40 / 51
黒字への道
むしろ減らしてみよう
しおりを挟む
●
弁当業界の過酷な現実を見て、気の重くならない訳がない。
亡くなった叔父さんの頃は居酒屋経営が伸びなかったら、弁当を売るなりカフェでも同時やれば良いと思っていただけに深刻だ。そんな計画は今の時代には、無意味だったかもしれないのだから。
そんな美琴さんの弁当話は続く。
「このくらいか?」
「かも。……栄養価を考える方は全然だめよね」
まずは判り易い栄養価を考えて、色々盛り込んだ方を作ってみた。
美味しそうだが500円は取らないと元が取れそうにないし、一つ一つの料理がチマチマとして『これは!』というウリがまるでない。豊がサンプルに手に入れて来た弁当と比べて、美味しいがそれだけだ。ここから400円台に落とそうと思えば相当な劣化を招くだろう。
作者の満足以外が無いとも言える。
「こうしてみると、このボリューム弁当に行き着いた理由も判るな。インパクトはあるし自分が好きなメニューを選んでローテーションして行けばいい」
「正直な話、酢の物とか別に好きじゃないしね」
一方でボリューム弁当の方は良い感じに見えた。
健が男性用を担当し、ハンバーグ弁当をまず真似して用意してみた。近所の農家で手に入れた米を二種、普通の米とクズ米を配合して原価と味を試している。ソースも豊に言った通り、照り焼きと大根おろしの二種を用意し、画一的ながらも低予算で良い味に仕上げていた。そして美琴が考案したのがクリケットを並べて、ご飯またはパンを選べるものだ。こちらは以前に作った細いクリケットをチョイスして、基本二種・カレーの三味構成にしてあった。
両者ともに自分の過去作から、安価に量を用意できるものを作ったわけだ。
「兄貴。こっちのハンバーグって豚や牛以外にも使ってんの?」
「むしろ鶏がメインだな。安く仕入れられるからどうしてもそうなる。実のところ照り焼きの方も同じだから、単純に大根おろしだと気が付き易いだけだ」
試食を始めると美琴が首を傾げた。
いつもと違う味になるのは仕方がないとしても、混ぜるミンチの配合が明らかに違ったからだ。通常は牛と豚で油の味を変えるためにどちらかが多くなるのだが、コレは明らかに風味が違うのである。
言われてみると鶏そぼろや、つくねに似た味と触感であった。
「合わないか? 安さ狙いで代用品に偏り過ぎたかもしれんが」
「んー。そうでもないけど……むしろ隠すよりも、鶏メインってことを表に出さない? つなぎに豆腐を入れてヘルシー路線とかね」
言い方や見出し方で印象は変わるものだ。
後から鶏ベースのハンバーグだとバレるよりも、最初から公表してヘルシーさで売る方が安全である。美琴はお茶で口を洗った後に照り焼きソースへ小指だけ付けて、ペロリと舐めて味を確認してみた。
そして色合いを見ながら額に皺を寄せると、改めて箸を使って試食を再開する。
「やっぱりこの照り焼きソースだと濃い過ぎるわ。ちょっとクドと思う。むしろこのハンバーグなら薄味でヘルシーさと値段のW推しが良いんじゃないかなあ」
「言いたいことは判るがボリューム感が落ちるぞ? 満足感が得られんと思うんだが」
弁当のハンバーグといえばコッテリ感で瞬間的な満足感を得るものだ。
レストランなら豚を控えめにしたハンバーグステーキというのもアリかもしれないが。健としては弁当ならば醤油強めの照り焼きか、いっそデミグラスソースを作る方がよさそうな気がする。そこからトマトソースだと微妙になるか、さもなければ酸っぱくなりすぎるだろう。
ではどうするのかというと……。
「そこは逆に小さくしてしまうのも手じゃない? 思うんだけど弁当一つで済ませるってのも古い気がするのよ。考える事が増え過ぎちゃうし……」
美琴は試食で小さくなった残りのハンバーグをナイフでカットする。
そして付け合わせのポテトも除けてしまい、下敷きにしたキャベツのみをお供とした。それだけでなく、自分が作ったクリケットの方もナイフで半分くらいのサイズにしてしまう。
実に大胆な判断と言えなくもない。
「私としてはこの位のサイズでちょい足しにするかな。これならご飯やパンは別売りでいいわ。豊さんが言ってた豚汁とかコーヒーも合わせて、セット価格にしちゃうの」
「用意するのは構わんが……なんだか菓子類が年々目減りして行く感じを思い出すな」
気が付けば分量的には当初の三分の二、または半分程度に見える。
まるで原材料費が高騰したり勢が上がるたびに、ポテトチップスやパンが少しずつ減っていく様子を思い出させて悲しくなった。
適正サイズは調整するとしても、半分前後になるのは否めまい。
「後はこれが重要なんだが……。確か女子も普通に喰うし満足感を求めてるって話じゃなかったか? これじゃ足りんだろ」
「これでいいの。ううん、これがいいのよ。さっきも言ったでしょ、これは『ちょい足し』なの」
