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42話 ルティナの葛藤
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*ルティナ視点(2回目のタルパ襲撃直後からのスタートです)
「エリアヒール」
第二陣として出現したタルパが全然減らない!!
倒しても倒しても、次から次へと湧いて出てくる。
私とリノアだけで20体以上討伐したと思うけど、これだけ数が多い場合、皆を操る親玉がいるはずだけど、全然姿を見せてくれない。このままだと、こっちの魔力と体力が尽きちゃうよ。
『ほら、魔力補充だ。自分の体力はヒールで回復するように』
あ、魔力が一気に満タン近くまで回復した!!
『お兄ちゃん、ありがとう!!』
お兄ちゃん、ずっと裏で動きながら私たちを見守ってくれているんだ。
「魔法がどうして使えないのよ!! あなたたち、神官なんだから、私を守りなさいよ!!」
せっかくの気分が台無しだ。
ここから少し離れた位置にいるいるマクレミーサが煩い。
あいつ…魔法が使えないせいで追い詰められたこともあって、リノアにやったような行為を、今度は神官たちにやってる。
マクレミーサのせいで、3人の神官がタルパに憑かれてしまい、仲間割れを起こした。しかも、憑かれた神官全員が攻撃魔法を味方に放とうとして、そこにタルパたちの襲撃も加わってきたから、他の神官たちはタルパもろとも、仲間を殺してしまった。
そのせいで、全員が彼女を見放した。
やっぱり、マクレミーサは最低だ。
「巫山戯るな!! 我が身可愛さのために、我々の仲間を投げ出すような非道な輩など守れるか!! お前は、タルパの親玉と相打ちでもして、ここで死ね。あとは、私たちで説明しておく。それが、一番都合の良い展開だ」
最低だ、この人たちも自分のことしか考えていない。タルパは、そういった負の感情を持つ人々に引き寄せられるせいで、今では全体の7割くらいが神官たちの方に行ってる。
「マクレミーサ、無駄口を叩くのなら邸内に入れ!! お前らが無駄口を叩くせいで、タルパたちがこっちに集まってきているんだぞ!!」
ジェイコブ先生、凄。相手は侯爵令嬢なのに、命令してる。
「うっさいわね!! 入れないから言ってんのよ!! 平民のジェイコブ先生が、私の盾になりなさいよ!!」
精霊様が、中に入れないようにしているんだ。
「君というやつは…」
ジェイコブ先生だけじゃなく、他の神官たちも、マクレミーサの本性を見て絶句してる。ただ、ジェイコブ先生以外の神官たちも屑だ。混乱の中、私たちに鞍替えして、マクレミーサに全責任を負わせようとしてるもん。
「おい、そこの2人、気をつけろ!! タルパが後方から襲ってくるぞ!!」
「ぎゃああ~~」「ぐ!!」
タルパたちが攻撃方法を変えて、普通に相手を殺しにきてる。せっかくジェイコブ先生が声をかけたのに、マクレミーサの方へ意識を向けていたから気づくのに遅れ、お腹を貫かれて絶命した。
「最悪、この役立たず!!」
最悪なのは、マクレミーサだ。神官たちが彼女から離れていくせいで、タルパがあいつの周辺に集まりつつある。変な悲鳴をあげて必死に逃げ回っているけど、あのままだと憑かれるか殺されるのどちらかになる。このまま放置すれば、自滅するのも時間の問題だけど、それでいいのかな?
彼女を見ると、誰も助けてくれないせいで、さっきまでの強がりが消え失せて、泣きながら必死になってタルパから逃げ回ってる。
「ルティナ、変なこと考えてない?」
リノアが、私に話しかけてきた。
「別に…」
動揺して、そっけない返事になった。
「あれは、あの人の自業自得。私を殺し、あなたを欺いたのだから」
「……」
それはわかってるけど、このまま見殺しにしてもいいのかな?
