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第1章 決意と意志編
キョウ・フライアー キャラEP:2 ロイヤルヘヴンの日常
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シュテッヒ騎士団の拠点、その建物の2階にある騎士団の総務室にいつもの男2人が机仕事をしていた。
1人はシュテッヒ騎士団幹部である【キョウ・フライアー】、彼の1日は雑用と事務仕事から始まる。
「キョウさん、こちらの納品書のチェックをお願いします」
もう1人大きく、高級そうな机に座っているのは【カルロ・パルテル】、大量の書類を持ってはキョウの机にドサッと渡したのは書類の束、その大量の書類に目を通し、キョウは納品されるモノと個数がちゃんと合っているか確認をしてはポンと1枚1枚に判子を押していく。
「(ロングソード3本、ファルシオン2本、鉄5キロx5本。発送はリンネ鍛造所……うん、問題ないな)」
「ところで、ソウジくんはどこに行ったんです?」
キョウはぶんぶんと首を横に振ると、カルロは理解したようで肩を落としてがっくりと落ち込んだ顔をする。
「なるほど、またサボりですか……。困ったものですね」
ソウジがいないので仕方なく2人で仕事を片付けていると、外から昼の鐘が聞こえる。
キョウは「監視任務に行ってきます」と紙を書いてカルロへ手渡すと、コクリと頭を動かして頷いて外出を許可するカルロ。
「わかりました、ご苦労様です。……ああそれと、外へ出る時は甲冑を身につけるよう言っておいてください。もちろんキョウさんも」
最後の話はあまり聞かず、適当にコクリと頷いたキョウはドアを開けソウジとグレアの様子を見にロイヤルヘヴンへと向かった。
◇ ◇ ◇
「グレア様お願いするッス」
「呼吸をするな、気持ち悪い」
パーティギルドロイヤルヘヴンの室内で、いつもの変わらない会話を聞きながらキョウはのんびりと1日を過ごしていた。
普段通りソウジがグレアの胸のサイズについて熱く語り、その言葉を一蹴してコーヒーを一口すするグレア。
どうしても知りたい事があったのか、ソウジはグレアの前で頭を下げ床につける。
「グレア様ヒントだけでも! どうかお願いします」
「……ゆー」
「ユーカップ!? キョ、キョウさん聞いたッスか!?」
興奮をソウジに対し温度差を感じるほど冷めていたキョウはいや、どう考えても適当に答えてるだけだと思うがと、特に喜びもせず見つめる。
本当だと思い込み、Uカップと聞いたソウジは興奮を抑えられず、ジロジロと見てはグルグルとグレアの周囲を回りながら喋りはさらに加速した。
「グレア様の強さの秘訣はその、ユーカップのでかさだったんですね!?」
「ああ」
「1つまた、グレア様の強さが理解出来ましたよ!! くぅー、やっぱグレア様おっぱいも剣術も最強ッス!!」
グレアは手を額に当て、やれやれと呆れた表情で、
「キョウ、殺していいぞコイツ」
「触ってもいいッスか!? 揉むと俺も強くなれそうな気が――」
勢いに任せ胸を触ろうとしたソウジはガンッとグレアに殴られ思い切り壁に叩きつけられた。これがいつもと変わらないロイヤルヘブンの日常である。
グレアは自分で入れたと思われるコーヒーを手に取り一口飲み、キョウへ中身を見せる。
「このコーヒーうまいぞ、一杯どうだ?」
「(コクリ)」
「そこにすり潰した豆を入れた袋があるから、好きに作れ」
「(コク)」
キョウは言われた通り部屋に置かれたコーヒー豆が入った大きな袋を手に取ろうとすると、立ち上がったソウジが椅子に座ってコーヒーを飲み、グレアの前を塞ぐように視界を横切り、
「俺がやるッス! 俺がやるッス!! グレア様に愛のコーヒーをお届け」
「邪魔だ、視界に入るなクソムシが」
グレアは握った拳を前に突き出すと、ソウジの顔面がめり込んだ。
「まあまあ」という紙を持ってグレアを制止させるキョウ。
倒れたソウジを踏み、コーヒー豆を手に取って3人分のコーヒーを作って席に座るキョウ。
そこへ落ち着いたソウジが席へと座り、全員がそれを口にした。
のんびりとした時間を3人が過ごす最中、私はふと窓を見る。
「……(おでかけ)」
「ん? 出かけるのかキョウ。このうるさいバカも連れて行ってくれ」
「酷いッス!! グレア様!!」
カルロ団長から任された監視の任務もあるが、それよりも大事な日課がある