対格差はあれど女性が食事を食べないという事はない。
ダイエットであったり見栄であったりと、食べない様子を見せることはあるが、体力維持の為にそれなりに食べているとのことだ。男子が判り易く味の強い食事をガッツリするのに大して、女性は考えながら食べているというだけだと美琴は言っていたはずなのだ。
それに対する回答が、『ちょい足し』という言葉である。
「ちょい足し?」
「そう! 自分のお弁当や、他の店だったりこっちで用意した普通のお弁当。そういうのに物足りない部分を出すのよ。それなら少量で自分好みの味を足せるほうがいい。それこそ、お結び一つとコレを合わせた食事を二回すれば良いだけだしね」
実践するためにご飯の量を確認して塩を用意する。
美琴は手を洗って塩を用意すると、ご飯を小さく俵型のお結びを二つと、良くある山形のオニギリで大きく作り始めた。
どちらも米の量は変わらないが、お結びの方は二回に分けられる。
「一回目は鶏と豆腐のハンバーグと一緒に。二回目はクロケットと一緒に。これなら違う味を頼めるし時間もかからない。形状にこだわればオシャレにだって見える。満足するまで食べたきゃ、ご飯だけ家から用意することもできるわ」
「二回食べるならいいのか。二回……不思議な感覚だな」
ご飯をあえて二つに分けるのは見て居れば分かる。
しかし、どうして一回の分量を減らし、食事時間も減らす必要があるのか健には分からなかった。だが美琴としては他の用事を熟したりする為にも、パパっと食べて栄養と気力を補充。他人からは少食に思われつつ作業をこなし、暇を見つけてまた食べるという方が良いのではないかと言い出した。
ある種、体面用とも言えるし、気分を切り替えるために分けているとも言えるだろう。
「まあいいんじゃないか? 小さくするというアイデアは俺としては目新しいし、これなら確かに余計なサイドメニューも要らんしな」
「あ、そうそう。普通の弁当も用意するだけ用意しといてね。選べる、自分で選んだ自分だけの正解ってのが重要なんだからっ!」
狐につままれたような気分だが、美琴の計画なので健も納得する。
最終的にボリューム弁当(300円)、ちょい足し弁当(200円)、豚汁・コーヒー(100円)。豚汁とコーヒーは『どちらかの弁当と同時に買えば、それぞれ50円引き』と記載されることになった。
弁当業界の過酷な現実を見て、気の重くならない訳がない。
亡くなった叔父さんの頃は居酒屋経営が伸びなかったら、弁当を売るなりカフェでも同時やれば良いと思っていただけに深刻だ。そんな計画は今の時代には、無意味だったかもしれないのだから。
そんな美琴さんの弁当話は続く。
「このくらいか?」
「かも。……栄養価を考える方は全然だめよね」
まずは判り易い栄養価を考えて、色々盛り込んだ方を作ってみた。
美味しそうだが500円は取らないと元が取れそうにないし、一つ一つの料理がチマチマとして『これは!』というウリがまるでない。豊がサンプルに手に入れて来た弁当と比べて、美味しいがそれだけだ。ここから400円台に落とそうと思えば相当な劣化を招くだろう。
作者の満足以外が無いとも言える。
「こうしてみると、このボリューム弁当に行き着いた理由も判るな。インパクトはあるし自分が好きなメニューを選んでローテーションして行けばいい」
「正直な話、酢の物とか別に好きじゃないしね」
一方でボリューム弁当の方は良い感じに見えた。
健が男性用を担当し、ハンバーグ弁当をまず真似して用意してみた。近所の農家で手に入れた米を二種、普通の米とクズ米を配合して原価と味を試している。ソースも豊に言った通り、照り焼きと大根おろしの二種を用意し、画一的ながらも低予算で良い味に仕上げていた。そして美琴が考案したのがクリケットを並べて、ご飯またはパンを選べるものだ。こちらは以前に作った細いクリケットをチョイスして、基本二種・カレーの三味構成にしてあった。
両者ともに自分の過去作から、安価に量を用意できるものを作ったわけだ。
「兄貴。こっちのハンバーグって豚や牛以外にも使ってんの?」
「むしろ鶏がメインだな。安く仕入れられるからどうしてもそうなる。実のところ照り焼きの方も同じだから、単純に大根おろしだと気が付き易いだけだ」
試食を始めると美琴が首を傾げた。
いつもと違う味になるのは仕方がないとしても、混ぜるミンチの配合が明らかに違ったからだ。通常は牛と豚で油の味を変えるためにどちらかが多くなるのだが、コレは明らかに風味が違うのである。
言われてみると鶏そぼろや、つくねに似た味と触感であった。
「合わないか? 安さ狙いで代用品に偏り過ぎたかもしれんが」
「んー。そうでもないけど……むしろ隠すよりも、鶏メインってことを表に出さない? つなぎに豆腐を入れてヘルシー路線とかね」
