光精霊に転生した俺は悪役令嬢推しでした!

ほんわか

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第111話 聖女の腕輪

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夕暮れの光が差し込む部屋に、ヒカリはふわふわと飛びながら入ってきた。

「モニカ、腕輪の魔力補充終わったよ」

モニカは顔を上げ、ヒカリの手元を見たが、腕輪らしきものは見当たらなかった。

「あの……ヒカリ様、腕輪はどこに?」

「あ、そだ」

ヒカリは笑いながら自分の胸元に手を当てると、まるで光を掬うように腕を引いた。 その手の中には、淡く光を放つ銀の腕輪があった。

「え? え? 体内に……仕舞っていたのですか?」

「うん。俺の魔力を腕輪に貯めるには、体内で直接流し込むのが効率いいんだ。精霊って、そもそも魔力の塊だからさ」

「そ、そうなんですね……」

「ちなみに臭くなってはないよ?」

ヒカリが軽口を叩くと、モニカは思わず吹き出した。

「ふふっ、安心しました」

ヒカリから腕輪を受け取ったモニカは、静かに右腕にはめた。 腕輪の中央には、光の魔石を薄く板状に加工した花びらのような装飾が4枚、バランスよく配置されている。
 それはとても美しく、洗練されたフォルムに光の魔石の花びらのような装飾が薄っすらと輝いていた。

「モニカ、似合ってるね」

「はい……とても素敵です。クラウ様に感謝しなくては」

腕輪を着けた瞬間、モニカは温かい光が自分の内側から広がるような不思議な感覚を覚えた。
 微かに、自分の魔力が腕輪に吸い込まれる。それは、まるで腕輪がモニカの魔力に呼応し、繋がり始めた証のようだった。代わりに柔らかく穏やかな力が注がれてくる。

「その腕輪には、俺の光の魔力が補填されてる。祈るように念じると、少量ずつモニカの中に流れ込むんだ」

「……不思議な感覚です」

「最初は扱いづらいと思う。でも、毎日訓練すれば、自在に扱えるようになるよ」

「訓練は俺も付き合うからさ」

ヒカリの言葉に、モニカは真剣な眼差しで頷いた。
「ありがとうございます、ヒカリ様。ぜひ、よろしくお願いいたします」

こうして、二人の訓練の日々が始まった。

人目の少ない庭園、離れの静かな一室、そして時には塔の上の風通しの良いテラス……。 モニカとヒカリは様々な場所で訓練を重ねていった。

「まずは、腕輪に集中して。呼吸を整えて、光の流れを感じて」

「は、はい……」

「そう。腕輪を通して、俺の魔力がゆっくり流れてる。モニカの心の中の“光”と重ね合わせるんだ」

最初のうちは、魔力の流れをつかむだけでも精一杯だった。 だが、数日経つと、モニカは感覚をつかみ始めた。

「すごい! ヒカリ様、少しだけですが、魔力が流れ込んできたのが分かりました!」

「やったね、モニカ! その調子。その小さな感覚を何度も繰り返して、馴染ませていくんだ」

ヒカリの優しくも的確な指導に、モニカの集中力は日々増していった。 魔力の流れを読み、感じ取り、意図して引き出す。 簡単そうに聞こえて、実は非常に繊細な技術だ。

「ヒカリ様、腕輪の魔力を、他の人に使っても……よろしいでしょうか?」
ある日、モニカは訓練の後に神妙な面持ちで問いかけた。

「……ん?モニカ、使いたい相手でもいるの?」

「はい。実は……私の母が、数年前から病気で寝たきりになっていまして……その母に使っていいでしょうか……?」

モニカの声は震えていた。

「これまで何度も癒しの祈りを試しましたが、まったく効果がなくて……。宮廷聖女見習いとして王城に来てからも、何か方法はないかと本を読み漁って探していましたが……」

モニカの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

「……そっか。いいよ、使っても」

「本当ですか……!?」

「うん。でもね、一つだけ気をつけて。これを公にすると、モニカの身に危険が及ぶかもしれない」

「危険……ですか?」

「うん。モニカが“特別な力”を持っていると知れたら、利用しようとする者が現れるかもしれない」

モニカの持つ特別な力が明るみに出れば、それを悪用しようとする者が現れる可能性も否定できない。
(てかほぼ確実にそういうやつが現れるんだよね、後でクラリスに相談しよっと)

モニカは唇を噛みしめた。

「……わかりました。誰にも言いません。母のことだけ、全力で……」

ヒカリは黙って頷いた。

そして、1ヶ月後。

「ヒカリ様。明日、自宅へ一時帰宅する許可が下りました。母のもとへ行ってまいります」

「そうなんだ。でも、何かあったら危ないし……俺も一緒に行くよ」

「えっ、ヒカリ様が……!? 本当に?」

「もちろん。モニカの腕輪の魔力の扱い方はほぼ完璧に近いけど何かあるといけないしね」

モニカは目を潤ませながら、深く頭を下げた。

「……ありがとうございます、ヒカリ様」

こうして、聖女モニカと精霊ヒカリは、特別な旅路へと踏み出すこととなった。母を救うための、希望に満ちた第一歩だった。
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