光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!

ほんわか

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第25話 クラリスの成長

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屋敷の訓練場で、クラリスは静かに目を閉じ、両手を前にかざしていた。彼女の指先には赤々と燃える炎が灯っている。しかし、その炎はただの火ではなかった。よく見ると、炎の中に淡く光る粒子が混ざり合い、独特の輝きを放っていた。

「……よし、やってみるわ」

クラリスがそう呟いた瞬間、炎が渦を巻くように形を変え、一筋の光を伴いながら目の前の標的へと放たれた。標的に触れると、炎は一気に広がるのではなく、まるで何かを包み込むように優雅に燃えた。そして、その中心にはわずかに光が揺らめいている。

「またか……」

訓練を見守っていた魔法講師のイザークは、クラリスの魔法に眉をひそめた。彼は王宮付きの魔法学者でもあり、貴族の子息たちに魔法の基礎を教える役目を担っている。クラリスの成長速度には目を見張るものがあったが、それ以上に彼を困惑させているのは――

「クラリス嬢、あなたの魔法……火の属性だけではない気がします」

クラリスは目を瞬かせた。

「どういうことですか?」

「何度かあなたの魔法を観察していましたが、炎の中に何か別の要素が混じっているように見えるのです。まるで……光の魔法のような……」

クラリスは驚いた表情で自分の手を見つめた。その肩の上で、ヒカリがふわふわと揺れながら呟く。

「……俺のせいか?」

「かもしれないわね……」

カインが腕を組みながら言う。

「俺とヒカリが日々魔力を流している影響で、クラリスの魔力量が増えているのは間違いない。だが、その過程でヒカリの光属性の魔力が少しずつクラリスの中に混ざっているのかもしれん」

クラリスは少し戸惑いながらも、ゆっくりと口を開いた。

「でも、私は火属性。光の魔力が混ざるなんて……そんなことがあり得るの?」

「普通ならあり得ないだろうな」カインが頷く。
「だが、お前は特別なのかもしれない」

イザークはしばらく考え込んだ後、意を決したように言った。

「クラリス嬢、もう一度魔法を放ってもらえますか?」

「わかりました」

クラリスは深く息を吸い、再び魔力を練る。今度は意識して、炎の中にある“違和感”を感じ取ろうとした。すると、彼女の内側で何かが共鳴するのを感じた。

(これは……光?)

クラリスはゆっくりと魔力を放ち、再び炎を作り出した。だが今度は、その炎がよりはっきりと輝きを帯びている。

イザークはその光景を見て、改めて確信した。

「……これは確かに光の要素が混ざっていますね」

クラリスは驚きながらも、少しずつ事態を受け入れようとしていた。その横で、ヒカリが少し不安そうに言う。

「なあ、俺のせいでクラリスの魔法がおかしくなってるんじゃないか?」

クラリスはふっと微笑んだ。

「違うわ、ヒカリ。これは“おかしくなった”んじゃなくて……きっと“新しい力”よ」

「……!」

カインが少し驚いたような顔をする。

「お前、そんな風に考えるのか?」

「ええ。だって、ヒカリとカインが私のそばにいてくれたおかげで、私は今まで以上に強くなれた。だから、これは私にとって悪いことではないと思うの」
カインはクラリスの言葉を聞いて、少し微笑んだ。

イザークは考え込んでいた。何故光の魔力が混じっているのかをそしてクラリス嬢に答える。

「これは憶測ですがクラリス嬢の近くに光の精霊が居て、その精霊の影響でクラリス嬢の魔力の中に光の魔力が混ざってしまっていると考えられます。これからクラリス嬢の魔法の特性に光の属性がどう影響するか、慎重にみていく必要があります」

クラリスは力強く頷いた。

「はい、ぜひお願いします!」

***

訓練を終えた後、クラリスは庭のベンチに座り、ヒカリとカインと共に空を見上げていた。

「ねえ、ヒカリ。私たちは契約できなかったけど……こうして一緒にいることで、何か新しい可能性が生まれたのかもしれないわね」

ヒカリは少し戸惑いながらも、嬉しそうに輝いた。

「そうかもな!俺はクラリスと一緒にいるだけで十分楽しいし、契約とか関係なくお前を守りたいって思ってるしな!」

カインも頷く。

「俺もクラリスを守るのが役目だが……どうやらお前はすでに新しい力を手に入れているみたいだな」

クラリスはふっと微笑み、手のひらの上に再び炎を灯した。そこには、確かに光が混ざっていた。

「これから、どんなふうに成長するのかしら……」

クラリスは自分の力がどこまで伸びるのかを考えながら、静かに未来を思い描いた。
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