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「タケル。何か心配事でもあるのか?……まさか、もうすでに伴侶がいるのか?」
「え?いや、俺はまだ結婚してない、ていうか誰とも付き合ったこともない、ですけど…。」
「そうか。それは良かった。では、そなたの初めては全て我のものとなるのだな。」
魔王様、めっちゃ嬉しそうなんですけど…。
「でも、俺、まだ結婚は考えられないというか…それに、魔王様が、その…俺のことが好き?ていうのが、あの…信じられなくて…。」
断ったら殺されるかもしれないけど、断る前にちゃんと情報収集しておかないと…。
「なんと…。そうか。では、まずは我の気持ちを知ってもらわねばな。」
そう言うと魔王様は、俺の顎をくいっと上げてその美しい顔を近づけて…
「!?」
え、顎クイからのキス!? え、え、えー!?
ちゅ、ちゅと音を立てながら、何度も何度も口づけされる。なんで?どうして?なんでこうなった!?
俺の混乱をよそに、魔王様はキスを止めることはなく、俺の唇を塞いだまま舌をねじ込んできた。
「んん!……んふっ…」
されるがままの俺は、止めることも出来ずそのまま侵入を許してしまう。
舌を絡めて、口蓋や歯列も舐められる。魔王様の舌の動きがいやらしくて気持ちよくて…これ、ヤバい…。
もうこれ以上は…って思ったら、俺の唇をぺろっと舐めて離れていった。
「タケル、愛している。信じて欲しい。」
俺の耳元でそう言って、ぎゅって抱きしめてきた。
なんだよこれ…。本当に、あのサナトスか…?こんな優しい、気持ちいいキスするなんて。
そしてそのまま耳もちゅちゅとキスしてくる。
「んっ…んぅ。」
それがくすぐったくて、身を捩る。それに気を良くした魔王様は今度は耳の中に舌を入れてきた!
ぴちゃぴちゃという水音がすごくいやらしくて…さっきのキスと相まって俺の股間に熱が篭る。
「タケル…。」
そんな優しい、甘い声…。何で俺に…。
「こほん。…魔王様、会えて嬉しいのはわかるのだが、我々が居ることを忘れないで頂けますかな。」
「え!?」
はっとして魔王様の後ろを見ると初めて見るおじさんが。ばっと横を向けば、苦笑したラルフィー。
忘れてた…。周りに人いるんだった…。
「全く。無粋であろう。邪魔をするでない。」
「それは申し訳ないですな。ですが、タケル様が困るのではありませんか?」
うわぁ…もう最悪だ…。俺は手のひらで顔を覆って赤い顔を隠すように下を向いた。
こんな…こんなことって…!俺のファーストキスだぞ!? それを、最凶最悪の魔王に奪われた挙句、それをいろんな人に見られてたなんてっ!!
しかも、男に…男にファーストキスを奪われた…。
「タケル、そうなのか?」
「…はい……。もう…恥ずかしすぎて…死にそうです…。」
「すまない!タケルがそんなに繊細だったとは。我は何ということを…。見られなければいいのだな?よし、我らの部屋へ行こう。」
言うや否や、俺を抱き上げてサロンを出て行った。いや、見られなきゃいいとかそういう問題でもない!!てか我らの部屋って何!?
それに、ラルフィーやあそこに居たおじさんとかほっといていいの!? あのおじさん、絶対偉い人だよね!? そんな人放置した挙句、勝手に部屋出ていくなんて…。
どうしていいか分からず、されるがまま俺は連れ去られた。
「さ、タケル。続きを。」
部屋に入るなり、ベッドに寝かされキスされる。
「んんん!…ん…。」
あ、ダメだコレ。舌を入れられてまた気持ち良くなって、股間に熱が溜まっていく!ヤバいヤバいヤバい!どうしよう!
「はぁ、タケル…なんて愛らしい…。我がどれだけそなたを想っていたか、しかと伝えよう。」
「ちょ、ちょっと待って!待ってください!」
これ以上はヤバいと、ストップをかける。まずは話し合いだ。こんないきなり実力行使で来られても困る!
「俺、こんな事されても困ります。それに、今日初めて会ったばっかりで、俺、正直どうしていいか…。」
「照れておるのか?本当に可愛いな、そなたは。」
いや、そんな色気たっぷりの顔で言われましても…。
「あの、照れるかというより、言葉で聞きたいというか。会ったばっかりですし、ね?」
「ふむ。タケルがそう言うならば仕方あるまい。で、何が聞きたいのだ?」
「その……本当に俺の事が好き、なんですか?」
「さっきの口づけで分からなかったか?我はそなたの魂に出会ってから惹かれたと言ったであろう。……ふむ。少し昔話をするか。」
そう言って体を起こし俺の後ろに回って抱き込んできた。え、話をするのにこの姿勢、いります??
お腹に腕を回してぎゅっと抱きしめると、顎を俺の肩に乗せて話し出した。
「我が、そなたに倒された後。実は創造神の元へ呼ばれたのだ。」
え、創造神様に呼ばれたの?
「創造神は我が今まで行ってきたことに腹を立てていてな。我を止める為にエマに加護を与え、我を倒すよう神託を降ろしたと。だが、我を倒したと同時にエマも亡くなった。可哀想な事をしてしまったと嘆いておった。」
俺は死んだ後のことなんて知らないし、実際神託を降ろされた時しか創造神様とは会ってない。…悲しんでくれてたんだ。
「我はそなたの魂に惚れ込んでしまった。また会わせて欲しいと言ったが、別の世界へそなたの魂を送ったと言われた。我に会わせない為に。
だが、我は諦めきれず、どうにかして欲しいと頼み込んだ。魔王である我が神に。滑稽であろう?そうしたら創造神は、今までの行いを反省し神界で神の手伝いをすれば、我の記憶や力をそのままに復活させると言った。
本来ならば、そのまま消えてしまうのだがな。そうなってしまえばもう2度とそなたと会うことは出来ぬ。それだけは避けたかった。」
お腹に回された腕の力が少し強まった。
「だから我は、魔王でありながら神の手足として働くことにした。その間人間の世界で1000年。そして創造神は、我が下界にて復活した時は人間との間に友好を築く事を約束させた。それが実現した時、そなたの魂にまた生を与えると。こことは別の世界だが、自分で探し出し呼び戻してみよ。そうなればお前の事を認めよう、とな。
創造神の願い通り我は復活後、人間との友好を築きそなたを召喚するよう要請した。」
そうだったんだ…。
「なんでそこまでして…。」
「言ったであろう?そなたの魂に惹かれたと。初めてそなたの魂に会った時の衝撃は忘れられぬ。我にぴたりとはまる、唯一無二の番なのだと分かった。知らなければ我はあのまま消滅しても良かった。だが、そなたに出会ってしまった。我の番に。魂の伴侶に。出会いこそ最悪であったが、やり直せるとわかったのだ。諦められるわけがなかろう。」
番…。魂の伴侶。
あまりにも想像していたより、魔王様の愛が深かった。
「じゃあ…俺を復讐で殺したりなんかは…。」
「何を言う!そなたに会う為に我はここまで来たのに、そなたを殺すわけがなかろう!むしろそなたに害する者がいるならば、我はそれを排除する。」
……とりあえず、殺される心配は無さそうだ。1番気になっていた問題はクリア。
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