なんだか、胸がモヤモヤする。
あの人は間違いなく私たちの敵だけど、このまま放っておいたら間違いなくタルパに食べられる。
[見殺しにする]、この選択が正しいの?
「ルティナ、危ない!?」
しまった、いつの間にか余所見してた!?
リノアが、私の後方にいるタルパをやっつけてくれた。
「ありがとう、リノア」
そう言うと、リノアは苦笑する。
「もう、あなたの好きにしていいんじゃない?」
「へ?」
突然、何を言ってるの?
「リョウトさんが言ってたよ。『心に迷いがあると、魔法効果も薄くなる』って。エリアヒールの力が、少しずつ低下してる」
「あ……」
私の好きに動いていいのかな?
【悪い人たちであっても死なせたくない】、これが私の本音。
でも、マクレミーサはリノアを殺した。
お兄ちゃんがいなかったら、私も殺されてた。
あんな奴を助ける必要があるの?
でも、彼女の窮地をこの目で確認すると、どうしても助けたいという気持ちが生まれちゃうよ。
「このまま見捨てたら、マクレミーサと同じになっちゃう。それだけは、嫌。でも、彼女を許せない…あいつを殺したいと思う自分がいるの」
「それは、私も同じ気持ちだよ。だったら、聖女様や教皇様に裁いてもらおうよ。あの人たちなら、正しい判断をしてくれる」
「他人任せにしていいの?」
「あいつは光精霊様に嫌われ、もう二度と光と聖魔法を使えない。それが更なる証拠となって、マクレミーサの嘘も完全に暴かれる。今は、それで十分」
リノア…光精霊様、マクレミーサを助けていいですか?
私は顔を見上げ空に祈ると、精霊様が姿を見せてくれた。
『いいよ』
『ルティナなら言うと思った』
『いざとなれば、リョウトが助けてくれる』
『マクレミーサを助けていいよ』
ありがとう、光精霊様。
「助けに行ってくる!!」
「わかった」
私はマクレミーサのいる方へ駆け出す。
「エリアヒール」
第二陣として出現したタルパが全然減らない!!
倒しても倒しても、次から次へと湧いて出てくる。
私とリノアだけで20体以上討伐したと思うけど、これだけ数が多い場合、皆を操る親玉がいるはずだけど、全然姿を見せてくれない。このままだと、こっちの魔力と体力が尽きちゃうよ。
『ほら、魔力補充だ。自分の体力はヒールで回復するように』
あ、魔力が一気に満タン近くまで回復した!!
『お兄ちゃん、ありがとう!!』
お兄ちゃん、ずっと裏で動きながら私たちを見守ってくれているんだ。
「魔法がどうして使えないのよ!! あなたたち、神官なんだから、私を守りなさいよ!!」
せっかくの気分が台無しだ。
ここから少し離れた位置にいるいるマクレミーサが煩い。
あいつ…魔法が使えないせいで追い詰められたこともあって、リノアにやったような行為を、今度は神官たちにやってる。
マクレミーサのせいで、3人の神官がタルパに憑かれてしまい、仲間割れを起こした。しかも、憑かれた神官全員が攻撃魔法を味方に放とうとして、そこにタルパたちの襲撃も加わってきたから、他の神官たちはタルパもろとも、仲間を殺してしまった。
そのせいで、全員が彼女を見放した。
やっぱり、マクレミーサは最低だ。
「巫山戯るな!! 我が身可愛さのために、我々の仲間を投げ出すような非道な輩など守れるか!! お前は、タルパの親玉と相打ちでもして、ここで死ね。あとは、私たちで説明しておく。それが、一番都合の良い展開だ」
最低だ、この人たちも自分のことしか考えていない。タルパは、そういった負の感情を持つ人々に引き寄せられるせいで、今では全体の7割くらいが神官たちの方に行ってる。
「マクレミーサ、無駄口を叩くのなら邸内に入れ!! お前らが無駄口を叩くせいで、タルパたちがこっちに集まってきているんだぞ!!」