窓を見た時、既に太陽は見えない位置まで昇っていたので捨てられたソウジと一緒に昼の日課へと向かい、ドアを開け外へ出た。
ここのとこカルロ団長から任された、グレア様の監視任務は全くしてないのだがこれでいいんだろうか……。
◇ ◇ ◇
いつもの場所へソウジと一緒に向かうキョウ、チラリとソウジを見ると普段考えたり悩んだりしない男が珍しく腕を組んで考え事をしていたので、キョウは指で肩を突いてソウジに尋ねてみた。
「ん、キョウさんどうしたッス?」
「……(先程の事)」
「……? ああさっきの話ッスか!」
ソウジはグレアのUカップ話を信じておっぱい理論の書き換えを頭の中で行っていたようだ。いやどう考えても嘘だと思うんだが、とキョウは首を横に振って伝えてみるが、聞く耳を持たない。
キョウは人と喋るのは大の苦手だった、人に伝える際は基本は身振り素振りで会話を行う、その理由については――。
……これと言って特にない、私は単純に人と会話するのが苦手だ。
どうしても話したい事がある場合は紙に書けば相手には伝わるし何の不便も無かった。
これに関してはグレアも最初は何故話さないと不思議がっていたが、慣れてしまったのか今ではソウジと同じく、大体身振りをすると内容は伝わっているようだ。
「(騎士団へ入った時もただ力を示して採用されたがもし面接などがあったら今の自分はいないだろう)」
そうだ、と思い出したようにキョウは騎士団の甲冑を身につける話をすると、ソウジは暑いからつけたくないと拒み、確かにとキョウも納得した。
「(イリナ副団長もそうだが、幹部以上の者で甲冑を身につけて外を出歩くのはカルロ団長ぐらいだろう)」
「しっかし、グレア様毎日退屈そうっすね~、俺達が何かしてあげたいッスよ」
「……(同意)」
グレアは毎日退屈そうな顔をしていたのが2人は気になっているようで、魔物が街を襲撃した事件以来、全く音沙汰がなくなった事にグレアは飢え続けていた。
カルロから命じられたグレアの監視使命、その意図については深くは考えず、それよりもグレアの戦いがもっと見てみたいと2人は考える。
ソウジが腕を頭の後ろに組んで呟く
「あの魔王討伐に忍び込んだのは良かったんッスけど、何の収穫も無かったッスからね。戻ってきたら襲撃事件もあったって言うし、国王も大変ッスよ」
「……(疑惑)」
「何が正しいか、何が悪いか、そんな理由で俺は入った訳じゃないッスからね、キョウさんはどんな理由ッス?」
「……(生活のため)」
「そッスかあ、お互い正義の為ではないんッスね……。ところで、キョウさんの日課ってなんなんッス?」
ある場所が近づいたのでキョウはスッと指を差す、そこは子供が数人遊具で遊ぶ場所、公園だった。
「ここに何かあるッス?」
ここで何をするのかと疑問に思いながらソウジはキョウの後ろへついて行くと、公園の中へ入った2人は膝を折りたたんで地面へ座り込むと、今日も仲間は元気にモノを運んでいた。
「……(至福)」
思わず驚いて地面を見つめてはキョウを見るソウジ。
「あ……アリ? このアリの行列が日課ッスか?」
「……(コクコク)」
「へえー……しっかしアリって凄いッスね~。毎日頑張ってコツコツ働いてるし、定期的にサボってる俺達とは大違いッスね」
アリをジッと眺めているキョウには、ソウジの言葉は既に聞こえていなかった。
昼から夕方にかけてこの公園でアリを眺める、それがキョウの幸せであり様々な事を忘れさせてくれる、1日の中で最高の瞬間であった。
「まあ、キョウさんの意外な一面も知れたし俺はギルド支部に帰るッスよ。あ、残業はつかないんで夕方になったらキョウさんも帰った方がいいッス!」
「……(コクリ)」
「それじゃあお疲れッス~」
キョウは手を振り、ソウジがギルド支部の方向へ帰ったのを確認すると、また地面をジッと見つめアリが一列になって進む行列を眺め続ける。
懸命に何かを運ぶ『ラハイア』、ちょっとサボりがちな『エクトール』、そしていつも集団からはぐれている『ルイス』と、何も考えずにみんなの後を追いかけている『ダビデ』、きちんと全員生存していた。
「(うん、今日も全員いて良かった)」
「あの……すいません」
キョウがアリを眺めていると、人の影で一部の視界が覆われる。
誰だろうと上を向くと、1人の女性が困り顔でキョウを見ていた。
「その……メイ・ドールって建物はどこでしょうか?」
瞬間――キョウの身体中に電撃が走った。セミロングの青髪女性は、髪先が少し内側に巻かれキョウにとって非常に好みの顔で、彼女は道を尋ねていた。
あまりの衝撃的な出来事に頭が数秒ほど考える事をやめ、頬を赤くしながらぼーっと彼女を見つめていると、
「あ、あの……」
止まった思考が戻ってくる。道を尋ねられていたのを思い出すと、キョウはすぐさま紙を取り出して、ペンを握ってそこにメイ・ドールの場所を書き出した紙を彼女に手渡した。
「あ! ありがとうございます! 助かりました!」
「……(気にしないで)」
「あの? ひょっとして喉の病気でしょうか? 先程から声が聞こえていないのですが……」
首を傾げる彼女に、キョウはまた紙に書き込み「話すのが苦手です」と書いたのを渡すと、彼女は何の引っかかりもなく素直に納得し、笑顔で名前を尋ねる。
それも書いて伝えると、彼女は【リンネ】と名乗り、笑顔で手を振って失礼しますねと一言いって歩いて公園から去って行ってしまった。
こうして無口なキョウが『メイ・ドール』へ入店するという最難関の任務が始まったのである。
後日、パーティギルドの室内でグレアに「メイドさんが働いているお店に興味はないですか」と書いた紙をキョウは見せてみるが、グレアは呆れた顔で首を横に振ると、さらに目線を外し否定をする。
次に胸マニアのソウジにも相談したが、グレア以外興味がないそうでいいッス、自分はグレア様一筋ッスと一言断った後、今日もグレア様の胸を眺めながらコーヒーを飲んでいると、何か閃いたようでキョウに提案をした。
「あ、キョウさブクブクブク 確かメイ・ドールってカルロ団長が経営してるブクブグブク ッス、何でも奴隷雇用が無くなってブクブク バルム地区の人達に繁盛してるんだとかブクブクブク」
「ソウジ、飲むのか喋るのかハッキリしろ」
「じゃあ飲むッス!」
グレアがそう言うと、ソウジは一気にコーヒーを喉へ入れるがコーヒーの温度が熱かったのか、むせてしまい中身を吐き出すと、液体がグレア様の顔面へ塗りたくるようにかかってしまい、
「……」
「いやー、一気に飲んだら熱かったッス! でもコーヒーまみれのグレア様もまた美しいッス!」
「……おい、遺言はそれでいいのか?」
「あいたたたた!! 痛いッス!! 縮むッス!! 身長が数センチほど縮むッス!!」
グレアはソウジの頭を片手で掴むとぐっと力を入れてそのまま下へプレスするように押しつけた。
ソウジは押しつけられた力に思わず足を曲げ、制止しながらバタバタと悶え痛みを訴えていた。
キョウはその絵面を見て腕を組んで考える。
やがて何か思いついたのか、2人が揉み合っている間に「出かけてきます」と紙を書いて机に置き、別の人に相談しようと騎士団の建物へと向かった。
◇ ◇ ◇
「どうぞ」
コンコンとノックしてから中へ入るとカルロ団長は一枚の書類を持ってじっくりと見つめていた。なんでも最近は国王の仕事を任されてるらしく、この国とウェルム西国の情勢について日々勉強しているそうだ。
「あれ、キョウさん? 今日は休みでしたよね、どうされました?」
視線に気付くとカルロは声をかける。キョウは「メイ・ドールに入りたい」という紙を渡すと、カルロは唇に親指と人差し指の側面を当てながらクスリと小さく笑い
「それでしたら優先予約してあげましょう、お昼は込みますからね……。何か、指名したい子はいますか?」
その紙に「リンネさん」とペンで書くと、明日の昼にメイ・ドールへ来てくださいとカルロに言われ、お礼を言ってその場を後にした。
「いらっしゃいませー! メイ・ドールへようこそ!」
翌日、数人のメイドさんが歓迎し念願のメイ・ドール、その中へと入ると心臓のドキドキはさらに加速した。
無数の照明に照らされ、自分がどんどん明るい場所へ出されような気がして、緊張からかぎこちない動きを繰り返すキョウ。
それを見たメイドさんは腕を取ると笑顔で案内し、ゆっくりとキョウは席へと座った。
「お飲み物お先にどうぞー」
膝を曲げて地面につけ、キョウより低い位置でメイドさんは笑顔を絶やさずメニューを渡した。
さて、何を頼もうかと顎に手をやり考えていると、愛のリンゴジュースというのが目に止まったので、キョウは指を差して注文すると、
「わかりましたー! 愛のリンゴジュース入りまーす!」
ありがとうございまーすと気付いた数人のメイドさんが大声で返事をする。
