【完結】異世界で、家政夫(と聖人)始めました!

華抹茶

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番外編※ 漆黒を纏う男を拾ったら②(ユリウスside)

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 その衝動に体が突き動かされ、こいつの下衣を下穿きと共に取り去る。こいつの肌の色は少し黄色味がかっていて初めて見る色だ。触れてみると滑らかでとても手触りがいい。
 そのまま足を割り開きその間に体を埋める。目の前には力なく垂れ下がる陰茎があった。精液を出すならまずは大きくさせなければ。香油などもないため、そのまま口で愛撫することにした。
 ぱくりと口に咥えそのままじゅぶじゅぶと口淫する。かなり泥酔していたから難しいかと思ったが、そんな思いは全くの杞憂だった。見る見るうちに勃起すると、ハルトは「んっ……あっ」と艶めかしい声を上げた。

 起きたのかと思って伺い見るもそうではないようだ。だが感じているようで腰が揺れ動いている。腰を手で抑え込み、勢いよく口淫を続けた。するとハルトの声も段々と大きくなり、手は枕をぎゅっと掴んでいた。
 俺はこういったことの経験はない。知識として知っているだけだ。今まで興味もなかったし、誰も近寄らせないよう振舞っていた。わざわざそうしなくても、貴族連中であれば俺に声をかけたり関わろうなんて思う奴もそうそういないが。土足でずかずかと遠慮なく懐に入ろうとするのはヴォルテルくらいだ。

「あっ、リューセ……」

 また『リューセイ』か。もしかしてこいつの恋人か何かだったのだろうか。
 恐らくハルトは異世界からの来訪者だ。こいつの精液を飲み、俺の傷も呪いも全て解けたらそう確定する。この世界に聖女と同じ力を持つ者などいないのだから。もし本当にそうだとして、その『リューセイ』とやらにはもう二度と会えないだろう。
 俺はなぜか、それに愉悦を覚えていた。どうしてそう思ったのかはわからない。でも今、こいつを善がらせているのが俺だという状況がそう思わせたのだ。

 じゅぶじゅぶと口淫を続けていると、ハルトの声が大きくなる。恐らくそろそろ達するのだろう。そのまま出してしまえと、更に強く吸い上げた。

「んあぁっ……」

 とぴゅっ、とぴゅっと精液が飛び出した。口の中にどろりとしたものが広がっていく。それを喉に絡みつく感覚を味わいながらごくりと飲み込んだ。

「っ!?」

 するとどうだ。その瞬間。俺が感じていた痛みは全て取り除かれた。服を全て脱ぎ、包帯を取り払うと傷一つない体が目に入る。今までに負った傷跡も全て消えていた。に負わされた傷跡もだ。禍々しい呪いも綺麗さっぱりなくなっている。体が重かった感覚もなく、むしろ清々しい。
 精液には濃い魔力が宿っていると言われているが、それが聖女の場合だとここまで凄まじいのか。

「ふふ……はははっ」

 俺は自然と笑っていた。声を出して笑うなど母が死んでからは一度もない。随分と久しぶりに笑ったからか、顔が上手く動かない。それでもなぜか気分が高揚し一人でしばらく笑っていた。
 聖女は神の使い。ハルトは本当に異世界からの来訪者で、聖女の再来なのだろう。神に遣わされ、俺の目の前に現れた。こいつに出会ってから『生きなければ』と思ったのは、ハルトが纏う美しい漆黒のせいなのかもしれない。
 ハルトは未だ深い眠りの中にいる。俺にここまでされたのに全く起きないというのも面白い。

「リューセイッ……なんでっ……やだっ」

 また『リューセイ』か。それがもしハルトの恋人だったのなら。そう思った途端、心の中に暗いものが沸き上がった。それが何かはわからない。だが面白くないのは確かだ。
 俺は残されたハルトの服を全て脱がせ一糸纏わぬ姿にさせた。自分から抱けと言ってきたんだ。起きた時裸だったとしても問題ないだろう。
 自分で勝手にそう結論付け、ハルトの横に体を横たえる。そのままぎゅっと正面から抱きしめた。
 温かい。人肌とはこうも温かいものなのか。気持ちいい。素肌と素肌の触れ合いはこうも心地いいものなのか。
 ハルトもその心地よさに安堵したのか、眉間に寄ったしわは解け俺にすり寄っていた。それがなんともいえぬ心地よさで、俺はそのまま微睡んだ。

