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最終章 アキト、隣接する2つの辺境伯領の架け橋となる
35話 もふもふ精霊、大活躍!
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苦しむキャンベル侯爵様たち3人が淡い輝きを放つと、身体中から黒紫色の細かな靄が出現するも、それらはすぐに分解されて、大気中に霧散していく。顔色も回復していき、3人は驚きながらも、ゆっくりと立ち上がる。
「終了です。体調は、如何でしょう?」
3人は自分の身体をあちこち確認していて、先程まで襲っていた痛みが嘘であるかのような振る舞いだ。
「信じられない。暴れる魔力が鎮静化しているし、これまで重苦しかった身体がなによりも…軽い!」
「多くの人々の怨嗟の声も聞こえないわ」
「僕にも聞こえない…解放されたんだ僕たち」
3人が抱きしめ合うも、厄介ごとはまだ終わっていない。変な気配を感知したから上空を見ると、濃密な黒い何かが1点に集まっていて、うねうねと気持ち悪く動いていて、何かが生まれようとしている。
「皆、安心して。私があれを破壊する」
宣言したのは、マグナリアだ。
あれって、悪意の塊かな?
「アキ、力を貸して」
「マグナリア、私は何をすればいいの?」
「アキがスキルで、トウリの聖属性を私に付与してほしい。私自身が聖なるブレスを放って、あの塊を浄化させる」
今の彼女は、本来の白虎族の姿だけど、自身の力は強くないって言ってたよね。
「大丈夫なの?」
「心配する気持ちもわかる。ここに来るまでの矜恃率が61%にまで上昇し、今の状況に陥り、アキだけでなく、リリアナやシェリル、出席者全員を助けたいと心底思った時、100%になった。証明するため、私の力を解き放つ」
そう言うと、マグナリアは目を閉じて精神を集中させていくと、姿形に変化はないけど、彼女の中にある何か、存在感や神々しさが増していくのを感じる。絶対的な安心感を感じるせいか、周囲の人たちも、当初あの黒くうねうねする物体を見て恐怖を感じていたのに、今ではそういったものが消失している。
「アキ、どう?」
「頼もしさと安心感を強く感じる。あなたに、全てを任せられる」
「ありがとう。さあ、あいつを討伐しよう」
僕は付与術で、トウリの持つ聖属性をマグナリアに付与させると、彼女は口に聖なる魔力を集中させていく。
「あいつを放っておくと、魔物に変異して人々を襲うから、この場で浄化する。ガルーダ様、浄化後のブレスの爆散の方をお願いします」
爆散? 何をするつもりなのかな?
「うむ、任せろ」
マグナリアの口から、青白い聖なるブレスが上空へ放たれると、悪意の塊は瞬時に浄化されていく。ブレスは勢いを落とすことなく、空高く舞い上がり、今度はガルーダ様がそのブレスに風の力を注ぎ込むことで、どんどん膨らんでいく。そして限界が訪れたのか、花火のようにドーンと鳴り響き、四方八方に爆散、キラキラした欠片が街へと降り注ぐ。これが夜の光景なら、かなり幻想的だったかもしれない。
真っ昼間の今でも、十分綺麗だけどね。
「浄化の息吹を、この街の人々に与えた。人々の中にある僅かな悪意も、これで浄化される。私、トウリ、ガルーダ様による合体技だ」
「私たちの合体技[浄化の息吹]、マグナリア様、カッコいい響きですね!」
不思議だ、キラキラしたものが降り注いだからなのか、周辺の土地も清浄化されたかのような感じがある。眼鏡も褒められたし、キャンベル侯爵家の憂いも消失したし、悪意も浄化されたのだから、これからが楽しいパーティーの始まりかな。
「今、私たちは薬の影響で誘き寄せられた近辺の悪意を全て浄化した。キャンベル侯爵、貴方はこの半年間に起きた出来事をゴルゴート公爵とティムランド辺境伯に全て話しなさい。貴方たちは、精霊誘拐に関わる連中に利用された。幸い、主犯の貴族は王都で捕縛されているから、あとは悪意を引き寄せる魔法薬を回収するのみ。我々精霊に感謝しているのなら、速やかに行動に移せ」
キャンベル侯爵一家は、この美しい光景にぼうっと呆けていたけど、マグナリアの言葉で、これから何をすべきなのか理解する。
「マグナリア様、ガルーダ様、トウリ様、そしてアキ嬢。私たちを救って頂き、ありがとうございます。この御恩、いつか必ずお返し致します。皆様、もう脅威は去りました。パーティーに関しても、ここまでは前菜。今から名産品を扱ったメイン料理をお出ししますので、そちらをご堪能ください。ティムランド辺境伯」
「ええ、邸内で我々を見守っている公爵のもとへ行きましょう」
アーサム様はキャンベル侯爵と共に、邸内へ入っていく。マグナリアとガルーダ様は、いつの間にか小型形態になっていて、トウリと一緒に料理をつまんでいる。僕たち出席者側の人間だけが、取り残されている感じだ。僕も料理を食べに行こうと思った時、いろんな人たちが、僕を見ていることに気づく。そういえば、事件が唐突に勃発して、精霊が突然3体も出現して、解決に導いたから不思議に思っているのかもしれない。
「あの…ガルーダ様はアーサムと契約を結んでいます。そして、私は霊鳥族トウリと白虎族マグナリアと契約を結んでいるんです。ガルーダ様は霊鳥族の長をしておりますので、私はトウリのこともあり、日頃からガルーダ様とも懇意にさせて頂いています」
この言葉をきっかけに、出席者たちは料理そっちのけで、僕のもとへ集まり、僕は質問攻めに合ってしまう。シェリルは、キャンベル侯爵の奥様と令息と話し合っていたから、リリアナに助けを求めたら、『やれやれ』という表情を浮かべながら、僕のもとへ来てくれた。ミランダ様とアレク様は、そんな僕たちを少し離れた位置から、優しく見守ってくれていた。
「終了です。体調は、如何でしょう?」
3人は自分の身体をあちこち確認していて、先程まで襲っていた痛みが嘘であるかのような振る舞いだ。
「信じられない。暴れる魔力が鎮静化しているし、これまで重苦しかった身体がなによりも…軽い!」
「多くの人々の怨嗟の声も聞こえないわ」
「僕にも聞こえない…解放されたんだ僕たち」
3人が抱きしめ合うも、厄介ごとはまだ終わっていない。変な気配を感知したから上空を見ると、濃密な黒い何かが1点に集まっていて、うねうねと気持ち悪く動いていて、何かが生まれようとしている。
「皆、安心して。私があれを破壊する」
宣言したのは、マグナリアだ。
あれって、悪意の塊かな?