言い方や見出し方で印象は変わるものだ。
後から鶏ベースのハンバーグだとバレるよりも、最初から公表してヘルシーさで売る方が安全である。美琴はお茶で口を洗った後に照り焼きソースへ小指だけ付けて、ペロリと舐めて味を確認してみた。
そして色合いを見ながら額に皺を寄せると、改めて箸を使って試食を再開する。
「やっぱりこの照り焼きソースだと濃い過ぎるわ。ちょっとクドと思う。むしろこのハンバーグなら薄味でヘルシーさと値段のW推しが良いんじゃないかなあ」
「言いたいことは判るがボリューム感が落ちるぞ? 満足感が得られんと思うんだが」
弁当のハンバーグといえばコッテリ感で瞬間的な満足感を得るものだ。
レストランなら豚を控えめにしたハンバーグステーキというのもアリかもしれないが。健としては弁当ならば醤油強めの照り焼きか、いっそデミグラスソースを作る方がよさそうな気がする。そこからトマトソースだと微妙になるか、さもなければ酸っぱくなりすぎるだろう。
ではどうするのかというと……。
「そこは逆に小さくしてしまうのも手じゃない? 思うんだけど弁当一つで済ませるってのも古い気がするのよ。考える事が増え過ぎちゃうし……」
美琴は試食で小さくなった残りのハンバーグをナイフでカットする。
そして付け合わせのポテトも除けてしまい、下敷きにしたキャベツのみをお供とした。それだけでなく、自分が作ったクリケットの方もナイフで半分くらいのサイズにしてしまう。
実に大胆な判断と言えなくもない。
「私としてはこの位のサイズでちょい足しにするかな。これならご飯やパンは別売りでいいわ。豊さんが言ってた豚汁とかコーヒーも合わせて、セット価格にしちゃうの」
「用意するのは構わんが……なんだか菓子類が年々目減りして行く感じを思い出すな」
気が付けば分量的には当初の三分の二、または半分程度に見える。
まるで原材料費が高騰したり勢が上がるたびに、ポテトチップスやパンが少しずつ減っていく様子を思い出させて悲しくなった。
適正サイズは調整するとしても、半分前後になるのは否めまい。
「後はこれが重要なんだが……。確か女子も普通に喰うし満足感を求めてるって話じゃなかったか? これじゃ足りんだろ」
「これでいいの。ううん、これがいいのよ。さっきも言ったでしょ、これは『ちょい足し』なの」
対格差はあれど女性が食事を食べないという事はない。
ダイエットであったり見栄であったりと、食べない様子を見せることはあるが、体力維持の為にそれなりに食べているとのことだ。男子が判り易く味の強い食事をガッツリするのに大して、女性は考えながら食べているというだけだと美琴は言っていたはずなのだ。
それに対する回答が、『ちょい足し』という言葉である。
「ちょい足し?」
「そう! 自分のお弁当や、他の店だったりこっちで用意した普通のお弁当。そういうのに物足りない部分を出すのよ。それなら少量で自分好みの味を足せるほうがいい。それこそ、お結び一つとコレを合わせた食事を二回すれば良いだけだしね」
実践するためにご飯の量を確認して塩を用意する。
美琴は手を洗って塩を用意すると、ご飯を小さく俵型のお結びを二つと、良くある山形のオニギリで大きく作り始めた。
どちらも米の量は変わらないが、お結びの方は二回に分けられる。
「一回目は鶏と豆腐のハンバーグと一緒に。二回目はクロケットと一緒に。これなら違う味を頼めるし時間もかからない。形状にこだわればオシャレにだって見える。満足するまで食べたきゃ、ご飯だけ家から用意することもできるわ」
「二回食べるならいいのか。二回……不思議な感覚だな」
ご飯をあえて二つに分けるのは見て居れば分かる。
しかし、どうして一回の分量を減らし、食事時間も減らす必要があるのか健には分からなかった。だが美琴としては他の用事を熟したりする為にも、パパっと食べて栄養と気力を補充。他人からは少食に思われつつ作業をこなし、暇を見つけてまた食べるという方が良いのではないかと言い出した。
ある種、体面用とも言えるし、気分を切り替えるために分けているとも言えるだろう。
「まあいいんじゃないか? 小さくするというアイデアは俺としては目新しいし、これなら確かに余計なサイドメニューも要らんしな」
「あ、そうそう。普通の弁当も用意するだけ用意しといてね。選べる、自分で選んだ自分だけの正解ってのが重要なんだからっ!」
狐につままれたような気分だが、美琴の計画なので健も納得する。
最終的にボリューム弁当(300円)、ちょい足し弁当(200円)、豚汁・コーヒー(100円)。豚汁とコーヒーは『どちらかの弁当と同時に買えば、それぞれ50円引き』と記載されることになった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる