光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!

ほんわか

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第77話 夜の精霊会議

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久しぶりに本邸へ戻ったクラリスは、長旅の疲れが出たのか、いつもより早めに就寝していた。
その静寂に包まれた夜、庭の片隅で三体の精霊たちが集まり、ひそやかな会議を開いていた。

「アレンとはまだ契約しないのか?」

ヒカリが氷の精霊に問いかけた。

氷の精霊は澄んだ氷のような瞳をゆっくりと閉じ、一度頷く。

「うむ。我と契約するには、まだ未熟だということで契約は延期となった」

その言葉を聞いたカインは、納得したように腕を組む。

「それが賢明だろうな。アレンはまだ魔力操作も不十分だ。今の状態で契約すれば、魔力が暴走して手がつけられなくなる可能性が高い」

カインはチラリとヒカリの方を見やる。

「それに、氷の精霊の魔力量は今の俺よりも上だからな」

「……それはまた随分と高い評価だね」

ヒカリが驚いたように口を挟むと、氷の精霊は誇らしげに微笑んだ。

「当然だ。我は君たちよりも長く生きている。それに、代々アレンの先祖と契約を結んできた存在でもある」

「なるほどな……」

カインは感心したように頷きながらも、どこか腑に落ちない表情をしていた。

「我から見れば、君たちはまだまだひよっこだ」

氷の精霊はさらりとそう言い放った。

カインとヒカリは一瞬、無言になった。

「……いやいや、さすがにそれは言い過ぎじゃないか?」

「僕たちだって、それなりに経験を積んでいるんだけど?」

二人は軽く抗議するが、氷の精霊は動じることなく微笑んでいる。

「ふふ、冗談ではないぞ。我の歴史は長い。君たちが生まれる前から、アレンの血筋には常に氷の精霊が寄り添ってきたのだ」

「……アレンの血筋?」

ヒカリは、その言葉に疑問を抱いた。

「ってことは……氷の精霊、お前はアレンの父親が誰なのか知っているんだな?」

ヒカリの鋭い指摘に、氷の精霊は一瞬黙り込んだ。

カインも興味深そうに氷の精霊を見つめる。

「そういうことか……」

ヒカリは腕を組み、何かを考え込むように目を細めた。

「教えてくれないか? アレンの父親は誰なんだ?」

氷の精霊はしばらくの間、口を開かなかった。

やがて、彼は静かに答えた。

「……我が語るべきことではない」

「なに?」

「アレンが自身の力を理解し、真に契約を結ぶ準備が整ったとき……その時こそ、全てを知るだろう」

「……はぐらかされたな」

ヒカリは溜め息をつく。

「まあ、予想はしてたけどな」

カインも苦笑しながら肩をすくめた。

氷の精霊は、ただ静かに二人を見つめていた。

「だが、確かに言えることが一つある」

そう言うと、氷の精霊は夜空を見上げ、低く静かな声で言葉を紡いだ。

「アレンは、このままでは終わらない。彼は、いずれその血筋に相応しい力を手にすることになるだろう」

「……血筋に相応しい力、か」

ヒカリとカインは互いに顔を見合わせる。

「ともかく、アレンが契約するまでは、見守ってやろう」

カインが腕を組みながら言った。

「そうだな。アレンだけじゃなく、クラリスも、俺たちも、まだまだやるべきことは多い」

ヒカリも同意する。

氷の精霊は、静かに頷いた。

「我も、アレンが真に力を得るその時まで、そばで見守るとしよう」

こうして、夜の精霊会議は静かに幕を閉じた。

夜空には冷たい月光が降り注ぎ、屋敷の庭は深い静寂に包まれていた。

そして、まだ誰も知らない運命が、静かに動き始めていた――。
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