しばらく石像のように座っているとカーテンが開き、1人のメガネをかけた黒髪のメイドさんが歩いてこちらへ向かってきた。
「初めましてご主人様、サキです。リンネが今愛のジュースを作ってますので少々お待ちください」
「……(待機)」
「ご主人様はあまり話すのが苦手だとカルロ様に伺ってますので、返事のみで大丈夫です」
「……(感謝)」
しばらくサキさんの質問形式でのトークが始まり、はいの時は頭を縦に動かし、いいえの時は頭を横に振って会話を続ける。
場慣れしているのか、サキさんがほぐすようにトークすると思った以上に会話は続き、キョウの緊張が少しずつ和んできたと同時に、1人のメイドさんがコップを持って席の前へ来る。
「(リンネさんだ、どうしよう何を話したらいいんだろう)」
「は、初めてまして! リンネです!」
「リンネさん、まずドリンクを」
「そ、そうですね! ラ、ラブパワー注入でっす!」
メイド姿のリンネは胸元近くにコップを持って美味しくなる魔法を唱え、キョウの席へと置いたが
慌てて置いてしまったせいか、パタンとコップは倒れてしまい中身は零れてしまった。
「はわわっ!!」
どうしようと慌てるリンネを見て、サキは近くからタオル持ってきてキョウの服とテーブルを拭き始める。
「ここは私が対応します、あなたはジュースを入れ直してあげて」
「ご、ごめんなさい!」
「謝るのは後で、今はご主人様が優先よ」
「は、はい!」
キョウ自身は全く気にしていなかったので、親指を立て「大丈夫」と紙を書いてリンネに伝える。
先程のミスを挽回しようとリンネさんがジュースを持ってくると、ドスンと隣へ座る。恐らく彼女は軽くパニック状態なのだろう。どうフォローしていいのか全くわからず、ただリンネと見つめ合ったまま、時々お互い照れたりする。
いつまでも会話が無い状況を見かね、サキは2人に助け船を出すようにキョウの隣へと座った。
リンネが魚のようにパクパクと何か言いかけ、サキはすぐにフォローをする。
会話に詰まり続けるリンネの肩をポンッと軽く叩いて、緊張しないで、話したい事を話せばいいの、頑張りなさいと一言励ました。
「は、はい! 頑張りましゅっ」
「(……これは今日1日ずっとダメ、か)」
その後もキョウはサキとリンネに挟まれながらサキの主導で話は続き、他のメイドさんが席の前へ訪れる。
「1セットのタイムが終了しましたー! 延長はどうされますか?」
延長かあ、このままリンネさんと話せる話題も無くなってしまったし、次回来る時に何か彼女が喜びそうな話を作って訪れる事にしよう。
キョウは首を横に振り延長はしないと伝えると、メイドさんは両手で皿を作り料金を求めたので、金10枚をそこに置いて店を出る。
すると、慌てて出てきたリンネがキョウの見送りをしようとして手を振って走ってきた。
「また来てくださ――あいたっ!」
足がもつれたリンネは思い切り転ぶと、膝を何度もさすってはサキが手当をしようと治療道具を持って治療を始めていた。
うぅと泣きそうな顔の彼女を見て、また心がときめいてしまうキョウであった――。
突っ立っていたキョウを見て、サキは笑顔でまた来てくださいねと一言いってスカートの裾を手で持ち、ペコリと頭を下げた。
うーん、あんまりお話は出来なかったが、メイド姿の可愛いリンネさんが見れたから今回は良しとしよう、と私はギルト支部へとウキウキした気分で戻った――
◇ ◇ ◇
「あーもう業務が終わってしまったッス、今日も大満足ッス」
「……なあソウジ、毎日私の胸見てて楽しいか?」
「そりゃもう太陽のように毎日浴びるように見ないと気が済まないッス」
座り込んで剣を磨きながら、ソウジの変態に近い言葉を聞いたグレアは青ざめた表情をして、お尻をつけたまま、椅子を軽く持ち上げソウジから距離を離し、目線を合わせなかった。
「おいキョウ、このバカを何とかしてくれ」
「バカとは酷いッス! 俺は健全なバカッス!」
「じゃあもう死ね、生きてる価値無いぞ」
「酷いッス~!!」
「……(ニヤニヤ)」
いつものロイヤルヘブン、その光景に安心した表情でキョウは無言で笑っていると、突然バンッとドアが開く。
「お、来たなネリス。……今の私は苛立っているからな、加減は出来ないぞ」
グレアのやり切れない怒りが混じった声に少々怯えたのか、青年は緊張した面構えで後ろ髪を手でかくと、気合いを入れて置いてあった木刀を持ち、グレア達は木刀を持って庭へと向かう。
さて、今日は誰が相手をしようか――?
キョウ・フライアー キャラEP:2 『ロイヤルヘヴンの日常』――完
1人はシュテッヒ騎士団幹部である【キョウ・フライアー】、彼の1日は雑用と事務仕事から始まる。
「キョウさん、こちらの納品書のチェックをお願いします」
もう1人大きく、高級そうな机に座っているのは【カルロ・パルテル】、大量の書類を持ってはキョウの机にドサッと渡したのは書類の束、その大量の書類に目を通し、キョウは納品されるモノと個数がちゃんと合っているか確認をしてはポンと1枚1枚に判子を押していく。
「(ロングソード3本、ファルシオン2本、鉄5キロx5本。発送はリンネ鍛造所……うん、問題ないな)」
「ところで、ソウジくんはどこに行ったんです?」
キョウはぶんぶんと首を横に振ると、カルロは理解したようで肩を落としてがっくりと落ち込んだ顔をする。
「なるほど、またサボりですか……。困ったものですね」
ソウジがいないので仕方なく2人で仕事を片付けていると、外から昼の鐘が聞こえる。
キョウは「監視任務に行ってきます」と紙を書いてカルロへ手渡すと、コクリと頭を動かして頷いて外出を許可するカルロ。
「わかりました、ご苦労様です。……ああそれと、外へ出る時は甲冑を身につけるよう言っておいてください。もちろんキョウさんも」
最後の話はあまり聞かず、適当にコクリと頷いたキョウはドアを開けソウジとグレアの様子を見にロイヤルヘヴンへと向かった。
◇ ◇ ◇
「グレア様お願いするッス」
「呼吸をするな、気持ち悪い」
パーティギルドロイヤルヘヴンの室内で、いつもの変わらない会話を聞きながらキョウはのんびりと1日を過ごしていた。
普段通りソウジがグレアの胸のサイズについて熱く語り、その言葉を一蹴してコーヒーを一口すするグレア。
どうしても知りたい事があったのか、ソウジはグレアの前で頭を下げ床につける。
「グレア様ヒントだけでも! どうかお願いします」
「……ゆー」
「ユーカップ!? キョ、キョウさん聞いたッスか!?」
興奮をソウジに対し温度差を感じるほど冷めていたキョウはいや、どう考えても適当に答えてるだけだと思うがと、特に喜びもせず見つめる。
本当だと思い込み、Uカップと聞いたソウジは興奮を抑えられず、ジロジロと見てはグルグルとグレアの周囲を回りながら喋りはさらに加速した。
「グレア様の強さの秘訣はその、ユーカップのでかさだったんですね!?」
「ああ」
「1つまた、グレア様の強さが理解出来ましたよ!! くぅー、やっぱグレア様おっぱいも剣術も最強ッス!!」
グレアは手を額に当て、やれやれと呆れた表情で、
「キョウ、殺していいぞコイツ」
「触ってもいいッスか!? 揉むと俺も強くなれそうな気が――」
勢いに任せ胸を触ろうとしたソウジはガンッとグレアに殴られ思い切り壁に叩きつけられた。これがいつもと変わらないロイヤルヘブンの日常である。
グレアは自分で入れたと思われるコーヒーを手に取り一口飲み、キョウへ中身を見せる。
「このコーヒーうまいぞ、一杯どうだ?」
「(コクリ)」
「そこにすり潰した豆を入れた袋があるから、好きに作れ」
「(コク)」
キョウは言われた通り部屋に置かれたコーヒー豆が入った大きな袋を手に取ろうとすると、立ち上がったソウジが椅子に座ってコーヒーを飲み、グレアの前を塞ぐように視界を横切り、
「俺がやるッス! 俺がやるッス!! グレア様に愛のコーヒーをお届け」
「邪魔だ、視界に入るなクソムシが」
グレアは握った拳を前に突き出すと、ソウジの顔面がめり込んだ。
「まあまあ」という紙を持ってグレアを制止させるキョウ。
倒れたソウジを踏み、コーヒー豆を手に取って3人分のコーヒーを作って席に座るキョウ。
そこへ落ち着いたソウジが席へと座り、全員がそれを口にした。
のんびりとした時間を3人が過ごす最中、私はふと窓を見る。
「……(おでかけ)」
「ん? 出かけるのかキョウ。このうるさいバカも連れて行ってくれ」
「酷いッス!! グレア様!!」
カルロ団長から任された監視の任務もあるが、それよりも大事な日課がある
窓を見た時、既に太陽は見えない位置まで昇っていたので捨てられたソウジと一緒に昼の日課へと向かい、ドアを開け外へ出た。
ここのとこカルロ団長から任された、グレア様の監視任務は全くしてないのだがこれでいいんだろうか……。
◇ ◇ ◇
