光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!

ほんわか

文字の大きさ
20 / 199

第20話 クラリスの魔法訓練

しおりを挟む
クラリスが火の精霊・カインと契約したことを知ると、公爵である彼女の父はすぐに動いた。

「クラリス、お前に魔法の正式な訓練を受けさせることにした」

父の厳格な声が響く。

「……魔法の訓練?」

「そうだ。精霊と契約したからには、魔法の基礎から学び、きちんと力を制御できるようにならなければならん」

クラリスは少し驚いた表情を見せたが、すぐに真剣な顔になった。

「わかりました。よろしくお願いいたします、お父様」

こうして、公爵家には新しく魔法講師が雇われることになった。

***

「初めまして、お嬢様。私はイザーク・フォードと申します」

講師としてやってきたのは、銀髪に眼鏡をかけた細身の男性だった。

「これから魔法の基礎をしっかりと教えていきますので、よろしくお願いいたします」

「よろしくお願いいたします、先生」

クラリスは礼儀正しく挨拶をする。

ヒカリとカインは少し離れた場所からそれを見ていた。

「……ヒカリ、俺たちは黙って見てればいいのか?」

カインが少しつまらなさそうに言う。

「まぁな。クラリスの実力を知るためにも、まずは様子見だ」

「ふん……」

カインは腕を組みながらクラリスを見つめた。

***

「では、まず魔法とは何かという基本から説明しましょう」

イザーク先生がクラリスに向かって語りかける。

「魔法は、魔力を使い、属性ごとに異なる力を発現させる技術です」

「はい」

「お嬢様は火の属性を持っています。火の魔法の基本は"制御"です。炎は生き物のようなもの。勢いよく燃やすこともできれば、小さな灯火のように抑えることもできます」

クラリスは真剣に聞いていた。

「では、実際に魔法を使ってみましょう。お嬢様の魔力を手のひらに集め、炎を生み出してください」

クラリスはゆっくりと目を閉じ、手を前に出した。

(……炎を、生み出す)

契約したばかりのカインを意識しながら、魔力を手に集める。

「――っ!」

ぽっと、手のひらに小さな火が灯った。

「おお……!」

「素晴らしい、お嬢様! 初めてにしては上出来です」

イザーク先生が感心したように微笑む。

「……すごいじゃねえか、クラリス」

カインが満足そうに頷いた。

「だが、まだまだこれからだぞ」

クラリスは炎をじっと見つめた。

「これが、私の魔法……」

(まだ少し、不安定な気がする)

そんなクラリスの気持ちを察したのか、イザーク先生が言った。

「お嬢様、火の魔法は感情の影響を受けやすいです。特に、怒りや焦りが強くなると、炎も暴走しやすくなります」

「……気をつけます」

「では次に、炎を消す練習をしましょう。生み出すだけではなく、制御できるようにならなければなりません」

クラリスはこくりと頷く。

「火よ、静まれ――」

そう念じると、炎がゆっくりと消えていった。

「……できた!」

「とても素晴らしいです、お嬢様」

イザーク先生は満足そうに頷く。

「次は、もう少し大きな炎を作る練習をしてみましょう」

クラリスは再び集中し、魔力を手に集めた。

(もっと、大きな炎を……!)

ふっと火が大きくなった。

しかし――

「……っ!」

炎が少し暴れ、クラリスの指先をかすめた。

「お嬢様!」

イザーク先生が驚いたように叫ぶ。

「クラリス!」

ヒカリとカインもすぐに駆け寄った。

「……大丈夫です」

クラリスはすぐに火を消し、手を見つめる。

軽いやけどだったが、痛みは感じた。

「お嬢様、無理をしてはいけません」

「はい……すみません」

クラリスはしょんぼりとした顔をする。

「おい、クラリス」

カインが真剣な表情で言った。

「炎はな、扱いを間違えると自分も傷つける。だからこそ、慎重にならなきゃならねえ」

「……わかっています」

「わかってねえよ。お前、さっき焦ってたじゃねえか」

「……!」

クラリスは言葉を詰まらせた。

カインはため息をつき、クラリスの手にそっと触れた。

「……まぁ、最初から完璧にできるわけねえよ。少しずつ慣れていけ」

クラリスはカインの言葉に少しだけ微笑んだ。

「……ありがとう、カイン」

「ふん」

***

その日の訓練はそこで終わった。

クラリスは部屋に戻り、そっと手を開いてみる。

(まだまだ、私は未熟だ……)

炎を扱うことは難しい。だが、少しずつでも成長していきたい。

「クラリス、焦らずにな」

ヒカリが優しく言う。

「お前はもう火の精霊と契約してるんだ。その時点で十分すごいんだからさ」

「……ありがとう、ヒカリ」

クラリスは少しだけ微笑んだ。

(私は、もっと強くなる)

クラリスの決意が、胸の奥で燃え上がった――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。 だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。 魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。 だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。 追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。 訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。 そして助けた少女は、実は王国の姫!? 「もう面倒ごとはごめんだ」 そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ
ファンタジー
入学式から3週間目にして『退学」を言い渡された。 (早くない?RTAじゃないんだからさ。) 自分で言うのもアレだけど、入学してからは結構真面目に通ってた。 けど、どうやら教員の不況を買ってしまったらしい。 幸か不幸か、退学まで1週間の執行猶予が与えられた。 けど、今更どう足掻いても挽回する事は不可能だろうし、 そもそも挽回する気も起こらない。 ここまでの学園生活を振り返っても 『この学園に執着出来る程の魅力』 というものが思い当たらないからだ。 寧ろ散々な事ばかりだったな、今日まで。 それに、これ以上無理に通い続けて 貴族とのしがらみシミッシミの薬師になるより 故郷に帰って自由気ままな森番に復職した方が ずっと実りある人生になるだろう。 私を送り出した公爵様も領主様も、 アイツだってきっとわかってくれる筈だ。 よし。決まりだな。 それじゃあ、退学するまでは休まず毎日通い続けるとして…… 大人しくする理由も無くなったし、 これからは自由気ままに、我儘に、好き勝手に過ごす事にしよう。 せっかくだし、教員達からのヘイトをカンストさせるのも面白そうだ。 てな訳で……… 薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。 …そう息巻いて迎えた執行猶予満了日、 掲示板に張り出された正式な退学勧告文を 確認しに行ったんだけど…… どういう事なの?これ。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

処理中です...