改造したがる癖があるので、当然ながらナポリタンだって改良されていくのだ。なんでもナポリタンを競う大会もあるそうで、いずれは日本独自のバリエーションとなる日も来るのだろう。
ともあれオーダーはオーダーである。工夫して見せるのが日本人だ。
「仕方ないな。アレを作るか」
少し変えるならともかく、ナポリタンなら魔改造すべきだろう。
健は注文に対応すべくチョリソを手に取った。肉厚のソーセージをスライスしてその一部を使い、同時に湯煎している温野菜用のチーズをやはり一部取り分ける。そしてトマトソースをたっぷりと取り分ければ殆ど完成である。
ぶっつけ本番で店には出せないが、幸か不幸かコレは作った事があった。
「漬けナポリタンお待ち。このフェスの為に味実験した時に気が付いたんだが、意外といけるぞ。調べたら本格的な店もあると知って驚いたくらいだ」
「へえ。麺の方には茹で卵だし、これだけ見るとラーメン屋って感じだけど……」
麺の方には茹で卵と、一風変わった所でレモンが載っている。
トマトソースの入った小鉢には溶けたチーズとチョリソが入っており、チーズは甘く逆にチョリソはピリ辛さを演出していた。いや、思ったよりも辛いので唐辛子も入っているかもしれない。
これでもはやトマトソースというか、サルサ風味の味付けに変化したと言えよう。
「ん……悪くないわね。レモンは味変かしら? 麺に絡めるの? それともソースの方に?」
「その辺は御随意に。ただその後を考えたら麺の方がいいかもな」
美琴の質問に健は笑って親指を傾けた。
その方向には佐官屋の娘さんが笑顔で美琴の様子を眺めている。ニッコニッコの笑顔は生来の性格だけではなく、過分にアルコールの影響であろう。
この後の予定がどうなっているか知らないが、明らかに美琴が面倒を見るのは間違いがない。
「みっことさーん。なーに食べてるんですか!? あたしにも一口くださいよっ!」
「ちょと! 待ちなさい。先に私が……」
何てやるのを横目に見ながら、健は徐々に増えて来たお客に対応する事にした。
いつもはこのペースで人が増えることはまだないのだが、どうやら洋酒を試しに来た客が居るようだ。
やはり今回のフェアは大当たりだった。
「大将。コレ、ある? それとも来月かな?」
「ありますよ。ライムもちゃんと用意してます。coronaビール一丁!」
「あ、私もお願いします」
Coronaビールというのは呑み易くすっきりした飲み易いビールだ。
ライムを切って小瓶の口に添えておく。そして飲む際に瓶の中に入れて、ラッパ飲みするのが特徴である。最初はクラフトビールのフェアに混ぜようかと思ったが、結局、洋酒の方に統合したのである。アルコールや苦味が強くない事もあり、ビールを飲むと言うよりも炭酸水を呑むようなイメージに近い。
その日もそこそこのお客が来て、そこそこながら新規客が出た分だけ成功に終わった。
フェアを始める前に比べて多い客であり、二連続でフェアが成功したことは大きいだろう。そして何より、好評を博した洋酒の中には健が常備を決めた物や、仕入れてもらばボトルキープするという客も現れたのである。
改めて店を見渡すと、客層ごとに来店時間は異なる。
早い段階から来ているのは店主の身内、そして門限の関係上で手早く帰る必要のある者だ。
しばらく前までは居ても一人か二人だったのだから大した進歩だろう。
「本日のお通しです。料理も間もなくお持ちしま……」
「これこれ。コレが美味しいんですよー」
「あら。かわった形の麺……ね? 片方はマカロニの仲間みたいだけど」
今回はパスタと洋酒フェアなのでパスタ類のお通しになる。
代わり麺の紹介も兼ねているので、一風変わった麺を出してソースの方は牛筋をトマトで煮込んだラグーソースに共通しておいた。味そのものはミートソースと同じだがトロリと煮込んだ牛筋の触感がたまらない。