いつもの場所へソウジと一緒に向かうキョウ、チラリとソウジを見ると普段考えたり悩んだりしない男が珍しく腕を組んで考え事をしていたので、キョウは指で肩を突いてソウジに尋ねてみた。
「ん、キョウさんどうしたッス?」
「……(先程の事)」
「……? ああさっきの話ッスか!」
ソウジはグレアのUカップ話を信じておっぱい理論の書き換えを頭の中で行っていたようだ。いやどう考えても嘘だと思うんだが、とキョウは首を横に振って伝えてみるが、聞く耳を持たない。
キョウは人と喋るのは大の苦手だった、人に伝える際は基本は身振り素振りで会話を行う、その理由については――。
……これと言って特にない、私は単純に人と会話するのが苦手だ。
どうしても話したい事がある場合は紙に書けば相手には伝わるし何の不便も無かった。
これに関してはグレアも最初は何故話さないと不思議がっていたが、慣れてしまったのか今ではソウジと同じく、大体身振りをすると内容は伝わっているようだ。
「(騎士団へ入った時もただ力を示して採用されたがもし面接などがあったら今の自分はいないだろう)」
そうだ、と思い出したようにキョウは騎士団の甲冑を身につける話をすると、ソウジは暑いからつけたくないと拒み、確かにとキョウも納得した。
「(イリナ副団長もそうだが、幹部以上の者で甲冑を身につけて外を出歩くのはカルロ団長ぐらいだろう)」
「しっかし、グレア様毎日退屈そうっすね~、俺達が何かしてあげたいッスよ」
「……(同意)」
グレアは毎日退屈そうな顔をしていたのが2人は気になっているようで、魔物が街を襲撃した事件以来、全く音沙汰がなくなった事にグレアは飢え続けていた。
カルロから命じられたグレアの監視使命、その意図については深くは考えず、それよりもグレアの戦いがもっと見てみたいと2人は考える。
ソウジが腕を頭の後ろに組んで呟く
「あの魔王討伐に忍び込んだのは良かったんッスけど、何の収穫も無かったッスからね。戻ってきたら襲撃事件もあったって言うし、国王も大変ッスよ」
「……(疑惑)」
「何が正しいか、何が悪いか、そんな理由で俺は入った訳じゃないッスからね、キョウさんはどんな理由ッス?」
「……(生活のため)」
「そッスかあ、お互い正義の為ではないんッスね……。ところで、キョウさんの日課ってなんなんッス?」
ある場所が近づいたのでキョウはスッと指を差す、そこは子供が数人遊具で遊ぶ場所、公園だった。
「ここに何かあるッス?」
ここで何をするのかと疑問に思いながらソウジはキョウの後ろへついて行くと、公園の中へ入った2人は膝を折りたたんで地面へ座り込むと、今日も仲間は元気にモノを運んでいた。
「……(至福)」
思わず驚いて地面を見つめてはキョウを見るソウジ。
「あ……アリ? このアリの行列が日課ッスか?」
「……(コクコク)」
「へえー……しっかしアリって凄いッスね~。毎日頑張ってコツコツ働いてるし、定期的にサボってる俺達とは大違いッスね」
アリをジッと眺めているキョウには、ソウジの言葉は既に聞こえていなかった。
昼から夕方にかけてこの公園でアリを眺める、それがキョウの幸せであり様々な事を忘れさせてくれる、1日の中で最高の瞬間であった。
「まあ、キョウさんの意外な一面も知れたし俺はギルド支部に帰るッスよ。あ、残業はつかないんで夕方になったらキョウさんも帰った方がいいッス!」
「……(コクリ)」
「それじゃあお疲れッス~」
キョウは手を振り、ソウジがギルド支部の方向へ帰ったのを確認すると、また地面をジッと見つめアリが一列になって進む行列を眺め続ける。
懸命に何かを運ぶ『ラハイア』、ちょっとサボりがちな『エクトール』、そしていつも集団からはぐれている『ルイス』と、何も考えずにみんなの後を追いかけている『ダビデ』、きちんと全員生存していた。
「(うん、今日も全員いて良かった)」
「あの……すいません」
キョウがアリを眺めていると、人の影で一部の視界が覆われる。
誰だろうと上を向くと、1人の女性が困り顔でキョウを見ていた。
「その……メイ・ドールって建物はどこでしょうか?」
瞬間――キョウの身体中に電撃が走った。セミロングの青髪女性は、髪先が少し内側に巻かれキョウにとって非常に好みの顔で、彼女は道を尋ねていた。
あまりの衝撃的な出来事に頭が数秒ほど考える事をやめ、頬を赤くしながらぼーっと彼女を見つめていると、
「あ、あの……」
