放浪している旅人の俺の正体は軍人でした!

天々

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第二章 帝都編

第十八話 冤罪

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「緊急事態でございます、ベフォンス元帥閣下からの直々の命で…ございます…」

「ベ、ベ、ベフォンス元帥閣下からの…直々の命だと…!?よ、読み上げろ…」

元帥令となると、軍人誰しもが背筋を凍らせるのだ。

「はっはい!『現在、軍部ではとある者が無実の民を犯罪者と罵り冤罪である自由で神聖な身体に傷を与えてしまった。この行為は皇帝陛下がご考案されたし、欽定憲法であらせられる帝国憲法第三十一条、人民の権利、第三項、無実なるものはいかなる罰を受けさせてもならぬと記載されている人民平和権違反となるため、直ちに拷問を解け。さもなくば、貴官らに、銃を向けることとなる。尚、真犯人は諜報部と捜査部が現在捜査中のためわかり次第貴官らの拘束を解くとする。それまでは拘束されたし。それと、拘束されていた士官は私の場所まで連れてくるように。以上、ヴィットスタン帝国軍元帥統一軍事会議議長ベフォンス・ルーアーデッド。皇帝陛下万歳』…とのことです…」

「な、なんということだ…陛下に忠誠を誓った身である私がその陛下が定められた憲法に反するなど、こ、これは万死に値することだ…」

ジェーストン大佐は腰に携帯していた拳銃の銃口を口に入れる。

「た、大佐!?早まらないでください!我々は陛下に忠誠を誓った軍人です!そして上からの命に従ったまでです!なので本件は全て真犯人が悪いということなのですよ!」

「そんなことは理解しとる…しかし、私はもう生きる権利など毛頭ない…止めるな中尉これは命令だ…」

静寂した部屋、一人引き金に指を添える。

「すまない…アネル…」

引き金を引き銃声が鳴り響いた。

「…中尉…解放してくれ、」

「は、はい…!」

拷問されてた時間があまりにも長く、拘束器具が着いていた場所にはアザができている。

「私の軍服を持ってきてくれ」

「はいっ」

軍服を着て、拷問室を出る。



「元帥閣下。もうすこしでルイス少尉補が来ます」

「わかった」

編成本部にある、一等応接室の豪華な椅子に座るベフォンス。

帝国憲法違反、本件はどう処理すればいいのか…悩みどころだな。

「閣下、ルイス少尉補が到着されました」

「連れてこい」

数分後、ルイスはベフォンスの前に膝まづいていた。

げ、元帥…ほ、本物だ…。やばい緊張で手汗が…無礼の無いようにしなきゃ行けないな…

「貴官は、ルイス・ヴィルヴィスタン中佐で間違いないな?」

「はっ、ベフォンス元帥閣下、間違いありません」

「貴官も大変であるな。冤罪をかけられるなどな」

重圧の部屋を数十分過ごすルイス。

「は、はい…」

「ルイス中佐以外の者は全員退出したまえ」

全員が一礼し、部屋を後にする。

「ルイス中佐。貴官はスーランド王国に行ったことはあるか?」

「い、いえ。ありません」

「そうか。まぁ想定内の返答ではある。中佐、君とアリア少尉はスーランド王国に派遣する。これは元帥令である」

元帥令。勅令、政令の次に偉く、絶対的命令である。

「はっ!ルイス中佐。努力してまいります」

「では下がれ」



「全体!止まれ!」

ビシッと止まり、直立不動の軍人たち。襟にある階級章は皆准尉。そう。ここは士官学校である。

「解散!各員、自分の部屋に戻りたまえ」

ぞろぞろと寮に戻る軍人達。

とある部屋。

「はぁ…疲れた。あと1年かぁ。早く兄さんと同じ軍人になって一緒に仕事したいなぁー」

「まーたレオナはお兄さんのこと言ってる。ほんとブラコンだね」

「ブラコンって言うな!仲がいいだけだわ!ナオはこれだからなぁー」

「毎回この話になると必死だね」

笑いながらナオは言う。

「にしても、レオナのお兄さんのルイス中佐はすごいね。4歳しか変わらないのにもう中佐って」

「でしょ!私の兄さんすごいでしょ!」

「お兄さん愛が激しいなあ…」
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