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25話 これも何かの縁かな
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今はアイリお姉さんもいる。
僕は彼女を見ると、先程まで浮かべていた警戒心が消えている。
「ノア、話し相手くらいならいいんじゃない?」
「いいの? 観光とか出来ないよ?」
「構わないわよ。貴族と話し合うのも面白そうだしね」
アイリお姉さんがいいのなら、僕もOKかな。
「マルティナ、話し相手だけなら別にいいよ」
「ほ…本当!」
断られると思っていたのか、マルティナは喜びと同時に、かなり驚いている。
「うん。今日は夕方までなら、お付き合いできるよ」
遅くなるようなら、勧誘で言えばいいしね。それに、その気になれば、リルルお姉さんの召喚で、僕ごとアイリお姉さんを召喚させればいいし。
そう言うと、マルティナは僕の両手を握ってきて、可愛く微笑む。
「ありがとう、ノア!」
1人になるのが、そこまで嫌なの? 僕も生まれてから少しの間、1人で生活していたけど、あの時は特に何も感じなかった。でも、仲間が出来た今だと、1人になると、寂しさと孤独感を強く感じる。マルティナは、これを感じたくないってことか。
「僕は、マルティナ様って言った方がいいの?」
「マルティナで言いわよ」
「了解。両親は、いつから出かけるの?」
「明日の朝からよ。私の両親は領地こそないけど、商会を経営しているの。詳しくわからないけど、取引先の村の名産トマトが大豊作で、このまま出回ると値崩れを起こすところを、子供に助けられたんですって」
トマト!?
僕の善行が、ここで活きてくるの!?
「しかも、その子がトマトケチャップていう調味料をその場で開発して、そのレシピを村人に教えて、権利を全てあげたって言うじゃない。その話を聞いて、お父様もお母様も、急いで王都からこの街へ来たのよ」
う~ん、『その子供は僕です』と言っても、絶対信じてくれないよね。ここは黙って、話を聞いておこう。
「私も面白そうと思い観光で来たけど、今度は2人して村の方へ移動して、トマトケチャップに関わる対策会議を開くことになって、しばらく泊まり込みになるから、その期間中、私はこの街の別荘で留守番になったの」
ある意味、僕のせいだね。せめてもの罪滅ぼしで、この子の話し相手になってあげよう。今日は大丈夫として、明日以降に関しては、みんなと要相談だ。
「なるほどね。マルティナの別荘って、ここから近いの?」
「ええ、一番治安のいい中央区にあるわ。お昼までは時間もあるし、冒険者ギルドに行っていいかしら? 受付の人に、依頼を取り下げるよう伝えておきたいの」
「了解、行こう」
僕たちは歩き出すと、メイドの女性が僕に自己紹介してくれた。彼女の名前はナディア、18歳で護衛兼メイド、『マルティナ様のお友達になって頂き、誠にありがとうございます』と言われた時、僕も嬉しかったので、『せっかくお友達になったのだから、彼女と手を繋いで冒険者ギルドへ行っていいですか?』と言ったら、『ええ、勿論』と許可してくれた。
「ちょっと、なんでナディアに許可を求めるのよ?」
「護衛だから?」
「私に言いなさい……まあ、いいわよ、手を繋ぐくらい」
マルティナは顔を赤くして、僕と手を繋いでくれた。アイリお姉さんとナディアさんは、その光景を後ろから、微笑ましい顔で見ていた。
○○○
僕たちは冒険者ギルドに到着して、受付嬢スズナさんのもとへ行き、マルティナが自分の事情を打ち明けて、依頼を取り下げて欲しいと訴える。
「迷惑をかけてごめんなさい」
「いえいえ、そういったご事情なら仕方ありませんよ。平民の皆さんは貴族と知ると、気後れしてしまいますから」
