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2―10
次の日、元気になったイケが一番に起き出し、ロウさんから弓を借り、鳥を射落とそうとした。
「まだまだだな」
イケの放った矢は鳥に当たらず、地面に落ちてしまった。ロウさんは弓をイケから受け取りながら、イケの頭を撫でた。
「イケは手先が器用だから、網や釣り具造りをして、ヤンと一緒に漁に出るといいかもな」
ウドさんがイケに言い、しょんぼりとしているイケを慰めた。
「そうすると、大人になった時にウドさんと一緒に、山で仕事をする子供が減りますよ?」
僕が言うと、ウドさんは指で僕たち子どもの数を数えるようにして呟き始めた。
「えーと、ヨウは海で、イケも海、マオとカオはシキさんと漆造りで、オクはキノジイに気にいられていて・・って、ズイしかいないじゃないか?」
ウドさんはもう一度、指で数を数え始めた。
「ジンなら俺と山仕事をするけど、ザシと一緒に久慈村と共同の仕事をするし、イバはアワやヒエを育てる事に夢中だし・・。コシ、俺と山仕事に従事しないか?」
ウドさんがコシさんに話を振ると、コシさんは「俺には、装飾品を造るための貝殻集めや、櫛の木を加工する手伝いがあります」と言い、ウドさんの顔を曇らせた。
「あれ、是川で山仕事を中心にするのって、まさか俺だけなのか?」
ウドさんはロウさんやお兄ちゃんの顔を見渡し、僕の顔も見た。
「なら、二ツ森に来るか。山仕事ならいくらでもあるぞい?」
二ツ森の酋長が笑いながら、ウドさんの肩を叩いた。
朝食後、ウドさんは「俺は是川の山が好きです」と言い、酋長の勧誘を断った。
「ふむ、残念じゃ」
酋長はイバさんの石斧と、イバさんの太い腕を見ながら言った。僕の憶測だが、本当にウドさんを誘ったのだろう。昨日、ウドさんは大きな木を石斧で切り倒し、久慈村の男性らを驚かせたそうだ。
「よし、ここでアラとコシは帰宅だ」
ウドさんはそう言って、二ツ森でとれた石器用の石を籠に背負った二人の姿が、見えなくなるまで見送った。
「アラが、帰りたがらなさそうにしていたからな」
ウドさんは独り言を言いつつ、ロウさんと僕とイケに、準備が整ったかを確認させた。
「ラドさん、天気はどうでしたか?」
少し丘になっている所から空を見てきたラドさんに、ロウさんが尋ねた。
「晴れ、少し雲りかな」
ラドさんは短く答え、自分も荷物を背負った。
「カラ、アラさんと姉さんはどうなるんでしょうね」
リンが僕に、囁くように尋ねてきた。
「どうなるって、二人に任せるしかないんじゃないの?」
僕が答えると、リンは僕の答えが気に入らなかったのか、少しため息をついた。
「あなたって、色恋沙汰から遠く離れた所にいるみたい」
僕はリンに、そう言われた。
次の日、元気になったイケが一番に起き出し、ロウさんから弓を借り、鳥を射落とそうとした。
「まだまだだな」
イケの放った矢は鳥に当たらず、地面に落ちてしまった。ロウさんは弓をイケから受け取りながら、イケの頭を撫でた。
「イケは手先が器用だから、網や釣り具造りをして、ヤンと一緒に漁に出るといいかもな」
ウドさんがイケに言い、しょんぼりとしているイケを慰めた。
「そうすると、大人になった時にウドさんと一緒に、山で仕事をする子供が減りますよ?」
僕が言うと、ウドさんは指で僕たち子どもの数を数えるようにして呟き始めた。
「えーと、ヨウは海で、イケも海、マオとカオはシキさんと漆造りで、オクはキノジイに気にいられていて・・って、ズイしかいないじゃないか?」
ウドさんはもう一度、指で数を数え始めた。
「ジンなら俺と山仕事をするけど、ザシと一緒に久慈村と共同の仕事をするし、イバはアワやヒエを育てる事に夢中だし・・。コシ、俺と山仕事に従事しないか?」
ウドさんがコシさんに話を振ると、コシさんは「俺には、装飾品を造るための貝殻集めや、櫛の木を加工する手伝いがあります」と言い、ウドさんの顔を曇らせた。
「あれ、是川で山仕事を中心にするのって、まさか俺だけなのか?」
ウドさんはロウさんやお兄ちゃんの顔を見渡し、僕の顔も見た。
「なら、二ツ森に来るか。山仕事ならいくらでもあるぞい?」
二ツ森の酋長が笑いながら、ウドさんの肩を叩いた。
朝食後、ウドさんは「俺は是川の山が好きです」と言い、酋長の勧誘を断った。
「ふむ、残念じゃ」
酋長はイバさんの石斧と、イバさんの太い腕を見ながら言った。僕の憶測だが、本当にウドさんを誘ったのだろう。昨日、ウドさんは大きな木を石斧で切り倒し、久慈村の男性らを驚かせたそうだ。
「よし、ここでアラとコシは帰宅だ」
ウドさんはそう言って、二ツ森でとれた石器用の石を籠に背負った二人の姿が、見えなくなるまで見送った。
「アラが、帰りたがらなさそうにしていたからな」
ウドさんは独り言を言いつつ、ロウさんと僕とイケに、準備が整ったかを確認させた。
「ラドさん、天気はどうでしたか?」
少し丘になっている所から空を見てきたラドさんに、ロウさんが尋ねた。
「晴れ、少し雲りかな」
ラドさんは短く答え、自分も荷物を背負った。
「カラ、アラさんと姉さんはどうなるんでしょうね」
リンが僕に、囁くように尋ねてきた。
「どうなるって、二人に任せるしかないんじゃないの?」
僕が答えると、リンは僕の答えが気に入らなかったのか、少しため息をついた。
「あなたって、色恋沙汰から遠く離れた所にいるみたい」
僕はリンに、そう言われた。
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