光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!

ほんわか

文字の大きさ
82 / 199

第81話 氷の精霊の特訓2

しおりを挟む
氷の精霊は、ひたすら魔力操作の訓練に打ち込んでいた。しかし――

ボフッ!

ボフッ! ボフッ!

「……またか」

ヒカリの《シャインプリズン》が、容赦なく氷の精霊を包み込む。何度も繰り返される暴走と、それを収める光の牢獄。

ボフッ!

カインは腕を組みながら笑い、氷の精霊を見下ろした。

「全く出来ないじゃないか」

「ぐぬぬ……な、なぜじゃ! 我にできないはずがない!!」

氷の精霊は悔しさを滲ませながら地面を睨みつける。

「魔力が多いのも困りもんだね」

ヒカリが呆れた口調で言いながら、額の汗を拭う。

「むむむ、我を愚弄するな!」

氷の精霊の魔力が、一気に高まり始めた。

「おいおい、また暴走するぞ!」

カインが警戒の声を上げる。

しかし次の瞬間――

「《シャインプリズン》!」

ヒカリの光の牢獄が、再び氷の精霊を包み込む。

ボフッ!!

氷の精霊の魔力が一気に拡散され、場の空気が冷たく震えた。

「お! 今はいい感じに魔力減ってない?」

ヒカリが目を輝かせる。

「……む?」

氷の精霊は、今までとは違う感覚を覚えた。体の中に充満していた魔力が、ある程度拡散されたことで、今までのような重苦しさが消えている。

「今なら魔力もかなり減ってるから、操作しやすいんじゃないかな?」

ヒカリがすかさずアドバイスを送る。

「……試してみるか」

氷の精霊は、慎重に魔力を流そうと意識を向ける。すると――

すうっ……

今までとは違い、驚くほどスムーズに魔力が流れ始めた。

「おお!?」

氷の精霊は思わず声を上げる。

「やったじゃん! やっとコツを掴んだね!」

ヒカリが嬉しそうに笑うと、カインも満足げに頷いた。

「結局、魔力が多すぎたせいで制御できなかったんだな。お前の場合は、まず余分な魔力を拡散してから操作する方がいいみたいだ」

「ふむ……なるほど、そういうことか」

氷の精霊はしっかりと理解し、自分の中で魔力の扱いを整理する。

「じゃあ、次はもう少し繊細な魔力操作をやってみようか?」

ヒカリが提案すると、氷の精霊は意気込みながら頷いた。

「うむ! 次こそは完璧にやってみせる!」
氷の精霊は、勢いよく拳を握りしめた。

「さあ、次の段階だ!」

ヒカリとカインは顔を見合わせ、同時に肩をすくめる。

「いや、そんなに気合い入れても、まだ基礎段階だからね?」

「そうだぞ。いきなり高度な技術をやろうとするな。まずは魔力の流れをさらに安定させろ」

カインが冷静に言うと、氷の精霊は少しムッとした顔をしたが、すぐに気を取り直した。

「む……わかった。我は着実に進むぞ」

そう言うと、氷の精霊は再び魔力の流れを意識する。さっきの成功体験があるせいか、今度は驚くほどスムーズに魔力が巡った。

「……おお! やはりいける!」

氷の精霊が感動していると、ヒカリがすかさず次の指示を出す。

「じゃあ、その状態を保ったまま、少しずつ魔力を操作してみようか」

「ふむ……やってみる」

氷の精霊は慎重に魔力を動かし始めた。今までとは違い、魔力が暴走することなく、穏やかに流れていく。

「……なるほど、確かに制御できている」

氷の精霊が満足げに頷くと、カインが腕を組んで感心したように言った。

「意外とすぐにコツを掴んだな」

「当たり前だ。我は偉大なる氷の精霊だからな!」

氷の精霊は胸を張ったが、次の瞬間――

ボフッ!

突然、魔力が暴走し、氷の精霊の周囲に冷気が噴き出した。

「うおっ!? やっぱりまだ安定してないじゃん!」

ヒカリが慌てて叫ぶ。

「むむむ……なぜだ!?」

氷の精霊は混乱しながらも必死に魔力を抑えようとした。しかし、思ったように制御できず、周囲の空気がさらに冷え込んでいく。

「しょうがない、《シャインプリズン》!」

ヒカリが再び光の牢獄を発動し、氷の精霊の魔力を封じた。

ボフッ!