 翌朝、ハルトは昨夜のことを全く覚えておらずひと悶着あった。だが俺が説明すれば何とか理解はしたようだ。空を飛ぶドラゴンを見てあんなに驚いていたハルトの顔は、面白くて可愛いとすら思ってしまった。
 それから俺はハルトを家に残し外出した。ハルトの服を簡単に数着選ぶと、そのまま王宮へ。通い慣れた道を進み、ヴォルテルの執務室に向かった。
 軽くノックし俺が来たことを告げる。ヴォルテルは驚きながらも入室を許可してくれた。

「ユリウス? どうした? 何かあったのか?」
「ああ。お前に早急に報告したいことがある。だがその前に人払いをしてほしい」

 側近として常に側にいる、ルーカスとロキュスに視線をやる。ハルトのことを伝えるのにこいつらは邪魔だ。聖女の再来など軽々しく広められる話じゃない。俺の視線の意味を理解したルーカスは「どういうことでしょうか」と俺を睨む。

「わかった。ルーカスとロキュスは悪いが一旦退室してくれ」
「殿下!?」
「こいつがこう言うのは広めたくない話でもあるという意味だ。後でお前たちに伝えるかどうかは私が判断する」
 
 ヴォルテルがそう言えば、二人は渋々といった体で退室していった。ぱたんと扉が閉まり、二人の気配がなくなると俺はヴォルテルの座る机に手を付きそっと口を開いた。

「聖女の再来が現れた」
「なっ……!?」

 こんなこと予想すらしていなかったのだろう。ヴォルテルは目を大きく見開き息を忘れている。瞬き一つしない。

「これを見てくれ」

 俺は上半身の服を全て脱ぎ去った。傷跡一つない綺麗な体を晒す。それを見てヴォルテルはますます絶句した。
 こいつも俺がつけられた傷や呪いを見ている。だからこそ、何も残っていないこの状態が信じられないのだ。

「どういう、ことだ……?」

 呆然としながらも何とか声を絞り出したようで、その声はかすれていた。
 脱いだ服に腕を通しながら、昨夜あったことを説明する。だが話を聞けば聞くほど、ヴォルテルは頭を抱えていく。

「お、お前っ……! 聖女様になんて無体なことをッ……!」

 まるで癇癪を起した子供のように、テーブルをバンッ! と叩き真っ赤な顔で怒鳴り始めた。いきなりの大声に呆れながらも、その気持ちはわからないでもないので受け止める。
 
「……仕方ないだろう。泥酔状態で、しかも寝てしまったんだ。ああするのが一番早い」
「そういう問題じゃないッ! その方が本当に聖女の再来だった場合、とてつもなく高貴な方になるんだぞッ! しかもそれだけ綺麗に完治している以上、その可能性が高いじゃないか! それを、それをぉぉぉぉぉ! ああ、もう! ……はぁ~……お怒りじゃなかったというのが幸いか……」

 確かによく考えてみれば、勝手に口淫して精液を飲んだのは無体なことかもしれない。だがハルトから抱いてくれと迫ってきたんだからお互い様だと思うが。

「とりあえず、お前の怪我が完治してよかった。それと聖女様を保護したことも褒めてやる。とんでもないことを仕出かしてくれたがな!」
「それでどうする?」
「……明日朝にお連れしてくれ」
「公務は?」
「そんなものより優先度が高いに決まっているだろうがッ! ……本当に聖女の再来だった場合、他にバレる前に手を打つ必要がある。お前もそれがわかっているから私のところに来たんだろう」

 ヴォルテルは頭をガシガシと掻きながら、明日の公務の予定を確認するためにバサバサと書類を引っ張り出している。「鑑定鏡の手配も早急にしなければ……」などとブツブツ予定を組み始めた。迎えを寄こしてくれるそうで、あらかた報告が終わったらあとはこいつの仕事だ。
 じゃあな、と一言伝え、俺はさっさとこいつの執務室を後にした。

 家に帰ったら帰ったでまたひと悶着。まさかハルトが自分の血液を使って掃除をするとは思わなかった。だがそのお陰もあって家はみるみるうちに綺麗になり、人がまともに生活出来る環境になった。
 しかもハルトが作った料理はかなり美味かった。トメーの煮込みは優しい味で、母親がよく作ってくれた料理に似てとても懐かしかった。美味しいと言えば「よかった」と笑うハルトの顔が好ましい。
 今まで誰かにそんなことを思ったこともなかったのに、ハルトにはどうしてか素直にそう思えた。

 聖女だからなのか、それともその美しい漆黒のせいなのか。
 よく知らない相手なのに、初めから嫌悪感も湧かなかった。
 どうしてかわからないが、ずっとここにいて欲しいとそう思った。
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