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第5章

第5章:ヴァローナとメイド達6(第2章ifルート:サイドストーリー)

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 それは、まるで別の体験だった。

 多くて三回、長くて一時間程度が限界だった夫婦としては、異常事態。



 ベッドで前祇も無しに正常位で挿入してから、既に二時間が経過していた。
 体力は、一時間前に二人共底をついている。

 しかし、股間に宿る衝動が抑えられず、二人共にピストンを止められない。

 呼吸が苦しい。
 全身の節々が痛い。

 明日は確実に筋肉痛になる。

 だが、お互いの性器を擦り合わせるだけ。
 本来なら飽きてしまう単調な動き。

 喘ぎ声さえ呼吸を優先させて一時間前から全くない。



 その間。
 十回果て、クレマティオは更に二回潮も吹いた。
 抜かずにの連続射精回数は過去最高だし、敏感なまま射精しながらのピストンによる潮吹きも初めて。
 それ以前に、何度出してもペニスの勃起が治まらないなんて事は初めてである。

 それでも、何も出なくても腰が止まらない。

 クレマティオは、感じていた。
 射精後に訪れる冷静な感情と、目の前の女を犯さなければならないと言う獣の様な相反する衝動。
 それが同時に常にあり、回数を重ねるごとに、その境界が無くなっていく。

 自身の中の限界が解放され、リミットレスとなっている万能感は、全て目の前の女を犯す事に使わなければ気が済まない。



 一方でヴァローナは、十七回もオーガズムを感じていた。
 クレマティオと同じ様に、何度感じても目の前の男を犯し尽くしたい獣と、冷静な自分の境界が無くなっていくのを感じる。

 この日、ヴァローナは初めて気付く。
 性感帯の中で、クリトリスが最も快感を感じやすい部位である事を。

 大きく膨らんだクリトリスの先端が、クレマティオと自身の体液でぬちょぬちょと音を立てながら、クレマティオの大きく膨らんだペニスの竿によって、ピストンするたびに、自然とこすり付けられる。
 包皮を飛び出したクリトリスへの摩擦は、身体の底からこみ上げる快感の波を何度となく最短距離で呼び寄せ、ヴァローナは既に七回も潮を吹き、おしっこも二度漏らし、やはりクレマティオと同じ様に、もう何も出なくなっていた。

 ヴァローナの一回一回の長い絶頂中でも、クレマティオはまるでヴァローナの状態など気にしてないかのように子宮を殴りつける様な激しいピストンを続け、ヴァローナの中で空果て続け、ヴァローナも同じ様に空果て続ける。



 それから更に一時間。

 二人の性器は、皮が限界まで薄くなるように限界まで膨らんで、三時間も休まず酷使された事で、内出血で色が変わり始めていた。
 時々訪れる様になる会陰に走る、こむらがえった様な激痛。
 その時だけは、さすがに腰を止め、待ったをかける。

 二人の中に宿っている冷静さの質は、絶頂の後に訪れる物でしかなく、自分達の身体が悲鳴を上げている事には気付かない。

 この時になると、二人は絶頂後に冷静さが訪れない様になっていた。
 常に冷静であり、常に発情していると言う不思議な感覚。

 クレマティオは、日頃の訓練中に訪れるハイな感覚をセックスの中で感じている。
 ヴァローナは、運動があまり好きではないので、長距離走中に感じる様なランナーズハイ自体経験が少なく、疲れ切っているのに楽しい事が不思議であった。

 さらに、二人は正常位だけを三時間も飽きずに反復し続ける事で、スポーツ選手が感じるゾーンへと入り、お互いの正常位における最適な動きを考えずに動けた。



 二人がやっている事は、愛のあるセックスであったのは最初の一時間程度で、その後の一時間は本能による子作りであり、さらに後の一時間はスポーツとなっていた。



 朝。

 ヴァローナは節々の痛みに目を覚ました。
 そこは、昨日綺麗にしたばかりのベッドの面影が無い、汗と、愛液と、小便と、精液と、涎と、涙が染み込んで湿ったシーツの上。
 シーツの上で乾いた体液から水気が抜けて膜を張り、シーツがカピカピとなっている。
 触ると、パリパリと音をさせてシーツの膜が割れた。

 だが、そんな事は、もはやどうでも良かった。

 大事なのは、満足感。
 昨夜は、夢の様な体験であった。

 痛みに自身の股間を見てみると、クリトリスは先端が腫れ、萎んでこそいるが包皮から五ミリ顔を出したままになっていた。
 膣から溢れかけたままになって固まっている精液が足に張り付いて気持ち悪いが、触ると皮膚には何も残さずに綺麗に落ちる。



 隣で眠るクレマティオのペニスは、甘勃ちを保ったままだが、全体が赤黒く、怪我をした様に黒ずんで見えた。

 ヴァローナは、眠るクレマティオのペニスを労う様にしゃぶり始める。
 股間の感触にクレマティオが起きると、ヴァローナが朝から自分のペニスに奉仕しているのが目に入った。