止まった思考が戻ってくる。道を尋ねられていたのを思い出すと、キョウはすぐさま紙を取り出して、ペンを握ってそこにメイ・ドールの場所を書き出した紙を彼女に手渡した。
「あ! ありがとうございます! 助かりました!」
「……(気にしないで)」
「あの? ひょっとして喉の病気でしょうか? 先程から声が聞こえていないのですが……」
首を傾げる彼女に、キョウはまた紙に書き込み「話すのが苦手です」と書いたのを渡すと、彼女は何の引っかかりもなく素直に納得し、笑顔で名前を尋ねる。
それも書いて伝えると、彼女は【リンネ】と名乗り、笑顔で手を振って失礼しますねと一言いって歩いて公園から去って行ってしまった。
こうして無口なキョウが『メイ・ドール』へ入店するという最難関の任務が始まったのである。
後日、パーティギルドの室内でグレアに「メイドさんが働いているお店に興味はないですか」と書いた紙をキョウは見せてみるが、グレアは呆れた顔で首を横に振ると、さらに目線を外し否定をする。
次に胸マニアのソウジにも相談したが、グレア以外興味がないそうでいいッス、自分はグレア様一筋ッスと一言断った後、今日もグレア様の胸を眺めながらコーヒーを飲んでいると、何か閃いたようでキョウに提案をした。
「あ、キョウさブクブクブク 確かメイ・ドールってカルロ団長が経営してるブクブグブク ッス、何でも奴隷雇用が無くなってブクブク バルム地区の人達に繁盛してるんだとかブクブクブク」
「ソウジ、飲むのか喋るのかハッキリしろ」
「じゃあ飲むッス!」
グレアがそう言うと、ソウジは一気にコーヒーを喉へ入れるがコーヒーの温度が熱かったのか、むせてしまい中身を吐き出すと、液体がグレア様の顔面へ塗りたくるようにかかってしまい、
「……」
「いやー、一気に飲んだら熱かったッス! でもコーヒーまみれのグレア様もまた美しいッス!」
「……おい、遺言はそれでいいのか?」
「あいたたたた!! 痛いッス!! 縮むッス!! 身長が数センチほど縮むッス!!」
グレアはソウジの頭を片手で掴むとぐっと力を入れてそのまま下へプレスするように押しつけた。
ソウジは押しつけられた力に思わず足を曲げ、制止しながらバタバタと悶え痛みを訴えていた。
キョウはその絵面を見て腕を組んで考える。
やがて何か思いついたのか、2人が揉み合っている間に「出かけてきます」と紙を書いて机に置き、別の人に相談しようと騎士団の建物へと向かった。
◇ ◇ ◇
「どうぞ」
コンコンとノックしてから中へ入るとカルロ団長は一枚の書類を持ってじっくりと見つめていた。なんでも最近は国王の仕事を任されてるらしく、この国とウェルム西国の情勢について日々勉強しているそうだ。
「あれ、キョウさん? 今日は休みでしたよね、どうされました?」
視線に気付くとカルロは声をかける。キョウは「メイ・ドールに入りたい」という紙を渡すと、カルロは唇に親指と人差し指の側面を当てながらクスリと小さく笑い
「それでしたら優先予約してあげましょう、お昼は込みますからね……。何か、指名したい子はいますか?」
その紙に「リンネさん」とペンで書くと、明日の昼にメイ・ドールへ来てくださいとカルロに言われ、お礼を言ってその場を後にした。
「いらっしゃいませー! メイ・ドールへようこそ!」
翌日、数人のメイドさんが歓迎し念願のメイ・ドール、その中へと入ると心臓のドキドキはさらに加速した。
無数の照明に照らされ、自分がどんどん明るい場所へ出されような気がして、緊張からかぎこちない動きを繰り返すキョウ。
それを見たメイドさんは腕を取ると笑顔で案内し、ゆっくりとキョウは席へと座った。
「お飲み物お先にどうぞー」
膝を曲げて地面につけ、キョウより低い位置でメイドさんは笑顔を絶やさずメニューを渡した。
さて、何を頼もうかと顎に手をやり考えていると、愛のリンゴジュースというのが目に止まったので、キョウは指を差して注文すると、
「わかりましたー! 愛のリンゴジュース入りまーす!」
ありがとうございまーすと気付いた数人のメイドさんが大声で返事をする。
しばらく石像のように座っているとカーテンが開き、1人のメガネをかけた黒髪のメイドさんが歩いてこちらへ向かってきた。
「初めましてご主人様、サキです。リンネが今愛のジュースを作ってますので少々お待ちください」
「……(待機)」