ただし、今回は麺の形状が少し違う。
「仲良くなったみたいだし、解説を頼めるかな?」
「ラジャっす! マカロニに似てるけど溝が付いてるのはペンネと言って少しでもソースが絡み易いように。もう片方の四角い団子状のはニョッキといって芋を混ぜたこれもパスタの仲間ですね」
「イエス。アルゼンチンにはニョッキの日がありますね」
今日のパスタ祭り部分を担い、一風変わったお祭り感を演出する。
ペンネは歯車を長くしたような形状で、中の穴とギザギザの溝で解説通りソースを絡める為だ。ニョッキはジャガイモと小麦を混ぜた団子状のパスタで、腹持ちが良く昔は断食前だとか安価な保存食として給料日前に食されたという。お通しは酒を呑めば無料なので無理なく紹介できるし、麺のバリエーションとしてはその面白さが即座に判るというのが大きい。パスタそのものはソースの味付け自体は定番なので、こうした部分で目新しさを出そうというのだろう。
今回のポイントは麺を変更するだけなので簡単なのが良い。
「……もう始めてるんだな。いつもので」
「あいよ」
次に訪れるのは夕食に来ている者だ。
カッパさんと名付けられた男は、こんな日でもいつものようにキュウリで二品頼んだ。以前はもっと後に酒を呑むために訪れていたが、最近ではお勧めに食事類を入れる事が多いのでこの時間になっていた。
とはいえ居酒屋だから酒を中心に予定を組むのは間違ってはいない。
「お勧めのクリームスープ・スパゲッティとサラダ・スパお待ち!」
「これお洒落でいいですね! あたしも……」
「それならシェアしましょ? 後で貴女のをもらうから気にしないで」
常連の女性客に用意したのはスープ状にしたスパゲッティ。
茹でた野菜を優雅に食べている彼女に、温かい物をという配慮。対してアメリカ人の方は延々とチョリソを筆頭に肉類を頼むので、口のスパイシーさを洗い流す意味でもサラダ・スパだ。小さくまとめて野菜を添えて、オリーブオイルでチョリソの強烈な香辛料を相殺する。
シェアして分け合うと聞いたので器を提供しつつ、カッパさんの為のメニューに移った。
(この人なら歯ごたえを楽しめる方が良いか。その上で酒の進む味付け……)
一見の客なら頼んだ品に合わせるが、常連なら好みに合わせられる。
選ぶ麺は一口でも千切っても食べられるニョッキを選ぶとして、先行して食べているキュウリの味を損ねない物が良いだろう。色合い的にもアレだと、バジルの香りを立て始めた。
小鉢に盛ると緑色が鮮やかである。
「本日のお勧めでニョッキのパスタ・ジェノエヴェーゼです」
「置いといてくれ」
緑の色合いで塩辛いペスト・ジェノヴェーゼ。
この色のジェノヴェーゼは日本でよくみられるタイプだが、ニョッキで出てくる事は珍しい。食べてればモチモチとした歯ざわりがするので、キュウリの硬さと硬軟を楽しめるだろう。
同じ色合いで硬軟の差はあれ辛めの味付け、同じ酒で軸味わえるだろう。
「あー。それ頼もうとしたんだけどな~。でも同じのを頼むのもな~」
「シェアする訳で無し、同じので良いと思うんだが」
美琴も同じ品を頼もうとしたのだが考えを変えたようだ。
妙なこだわりがあるタイプには二種類があり、いついかなる時も自分の考え方を変えないタイプと、他人と被らないことを前提に自分らしさを追及するタイプが居る。
美琴はどちらかといえば後者である。
「まあそうなんだけどね。今日は珍しいのを見たいって言うのが先なのよ。……決めた。ナポリタンで面白いのってできる?」
「作れと言われれば作るが、パスタ祭りにナポリタンを頼まなくても」
ナポリタンは日本で派生した簡易パスタだ。
