加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護

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40話 潜入調査を開始します

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*主人公視点[ルティナとリノア・旧ラリマンド邸到着直後]

現在、僕はスキルを発動させて誰にも見られないよう、旧ラリマンド邸へ向かっている。行く直前、リオさんからこれまでの情報を教えてもらったけど、3点だけおかしな箇所がある。

・タルパによる襲撃は敷地内だけで、敷地外での被害件数はゼロ
・ルティナとリノアの事件以降、敷地内でのタルパ襲撃は必ず夜の庭で起こる
・100体以上討伐されているのに、土地の魔素濃度が全く上がっていない

この点から考えられる事は……

・タルパの被害が起こる前に、何者かが敷地内に侵入し、何らかの悪意を振り撒いている

・夜中、神官たちが庭でタルパと戦っている間、何者かが邸内に侵入している可能性が高い

・何者かが、討伐された時に生じる魔素を吸収している

この3点だけど、悪意を振り撒いているものと、魔素を吸収しているものが同一人物かは不明だ。

ただ、神官たちが昼間に邸内を探索しているにも関わらず、手掛かりゼロなのが気にかかる。それに、タルパが引き寄せられているということは、侵入者にはタルパ好みの悪意が潜んでいるということだ。

それも、大量のタルパを誘きよせるほどの凶悪な悪意を持っている。
邸内にある何かを探しているのか?
それとも、邸内に何かを設置したか?

ラリマンド伯爵についても聞いたけど、ここで僕の生家が絡んでくるとは思わなかった。僕の元父フレデリック・ヒライデン伯爵とアラン・ラリマンド元伯爵は学院の同期で、学生時代以降、互いをライバル視するほど、力も拮抗していた。そんな2人に訪れた卒業時の結末は、ラリマンド伯爵が[首席]、父が[次席]だった。卒業後、ラリマンド伯爵が宰相補佐に抜擢され、父が魔法省へと就職し、彼が事故で亡くなるまで、ずっと付き合いがあったらしい。

僕は、何一つ聞かされていないけどね。
父が次席……本人からすると、さぞ屈辱だっただろう。

ラリマンド伯爵一家は半年程前に、旅行時に起きた不慮の事故で全員亡くなっているけど、今更になって、父が一家全員を秘密裏に殺すとは思えない。リスクが、高過ぎるからね。

ルティナとリノアは、自分の事で手一杯となっており、これらの情報について知らない。それに、悪意ある者が真っ昼間の敷地内に潜んでいる可能性もあるから、その危険性にも気づいていない。

「全く、危なかっしい子供たちだ」

僕の任務は邸内に侵入し、2人の戦闘を見守りながら、事件の根源となる者を探し出し解決に導くという、結構ハードな内容だ。日本にいる先生ならチート陰陽師だから、こういったことを楽々とこなせそうだけど、僕にあるのは多大な魔力量とギフト[加工]だけだ。

ま、この加工も十分チートなんだけどね。

内心、ルティナとリノアがマクレミーサと和解して、邸内で仲良く談笑しているのではと思ってしまう自分もいるけど、いざ敷地内に入ると、それがただの戯言であるといやでも理解できる状況だった。

2人は神官たちと離れ離れとなっていて、非常に険悪な雰囲気が流れている。というか同調を使ってわかったけど、神殿側の連中、特に神官共は口にこそ出していないけど、反省するどころか、どうやってこの失態をマクレミーサとジェイコブ神官の2人に被せるかをずっと考えているし、マクレミーサはその神官共を買収して、どうやって全ての責任を2人もしくは、ジェイコブ神官に押し付けられるかを考えている。

こいつら、根っこは僕の出会ってきた人間と同類じゃないか。
ああ、嫌だ嫌だ、これだから人間の多くを信用できないんだ。まだ、人間族としか交流がないけど、エルフやドワーフ、獣人、リザード、妖精族たちも、こいつらと同類なのだろうか?

一応、2人にはこの戦いの危険性を教えておこう。


○○○


あれから周囲を軽く散策したけど、やはり敷地全体から光精霊の気配を感じる。精霊がルティナたちを見守ってくれていると感覚的にわかるから、ここは任せていいかもしれない。

気掛かりは、罰を下された後の神官たちの動向だけど、ああいった連中って反省するどころか、逆恨みするタイプが多い。

マクレミーサは、ルティナとリノアを逆恨み対象にするだろう。神官たちは真実を知ったからマクレミーサを逆恨み対象にするだろうけど、相手が高位貴族である以上、ルティナとリノアへ変更する可能性が高い。

精霊もそれを理解しているのか、怒りが伝わってくる。
この雰囲気から察するに、奴ら全員タルパじゃなく、精霊に殺されるかもな。

こういう時の予感って、前世から当たるんだよ。
うん?
 
太陽が雲に隠れたことで、僕は自然と真上を向くと、遥か上空に厚い雲がある。この感覚……なるほど、ああやって器用に雲の中に隠れていたわけか。僕の知る限り、ここ最近の天候は、雨こそ降っていないけど、快晴ではなく、雲の多い日々が続いていた。

タルパたちは、自然に助けられていたわけか。かなり強い気配もあるから、念の為、あの上空に高濃度の魔力を散布して邸内に入ろう。


……太陽が沈みきり、夜が訪れる。


2階の窓から外を覗くと、邸内の街灯がついたようで、周囲が少し明るくなったところで、上空にいるタルパが活性化して、地上へと降りてきた。

2人にとって初の実戦、僕の役目は2人を見守り、魔力残量が総量の1/4を切ったら、あえて何も言わず、魔力を譲渡するよう配慮することだ。まあ、リノアは暴食でタルパの魔力を奪うだろうから、実質ルティナ1人だけに気を配ればいい。直接見守れない分、光精霊が2人を見守ってくれているから、僕も安心して邸内を動ける。

「お、誰かが入ってきたな。気配が薄い? いや、存在感を薄くしているのか。どうやら相手さんも、僕と同様の認識阻害や隠密といったスキルを持っているようだ。しかも、この気配って、僕の知っている人だ。まさか、ここで再会することになるとはね」

僕は、ゆっくりと気づかれないよう、侵入者のいる場所へ向かう。
そして、同調を使い、部屋内に僕の魔力を充満させていく。
相手の魔力総量は、約5500程か。
これは、もう間違いないな。
僕はゆっくりとドアを開け、灯りをつける。

「そんなところで何をしているのかな? ヒライデン伯爵」

そう、書庫と呼ぶべき部屋の中に、僕の父親がいた。
ただし、生き霊だけど。
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