光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!

ほんわか

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第108話 ヒカリの覚醒

ヒカリたちが去った後、モニカはしばらく説明に追われていた。

倒れていた青年は、王城に勤める錬金術士だった。 長年、持病の発作に悩まされていた彼は、突然の苦しみに倒れたところを、モニカが治療したのだった。

しかし──その治癒の力は、いつもの彼女の力ではなかった。

「どういうことなの……あの光……」

モニカ自身、何が起きたのか分からず、問い詰められても説明できない。ただ、あの時、自分の手から放たれた金色の光、それが青年を完全に癒した。

ようやく解放されたモニカは、重いため息を吐きながら聖女たちの部屋に戻った。

「モニカ、ずいぶん時間がかかったのね。大丈夫?」

声をかけてきた同僚に、モニカは今日の出来事を説明した。けれど──

「ふうん……でもそんな奇跡、普通じゃ起きないわよ?」 

「もしかして夢でも見たんじゃない?」

「……そうよね。信じられるわけ、ないよね……」

その頃、ヒカリとカインはクラリスの部屋へ戻っていた。

「どこ行ってたの?」
クラリスの声が飛んできた。

「ちょっと王城を見て回ってた」

ヒカリがあっさり答えると、クラリスはすかさずカインに目を向けた。
「カイン!また何かやらかしてないでしょうね!」 

「う、うむ!俺は何もしてないぞ!」 

「ヒカリは?なにかした?」

「な、何もしてないよ!」

二人の返答にクラリスはジト目で睨みながらも、それ以上追及はしなかった。

夜、クラリスが眠った頃──

(……付与しますか?)
ヒカリの意識に、突然声が響いた。

「ん?カイン、今なんか言った?」 

「いや、俺は何も言ってないぞ」

「そっか……気のせいかな……」

(付与しますか?)
再び、意識の奥に直接響くような声が聞こえる。

「やっぱり聞こえる……なんだろ、この声」

 「俺には何も聞こえんが……どんな声だ?」

「なんていうか、頭の中に直接語りかけてくるって感じ。しかも……『付与しますか?』って言ってくるんだよね」

「ヒカリよ付与とはなんだ?」

「うーん、何かを授けるとか、力を与えるって意味なんだけど……」

ヒカリは不安を拭えず、返事をせずに黙っていた。
するとまた声が聞こえた
(だ~か~ら~……付与するか聞いてるよね?)

「えっ!? 口調変わった!?」

(あなたが無視するからでしょ! もう、面倒くさいなあ!)

「いや、だって何を付与されるかわからないし」

(さっきから、説明しても聞いてないのそっちでしょ!)

「いや、だからさ! 何を付与するのか分からないから答えようがないって!」

(はぁ? さっきから“付与しますか?”って丁寧に聞いてるでしょ!?)

「説明がなさすぎるんだよ!」

ヒカリは困惑しながらも拒否を続けるが──

(むむむ……もういい! 妾には時間がないのじゃ。勝手にやらせてもらう!)

「ええっ!?」

その瞬間、ヒカリの身体が金色の光に包まれた。
「な、なにこれ!?」

(託したぞ、ヒカリよ……)
その声を最後に、意識に響く声は消えた。

「……一方的に何かを付与された……」

カインがヒカリをじっと見つめて言った。
「ヒカリよ、お前……魔力が跳ね上がってるぞ」

「え? ……あ、本当だ。なんかさ、魔力の“質”も変わった感じがする。前よりずっと濃くて、まとまりが良いっていうか……」

「でも、何を付与されたのかは分からないんだよね……」

「厄介なものではなさそうだが……用心に越したことはないな」

ヒカリは首を傾げながら、ふぅと一息ついた。
(何が託されたんだろう……まさか、あの光……)

翌朝
「クラリス、髪飾りの補充終わったから返すね」
ヒカリはクラリスに髪飾りを差し出した。

「ありがとう。ヒカリ」
クラリスはヒカリから髪飾りを受け取ると髪に付けた。
クラリスに髪飾りを返したヒカリは、またモニカの元に向うことにした。

「モニカ、あれからどうだった?」

ヒカリはふわりと浮かびながら、部屋の隅に座っているモニカの元へ近づいた。
モニカは、びくっと肩を揺らしてこちらを向く。

「ヒ、ヒカリ様……っ。あの、えっと……」
「うん?」
「もう……もう大変だったんですよぉぉぉ!」

いきなりモニカが涙目になりながら立ち上がった。
それを見たヒカリは悪いことをしたなと反省していた。
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