トマトソースで煮込みながら炒めるという過程を省いて、ケチャップで味付けをした物である。本場の人間にとっての貧乏飯は『ペペロンチーノが最底辺である』はずなので、ケチャップで味つけだけの『最底辺より下』というのはとんでもないという事らしい。
だが此処は日本である。どうして頼んではいけないものか。
「そりゃそうなんだけどさ。珍しいものが見たいから頼んでるの。文句を言うくらいなら、面白いのを作ってみてよ」
「あいよ」
なお、ナポリタンが簡易的なパスタだったのは当初の話である。
日本人は何でも魔改造したがる癖があるので、当然ながらナポリタンだって改良されていくのだ。なんでもナポリタンを競う大会もあるそうで、いずれは日本独自のバリエーションとなる日も来るのだろう。
ともあれオーダーはオーダーである。工夫して見せるのが日本人だ。
「仕方ないな。アレを作るか」
少し変えるならともかく、ナポリタンなら魔改造すべきだろう。
健は注文に対応すべくチョリソを手に取った。肉厚のソーセージをスライスしてその一部を使い、同時に湯煎している温野菜用のチーズをやはり一部取り分ける。そしてトマトソースをたっぷりと取り分ければ殆ど完成である。
ぶっつけ本番で店には出せないが、幸か不幸かコレは作った事があった。
「漬けナポリタンお待ち。このフェスの為に味実験した時に気が付いたんだが、意外といけるぞ。調べたら本格的な店もあると知って驚いたくらいだ」
「へえ。麺の方には茹で卵だし、これだけ見るとラーメン屋って感じだけど……」
麺の方には茹で卵と、一風変わった所でレモンが載っている。
トマトソースの入った小鉢には溶けたチーズとチョリソが入っており、チーズは甘く逆にチョリソはピリ辛さを演出していた。いや、思ったよりも辛いので唐辛子も入っているかもしれない。
これでもはやトマトソースというか、サルサ風味の味付けに変化したと言えよう。
「ん……悪くないわね。レモンは味変かしら? 麺に絡めるの? それともソースの方に?」
「その辺は御随意に。ただその後を考えたら麺の方がいいかもな」
美琴の質問に健は笑って親指を傾けた。
その方向には佐官屋の娘さんが笑顔で美琴の様子を眺めている。ニッコニッコの笑顔は生来の性格だけではなく、過分にアルコールの影響であろう。
この後の予定がどうなっているか知らないが、明らかに美琴が面倒を見るのは間違いがない。
「みっことさーん。なーに食べてるんですか!? あたしにも一口くださいよっ!」
「ちょと! 待ちなさい。先に私が……」
何てやるのを横目に見ながら、健は徐々に増えて来たお客に対応する事にした。
いつもはこのペースで人が増えることはまだないのだが、どうやら洋酒を試しに来た客が居るようだ。
やはり今回のフェアは大当たりだった。
「大将。コレ、ある? それとも来月かな?」
「ありますよ。ライムもちゃんと用意してます。coronaビール一丁!」
「あ、私もお願いします」
Coronaビールというのは呑み易くすっきりした飲み易いビールだ。
ライムを切って小瓶の口に添えておく。そして飲む際に瓶の中に入れて、ラッパ飲みするのが特徴である。最初はクラフトビールのフェアに混ぜようかと思ったが、結局、洋酒の方に統合したのである。アルコールや苦味が強くない事もあり、ビールを飲むと言うよりも炭酸水を呑むようなイメージに近い。
その日もそこそこのお客が来て、そこそこながら新規客が出た分だけ成功に終わった。
フェアを始める前に比べて多い客であり、二連続でフェアが成功したことは大きいだろう。そして何より、好評を博した洋酒の中には健が常備を決めた物や、仕入れてもらばボトルキープするという客も現れたのである。
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