「ご主人様はあまり話すのが苦手だとカルロ様に伺ってますので、返事のみで大丈夫です」
「……(感謝)」
しばらくサキさんの質問形式でのトークが始まり、はいの時は頭を縦に動かし、いいえの時は頭を横に振って会話を続ける。
場慣れしているのか、サキさんがほぐすようにトークすると思った以上に会話は続き、キョウの緊張が少しずつ和んできたと同時に、1人のメイドさんがコップを持って席の前へ来る。
「(リンネさんだ、どうしよう何を話したらいいんだろう)」
「は、初めてまして! リンネです!」
「リンネさん、まずドリンクを」
「そ、そうですね! ラ、ラブパワー注入でっす!」
メイド姿のリンネは胸元近くにコップを持って美味しくなる魔法を唱え、キョウの席へと置いたが
慌てて置いてしまったせいか、パタンとコップは倒れてしまい中身は零れてしまった。
「はわわっ!!」
どうしようと慌てるリンネを見て、サキは近くからタオル持ってきてキョウの服とテーブルを拭き始める。
「ここは私が対応します、あなたはジュースを入れ直してあげて」
「ご、ごめんなさい!」
「謝るのは後で、今はご主人様が優先よ」
「は、はい!」
キョウ自身は全く気にしていなかったので、親指を立て「大丈夫」と紙を書いてリンネに伝える。
先程のミスを挽回しようとリンネさんがジュースを持ってくると、ドスンと隣へ座る。恐らく彼女は軽くパニック状態なのだろう。どうフォローしていいのか全くわからず、ただリンネと見つめ合ったまま、時々お互い照れたりする。
いつまでも会話が無い状況を見かね、サキは2人に助け船を出すようにキョウの隣へと座った。
リンネが魚のようにパクパクと何か言いかけ、サキはすぐにフォローをする。
会話に詰まり続けるリンネの肩をポンッと軽く叩いて、緊張しないで、話したい事を話せばいいの、頑張りなさいと一言励ました。
「は、はい! 頑張りましゅっ」
「(……これは今日1日ずっとダメ、か)」
その後もキョウはサキとリンネに挟まれながらサキの主導で話は続き、他のメイドさんが席の前へ訪れる。
「1セットのタイムが終了しましたー! 延長はどうされますか?」
延長かあ、このままリンネさんと話せる話題も無くなってしまったし、次回来る時に何か彼女が喜びそうな話を作って訪れる事にしよう。
キョウは首を横に振り延長はしないと伝えると、メイドさんは両手で皿を作り料金を求めたので、金10枚をそこに置いて店を出る。
すると、慌てて出てきたリンネがキョウの見送りをしようとして手を振って走ってきた。
「また来てくださ――あいたっ!」
足がもつれたリンネは思い切り転ぶと、膝を何度もさすってはサキが手当をしようと治療道具を持って治療を始めていた。
うぅと泣きそうな顔の彼女を見て、また心がときめいてしまうキョウであった――。
突っ立っていたキョウを見て、サキは笑顔でまた来てくださいねと一言いってスカートの裾を手で持ち、ペコリと頭を下げた。
うーん、あんまりお話は出来なかったが、メイド姿の可愛いリンネさんが見れたから今回は良しとしよう、と私はギルト支部へとウキウキした気分で戻った――
◇ ◇ ◇
「あーもう業務が終わってしまったッス、今日も大満足ッス」
「……なあソウジ、毎日私の胸見てて楽しいか?」
「そりゃもう太陽のように毎日浴びるように見ないと気が済まないッス」
座り込んで剣を磨きながら、ソウジの変態に近い言葉を聞いたグレアは青ざめた表情をして、お尻をつけたまま、椅子を軽く持ち上げソウジから距離を離し、目線を合わせなかった。
「おいキョウ、このバカを何とかしてくれ」
「バカとは酷いッス! 俺は健全なバカッス!」
「じゃあもう死ね、生きてる価値無いぞ」
「酷いッス~!!」
「……(ニヤニヤ)」
いつものロイヤルヘブン、その光景に安心した表情でキョウは無言で笑っていると、突然バンッとドアが開く。
「お、来たなネリス。……今の私は苛立っているからな、加減は出来ないぞ」
グレアのやり切れない怒りが混じった声に少々怯えたのか、青年は緊張した面構えで後ろ髪を手でかくと、気合いを入れて置いてあった木刀を持ち、グレア達は木刀を持って庭へと向かう。
さて、今日は誰が相手をしようか――?
キョウ・フライアー キャラEP:2 『ロイヤルヘヴンの日常』――完
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