魔法剣の姫は、まもなく散る猛き花を愛しました。

sohko3

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あなたが守ってくれた未来

貴方との約束Ⅱ

 三月二十日。シホの、初めての月命日。わたくしは彼の埋葬された場所へ向かいました。

 シホが埋葬された直後はとりあえずの目印として十字架を立ててありましたが、この一か月の間に王家はきちんと建碑しました。彼の名前だけではなく、傀儡竜であったこと。グランティスの未来のために、最後に命を捧げて戦い抜いた記録を文章にして刻みました。


 わたくし達の世界の千年間に、傀儡竜は何人も生まれて、歴史の影でひっそりと亡くなってきました。太陽竜に安楽死された者もあれば、謂れなき神罰を受けて苦しむことを回避するため、自ら二十年目を迎えない選択をしたり。同様に、その境遇を憐れんだ第三者が手にかけたり。

 傀儡竜という存在が確かにいたのだと、正式な記録として後世まで伝え残したのは、我が国グランティスを除いて他にはありませんでした。


「あなたは……オーデン?」

「ああ……ヒメサマ、か」

 石碑には、先客がいました。ロムパイア使いの剣闘士、オーデンです。

「シホはたまに、いっしょにあそんでくれたんだ。おれはこきょうをおいだされて、このくににともだちがいないんだろって」

 オレも、似たような立場だからな。そう言ってオーデンを誘って、頻繁にご飯をご一緒したのだそうです。似たような立場というのは事実かもですが、社交的なシホはこの国の友人がたくさん出来たはずです。その上でなお、オーデンを気遣える人柄だったのですね。


 こうして直に会話したのは数年振りですが、あの時よりも少し、話し口が聞き取りやすくなっている気がします。


「シホのおかげで、けんとうしのなかまともふつうにはなせるようになった。このくにに
いてもさびしいと、おもうひがなくなった。だから、これからも、けんとうしをつづけていくんだ」

「ええ。わたくしも、いつかあなたと同じ剣闘士として戦えるようになる日を目指して、頑張りますからね」

「けんとうしどうしになったら、ヒメサマがあいてでも、てかげんはしない。シホとやくそく、したからな」

 わたくしとの対戦の時に「わざとまけてやってもいいぞ」と言ったという話を聞きつけたシホは、オーデンに忠告してくださったのだそうです。「レナはいつか、絶対に剣闘士になるはずだ。そうなった時には試合であたった時、手加減してやるなんて言うなよ? そういうのは逆に、レナに対して失礼なんだからな」って。……そうなった時には、自分がオーデンにそれを伝えられる状況にないかもしれないから。先々の話であると承知で、苦言を呈しておいた。


 いつの日か、わたくしがそこに辿り着けると信じて……。
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