光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!

ほんわか

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第97話 騎士としての自覚

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数日後、朝日が差し込む中、ヒカリは修練場にぷかぷかと浮いていた。ヒカリの隣には、昨日よりも少しだけ表情に自信を浮かべたフロストが浮いている。

「今日もやるのじゃ、ヒカリ!」

「うん、今日も一緒にがんばろうね」

ヒカリが微笑むと、フロストは小さく咳払いしてから魔力を練り始めた。その流れは、最初の頃に比べると格段に安定している。

「ふん、もはや暴走魔とは言わせんのじゃ!」

「じゃあ、今日は反射速度と集中力を同時に鍛えるよ」

「ヒカリは、また無茶なことを言うのじゃ……」

ヒカリが手をかざすと、上空に無数の光球が現れた。それらがランダムに、そして予測不能なタイミングで降ってくる。

「全部防いでね!」

「い、いや、それはさすがに——あっ、来たのじゃ!?」

フロストは慌てて魔力を集中し、《氷壁》を展開する。最初の数発は防げたが、動きが速くなるにつれて、壁のタイミングがずれ始める。

「くっ、まだ反応が追いつかんのじゃ!」

「焦らないで。魔力の流れを意識して、外の動きとリンクさせて!」

「う、うむ……!」

「次は、また実戦形式ね」

「これを交互に繰り返していって途中からはどっちが来るとか言わないからね」

「むむむ…わかったのじゃ……」
深呼吸をして意識を集中すると、フロストの魔法が光の幻影兵士をより多く捉え始めた。

「すごい、少しずつだけど確実に良くなってる!」

「当然なのじゃ! 我はアレンの守護精霊なのじゃからな!」

その言葉を聞いたヒカリは、ふと優しい表情になった。

「アレンは、王城でどんな鍛錬をしているのかな」

「きっと、騎士として日々努力してるはずなのじゃ」

「……うん、おれたちも負けてられないね」

フロストは氷の矢を放ち、ヒカリが放つ幻影兵士を全て撃ち落とす。

「やったのじゃ!ついに全部倒せたのじゃ!」

「うん、すごいよフロスト!」

「アレンに早く見せたいのじゃ……」

ヒカリは空を見上げる。

「……みんな、それぞれの場所で頑張ってる。俺も、負けてられないな」

彼の瞳には、確かな決意の光が宿っていた。


――王都・王城――

「はっ!」

乾いた気合いとともに、アレンは剣を振り抜いた。朝露の光が彼の額に浮かぶ汗をきらめかせる。王国騎士団の訓練場では、日々厳しい鍛錬が続いていた。

「おい、アレン!手を抜くな!」

「はいっ!」

指導役の騎士長の怒声が飛ぶ中でも、アレンはひたむきに剣を振り続けていた。その心には、いつもある想いがあった。

(俺は強くならなくては……お嬢様の騎士になる為に)

夜になっても、アレンは一人剣を振っていた。

「もう十分やっただろ、アレン」

「いえ、もう少しだけお願いします」

「……まったく、あの公爵令嬢のためか?」

「……はい、お嬢様から受けた恩を返すために」

騎士長は鼻で笑うと、剣を肩に担いだ。
「なら見せてみろ。その想いの強さを剣に込めて」

「はいっ!!」

王城の訓練場は、朝から甲高い金属音と叫び声に包まれていた。汗と土埃が舞う中で、アレンは木剣を手に、壮年の教官と鍛錬に励んでいた。

「はっ!」

鋭い掛け声とともに踏み込み、教官の脇腹を狙う。だが――

「甘い!」

教官の木剣が鋭く弾き返し、アレンの肩口に打ち込まれた。

「ぐっ……!」

「お前の癖はまだ抜けていないな、アレン。力に頼りすぎだ。動きが単調になっている」

「はい……!」

アレンは肩をさすりながらも、悔しそうに答えた。

(もっと……もっと上手くならなきゃ……)

クラリスが王妃としての教育を受けている間、自分はただの付き人であってはならない。彼女を守ると誓ったあの日の覚悟を、アレンは胸に刻み直す。

訓練が終わり、控室に戻ると、数名の騎士団員たちがアレンに声をかけてきた。

「おい、アレン。お前、あのクラリス様付きの従者だろ?」

「はい、そうです」

「若いのによくやってるよな。けど、甘く見ちゃいけねぇぞ。騎士団は実力がすべてだ」

「もちろん、覚悟はあります」

アレンはまっすぐにその目を見返した。

「ふん、言うようになったな。じゃあ、今度模擬戦で一勝してみろよ。話はそれからだ」

「はい、必ず……勝ってみせます」

静かに闘志を燃やしながら、アレンはこぶしを握った。

夜、アレンはひとり訓練場に戻り、月明かりの下で剣を振っていた。

「……クラリス様、俺はもっと強くなります。だから……必ず、あなたを守れる騎士になります」

月光が照らす中、黙々と剣を振るその姿は、少年から騎士への階段を一歩ずつ登っているようだった。

やがて、背後から声がした。

「夜まで鍛錬とは……まさに騎士の鏡だな」

振り向けば、白銀の鎧に身を包んだ騎士団長・ヴォルクが立っていた。

「ヴォルク団長……!」

「焦るな。だが、情熱は悪くない。――その剣に、迷いを抱くな」

「……はい!」

「なら、いずれお前にも剣を託せる時が来るかもしれん」

そう言って去って行く背中を見送りながら、アレンはさらに強く誓った。

(俺は……絶対に、クラリス様を守る騎士になる)

そしてその夜もまた、剣の音だけが静かに響き続けていた。
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