「アキ、力を貸して」
「マグナリア、私は何をすればいいの?」
「アキがスキルで、トウリの聖属性を私に付与してほしい。私自身が聖なるブレスを放って、あの塊を浄化させる」
今の彼女は、本来の白虎族の姿だけど、自身の力は強くないって言ってたよね。
「大丈夫なの?」
「心配する気持ちもわかる。ここに来るまでの矜恃率が61%にまで上昇し、今の状況に陥り、アキだけでなく、リリアナやシェリル、出席者全員を助けたいと心底思った時、100%になった。証明するため、私の力を解き放つ」
そう言うと、マグナリアは目を閉じて精神を集中させていくと、姿形に変化はないけど、彼女の中にある何か、存在感や神々しさが増していくのを感じる。絶対的な安心感を感じるせいか、周囲の人たちも、当初あの黒くうねうねする物体を見て恐怖を感じていたのに、今ではそういったものが消失している。
「アキ、どう?」
「頼もしさと安心感を強く感じる。あなたに、全てを任せられる」
「ありがとう。さあ、あいつを討伐しよう」
僕は付与術で、トウリの持つ聖属性をマグナリアに付与させると、彼女は口に聖なる魔力を集中させていく。
「あいつを放っておくと、魔物に変異して人々を襲うから、この場で浄化する。ガルーダ様、浄化後のブレスの爆散の方をお願いします」
爆散? 何をするつもりなのかな?
「うむ、任せろ」
マグナリアの口から、青白い聖なるブレスが上空へ放たれると、悪意の塊は瞬時に浄化されていく。ブレスは勢いを落とすことなく、空高く舞い上がり、今度はガルーダ様がそのブレスに風の力を注ぎ込むことで、どんどん膨らんでいく。そして限界が訪れたのか、花火のようにドーンと鳴り響き、四方八方に爆散、キラキラした欠片が街へと降り注ぐ。これが夜の光景なら、かなり幻想的だったかもしれない。
真っ昼間の今でも、十分綺麗だけどね。
「浄化の息吹を、この街の人々に与えた。人々の中にある僅かな悪意も、これで浄化される。私、トウリ、ガルーダ様による合体技だ」
「私たちの合体技[浄化の息吹]、マグナリア様、カッコいい響きですね!」
不思議だ、キラキラしたものが降り注いだからなのか、周辺の土地も清浄化されたかのような感じがある。眼鏡も褒められたし、キャンベル侯爵家の憂いも消失したし、悪意も浄化されたのだから、これからが楽しいパーティーの始まりかな。
「今、私たちは薬の影響で誘き寄せられた近辺の悪意を全て浄化した。キャンベル侯爵、貴方はこの半年間に起きた出来事をゴルゴート公爵とティムランド辺境伯に全て話しなさい。貴方たちは、精霊誘拐に関わる連中に利用された。幸い、主犯の貴族は王都で捕縛されているから、あとは悪意を引き寄せる魔法薬を回収するのみ。我々精霊に感謝しているのなら、速やかに行動に移せ」
キャンベル侯爵一家は、この美しい光景にぼうっと呆けていたけど、マグナリアの言葉で、これから何をすべきなのか理解する。
「マグナリア様、ガルーダ様、トウリ様、そしてアキ嬢。私たちを救って頂き、ありがとうございます。この御恩、いつか必ずお返し致します。皆様、もう脅威は去りました。パーティーに関しても、ここまでは前菜。今から名産品を扱ったメイン料理をお出ししますので、そちらをご堪能ください。ティムランド辺境伯」
「ええ、邸内で我々を見守っている公爵のもとへ行きましょう」
アーサム様はキャンベル侯爵と共に、邸内へ入っていく。マグナリアとガルーダ様は、いつの間にか小型形態になっていて、トウリと一緒に料理をつまんでいる。僕たち出席者側の人間だけが、取り残されている感じだ。僕も料理を食べに行こうと思った時、いろんな人たちが、僕を見ていることに気づく。そういえば、事件が唐突に勃発して、精霊が突然3体も出現して、解決に導いたから不思議に思っているのかもしれない。
「あの…ガルーダ様はアーサムと契約を結んでいます。そして、私は霊鳥族トウリと白虎族マグナリアと契約を結んでいるんです。ガルーダ様は霊鳥族の長をしておりますので、私はトウリのこともあり、日頃からガルーダ様とも懇意にさせて頂いています」
この言葉をきっかけに、出席者たちは料理そっちのけで、僕のもとへ集まり、僕は質問攻めに合ってしまう。シェリルは、キャンベル侯爵の奥様と令息と話し合っていたから、リリアナに助けを求めたら、『やれやれ』という表情を浮かべながら、僕のもとへ来てくれた。ミランダ様とアレク様は、そんな僕たちを少し離れた位置から、優しく見守ってくれていた。
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