ジェイコブ先生、凄。相手は侯爵令嬢なのに、命令してる。
「うっさいわね!! 入れないから言ってんのよ!! 平民のジェイコブ先生が、私の盾になりなさいよ!!」
精霊様が、中に入れないようにしているんだ。
「君というやつは…」
ジェイコブ先生だけじゃなく、他の神官たちも、マクレミーサの本性を見て絶句してる。ただ、ジェイコブ先生以外の神官たちも屑だ。混乱の中、私たちに鞍替えして、マクレミーサに全責任を負わせようとしてるもん。
「おい、そこの2人、気をつけろ!! タルパが後方から襲ってくるぞ!!」
「ぎゃああ~~」「ぐ!!」
タルパたちが攻撃方法を変えて、普通に相手を殺しにきてる。せっかくジェイコブ先生が声をかけたのに、マクレミーサの方へ意識を向けていたから気づくのに遅れ、お腹を貫かれて絶命した。
「最悪、この役立たず!!」
最悪なのは、マクレミーサだ。神官たちが彼女から離れていくせいで、タルパがあいつの周辺に集まりつつある。変な悲鳴をあげて必死に逃げ回っているけど、あのままだと憑かれるか殺されるのどちらかになる。このまま放置すれば、自滅するのも時間の問題だけど、それでいいのかな?
彼女を見ると、誰も助けてくれないせいで、さっきまでの強がりが消え失せて、泣きながら必死になってタルパから逃げ回ってる。
「ルティナ、変なこと考えてない?」
リノアが、私に話しかけてきた。
「別に…」
動揺して、そっけない返事になった。
「あれは、あの人の自業自得。私を殺し、あなたを欺いたのだから」
「……」
それはわかってるけど、このまま見殺しにしてもいいのかな?
なんだか、胸がモヤモヤする。
あの人は間違いなく私たちの敵だけど、このまま放っておいたら間違いなくタルパに食べられる。
[見殺しにする]、この選択が正しいの?
「ルティナ、危ない!?」
しまった、いつの間にか余所見してた!?
リノアが、私の後方にいるタルパをやっつけてくれた。
「ありがとう、リノア」
そう言うと、リノアは苦笑する。
「もう、あなたの好きにしていいんじゃない?」
「へ?」
突然、何を言ってるの?
「リョウトさんが言ってたよ。『心に迷いがあると、魔法効果も薄くなる』って。エリアヒールの力が、少しずつ低下してる」
「あ……」
私の好きに動いていいのかな?
【悪い人たちであっても死なせたくない】、これが私の本音。
でも、マクレミーサはリノアを殺した。
お兄ちゃんがいなかったら、私も殺されてた。
あんな奴を助ける必要があるの?
でも、彼女の窮地をこの目で確認すると、どうしても助けたいという気持ちが生まれちゃうよ。
「このまま見捨てたら、マクレミーサと同じになっちゃう。それだけは、嫌。でも、彼女を許せない…あいつを殺したいと思う自分がいるの」
「それは、私も同じ気持ちだよ。だったら、聖女様や教皇様に裁いてもらおうよ。あの人たちなら、正しい判断をしてくれる」
「他人任せにしていいの?」
「あいつは光精霊様に嫌われ、もう二度と光と聖魔法を使えない。それが更なる証拠となって、マクレミーサの嘘も完全に暴かれる。今は、それで十分」
リノア…光精霊様、マクレミーサを助けていいですか?
私は顔を見上げ空に祈ると、精霊様が姿を見せてくれた。
『いいよ』
『ルティナなら言うと思った』
『いざとなれば、リョウトが助けてくれる』
『マクレミーサを助けていいよ』
ありがとう、光精霊様。
「助けに行ってくる!!」
「わかった」
私はマクレミーサのいる方へ駆け出す。
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