「夢か……」

「ふへははいはら(夢じゃないから)」

「ケルシュにもいつも言ってるだろ、口に物を入れて喋るなって」

「ほうへ(そうね)」

 ヴァローナがペニスを口をすぼめながら出すと、クレマティオのペニスは十八センチ程に勃起している。

「お前、何したんだ?」

「気持ち良くなる薬を勧められて……」

「誰に?」

「それを言わない約束で教えて貰ったの」

「じゃあ、ルイシーさんじゃないな……」

「ちょっと推理しないでよ。私顔に出ちゃうんだから」

 ヴァローナは背面騎乗位でクレマティオに跨った。

「痛っ!?」

「大丈夫クレオ!?」

「待て! 俺のちんこどうなってる!」

 ヴァローナが膣からペニスを抜くと、赤黒く変色したペニスがクレマティオの視界に入った。

「これって誰に聞けばいい!? 団長!?」

「誰にも言っちゃだめっ~!」

「いや、だってお前よ、この色はヤバいだろ絶対! ほっとくとちんこ取れる奴だろ」

「何もしなければ数日で腫れは引くから!」

「何もって……お前、今やる気だったじゃ無いか!」

「だって、勃ってたから……」

「朝勃ちに決まってるだろ! それに……お前、こんなにエロくなかっただろ今まで」

「まだ薬が残ってるのかも」

「痛つつ……とにかく、腫れが引くまでは勘弁してくれよ。マジで痛いんだからな」



 * * *



「痣ねぇ……クレオの奴何も言ってなかったが、まあ、痣ぐらいでイチイチ騒がれても訓練にならんしな。それにしても痣ぐらいでこんな高価な薬を買いにくるなんて、ちょっと過保護じゃないか? ヴァローナ」

「夫婦ですから」

「お熱い様で。塗れば痣も腫れもひくはずだから、塗ってやんな。お大事に」

 エルムの執務室からヴァローナは出て来ると、トイレに駆け込んだ。

 スカートをたくし上げ、すぐに自分のクリトリスに塗りたくる。
 下着は、つけていない。

 と言うか、つけるにつけられなかった。
 クリームの様な塗り薬にクリトリスが包まれると、それだけで包皮に包まれていた時の様な感覚で、痛みが和らぐ。
 敏感な部分が常時外に出ていると言うのも考え物だ。
 三ヶ月かけて萎ませなければとヴァローナは考えるが、自分の指がクリトリスを無意識に愛撫している事に気付く。
 腫れて痛いのだが、気持ちが良くて手が止まらない。

 ヴァローナはそのまま自慰を続けるが、クリトリスを自由に触れないので、いくにいけない。

(やばっ、手が)

 止まらなくなっていた。



 * * *



 騎士の訓練所。

 クレマティオは、ストラディゴスを相手に剣の練習をしていた。

「やった酒は飲んだのか?」

「これからです、よ!」

「クレオ、なんか動きがおかしいぞ?」

「ちょっと、昨日、色々あって!」

「ヴァローナとか?」

「まあ、でも、上手くいってますよ、きっと!」

「そりゃ良い」

「クレオ! クレオ!」
 恍惚感が抜けきらないやたらと色っぽい顔のヴァローナが、クレマティオの元へ走ってきた。

「お、噂をすれば」

「ヴァローナ、訓練中だぞ。どうしたんだ?」

「ストラディゴスさん、クレオを少しだけ借ります」

「ちゃんと返してくれよ」



 二人は一階の外にある公衆トイレの一室に入る。

「急にどうしたんだ!?」

「エルム様から薬買ってきたの、ほら、ズボン脱いで」

 ヴァローナがズボンを脱がすと、下着の下には萎まずに、横に寝かせて無理やり収納された甘勃ちが治まらないペニスが見えた。
 ヴァローナはクレマティオの下着からそれを取り出すと、薬を塗り始める。
 すると、ペニスは刺激によって勃起していき、完全に自立する。

「ヴァローナ、頼む、このまま……」
 クレマティオの切なそうな声に、ヴァローナは興奮するが……
「ええぇ、だって腫れが引くまでって、それに薬塗っちゃったよぉ、もうっ」

「手で、手でいいから、このままじゃ戻れない。怪しまれる前に早く」

「ああ、もうっ!」

 ヴァローナは薬を塗り込むかのように手コキを始めると、クレマティオは恍惚とした表情で快感が高まっていく。

「出る、出るからヴァローナ、手で受け止めろ!」

 クレマティオが射精すると、ヴァローナの手の中には見た事も無い特濃の精液がドピュドピュと放出された。
 プリプリとしていて、見た目にはレーラーが話していた糊か粥の様な白濁としてしっかりと立つ精液。
 ヴァローナはトイレに精液を捨てると、何食わぬ顔で一人先にトイレを出る。

 手を洗わなければと手洗場に向かうと、そこには偶然レーラーがいた。

 レーラーは、トイレから汚れた手で出て来たヴァローナを見て、なるほどと思うと「よかったわね」と言った。
 ヴァローナは真っ赤になりながら、手を洗う。
 すると、レーラーがヴァローナの耳元で囁くように言った。

「私にもあなたの話、あとで聞かせてよね」
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