魔力が拡散し、周囲に静寂が戻る。

「うう……またやってしまった……」

氷の精霊は悔しそうに肩を落とした。

「まぁ、まだ訓練中だしね。失敗するのは仕方ないよ」

ヒカリが慰めるように言うと、カインも軽く笑った。

「しかし、お前は魔力が多すぎるせいで、ちょっとでも気を抜くとすぐ暴走するな。これは厄介だ」

「むぅ……ならば、どうすれば良い?」

氷の精霊が真剣な表情で尋ねると、ヒカリが少し考え込んだ。

「うーん、魔力の量を調整する方法を身につけるのが一番かな?」

「調整……?」

氷の精霊が首を傾げる。

「そう。魔力を使うとき、一度に全部放出しようとするから暴走するんだよ。だから、小出しにする感覚を掴めばいいんじゃないかな?」

ヒカリが説明すると、氷の精霊は納得したように頷いた。

「なるほど、要は魔力を少しずつ出す訓練をすれば良いのだな」

「そういうこと!」

ヒカリが指を立てて笑う。

「ならば、やるぞ!」

氷の精霊は気合を入れ、再び魔力操作を始めた。今度は、一度に大きな魔力を流さず、慎重に少しずつ流していく。

すぅ……

「お! いい感じだ!」

ヒカリが目を輝かせた。

「確かに、今までよりずっと安定しているな」

カインも感心したように頷く。

「ふふん、やはり我は天才だな!」

氷の精霊が得意げに笑ったその瞬間――

ボフッ!

またしても魔力が暴走し、冷気が溢れ出した。

「だから調子に乗るのが早いって!」

ヒカリが慌てて《シャインプリズン》を発動する。

ボフッ!

魔力が拡散し、再び静寂が訪れる。

「むぅ……なかなか難しいな」

氷の精霊は落ち込んだように呟く。

「まぁ、最初はこんなもんでしょ。少しずつ慣れていけば大丈夫だよ!」

ヒカリが励ますと、カインも軽く笑った。

「とにかく、基礎をしっかり固めろ。それができれば、次の段階に進める」

「うむ……分かった!」

氷の精霊は決意を新たにし、再び特訓に励むのだった――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。 だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。 魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。 だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。 追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。 訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。 そして助けた少女は、実は王国の姫!? 「もう面倒ごとはごめんだ」 そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ
ファンタジー
入学式から3週間目にして『退学」を言い渡された。 (早くない?RTAじゃないんだからさ。) 自分で言うのもアレだけど、入学してからは結構真面目に通ってた。 けど、どうやら教員の不況を買ってしまったらしい。 幸か不幸か、退学まで1週間の執行猶予が与えられた。 けど、今更どう足掻いても挽回する事は不可能だろうし、 そもそも挽回する気も起こらない。 ここまでの学園生活を振り返っても 『この学園に執着出来る程の魅力』 というものが思い当たらないからだ。 寧ろ散々な事ばかりだったな、今日まで。 それに、これ以上無理に通い続けて 貴族とのしがらみシミッシミの薬師になるより 故郷に帰って自由気ままな森番に復職した方が ずっと実りある人生になるだろう。 私を送り出した公爵様も領主様も、 アイツだってきっとわかってくれる筈だ。 よし。決まりだな。 それじゃあ、退学するまでは休まず毎日通い続けるとして…… 大人しくする理由も無くなったし、 これからは自由気ままに、我儘に、好き勝手に過ごす事にしよう。 せっかくだし、教員達からのヘイトをカンストさせるのも面白そうだ。 てな訳で……… 薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。 …そう息巻いて迎えた執行猶予満了日、 掲示板に張り出された正式な退学勧告文を 確認しに行ったんだけど…… どういう事なの?これ。

オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~

雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。 突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。 多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。 死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。 「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」 んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!! でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!! これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。 な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

処理中です...