気後れ…か。ミサお姉さんとレアナお姉さんは、少し違う。王族貴族は、自分たちの理になるためなら、お世話になった冒険者であっても裏切ると、僕は聞いている。まあ、彼女が裏切るとは思えないけど、この忠告に関しては心に刻んでおこう。
「話し相手が冒険者最年少のノア君なら、問題ありませんね。依頼を取り下げておきます」
「お願いするわ」
スズナお姉さんが職員の男性に依頼取り下げをお願いすると、彼はすぐに掲示板へと行き、1枚の紙を外す。
「はい、これで取り下げ完了です。ところで、ノア君」
「何?」
スズナお姉さんが、僕の右肩に乗っているアイリお姉さんを見ている。
「そちらにいるのは、風精霊のアイリ様ですよね?」
「そうだよ。リルルお姉さんの不調の原因がわかったんだ。今、この街には、水精霊のセインお姉さんもいるよ」
「風精霊のアイリよ。その様子だと、リルルから聞いているようね」
「はい。つい先程まで、ギルドマスターと話しておりました。今は、管理人のテオさんのもとへ行っています」
もう、そこまで話が進んでいるんだ。
「そう…はっきり言っておくわ。リルルに悪さを働いた奴、そいつが誰であろうとも、絶対に見つけ出して地獄を見せてあげる。邪魔する奴がいたら、そいつらのステータスを全て封印するから」
なんだろう、アイリお姉さんから負のオーラが出まくっているし、何より右肩が重い。周囲にいる人たちも、彼女の言葉が本気であると理解したのか身震いしている。
「あはは…ステータスの封印って…冗談…ですよね?」
「本気よ。リルルを好む精霊って、かなりいるの。皆が力を合わせれば、召喚されなくても可能なのよ。精霊を舐めないでほしいわね」
やっぱり、本気で言っているよ、アイリお姉さん。
リルルお姉さん、どれだけの数の精霊と契約しているの?
多分、皆も僕と同じことを思っているに違いない。
近くにいるマルティナも怖がって、ナディアさんに抱きついている。
僕たちは受付を離れると、緊張していたマルティナの雰囲気が一気に緩み、顔も緩んでいく。
「ノア。あなたの友達のリルルさんって、ランクCのパーティー銀狼のリルルさん?」
「そうだよ。不調で精霊魔法を使えなくなっていたから、今はパーティーから離脱しているんだ。僕と仲間たちがその不調の原因を解明したことで、お友達になってくれた。今は、とある依頼を遂行中だから会えないよ」
最低でも、爆発事故の件が片付かない限り、会えないと思う。
「そ、そうなんだ。誰が、そんな凄い人に悪さをしたのよ」
「誰だろうね。わかった瞬間、その人は世界中の精霊から嫌われるかもね」
「あははは」
マルティナは僕の冗談を真に受けたのか、アイリお姉さんを見て苦笑いだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《ノアの善行日記》
生後14日目
善行:なし
僕の残り寿命:109日
依頼を取り下げたし、これからどうしよう?
話し相手だから、一応マルティナの両親に
会っておいた方がいいような気もするけど?
僕は彼女を見ると、先程まで浮かべていた警戒心が消えている。
「ノア、話し相手くらいならいいんじゃない?」
「いいの? 観光とか出来ないよ?」
「構わないわよ。貴族と話し合うのも面白そうだしね」
アイリお姉さんがいいのなら、僕もOKかな。
「マルティナ、話し相手だけなら別にいいよ」
「ほ…本当!」
断られると思っていたのか、マルティナは喜びと同時に、かなり驚いている。
「うん。今日は夕方までなら、お付き合いできるよ」
遅くなるようなら、勧誘で言えばいいしね。それに、その気になれば、リルルお姉さんの召喚で、僕ごとアイリお姉さんを召喚させればいいし。
そう言うと、マルティナは僕の両手を握ってきて、可愛く微笑む。
「ありがとう、ノア!」
1人になるのが、そこまで嫌なの? 僕も生まれてから少しの間、1人で生活していたけど、あの時は特に何も感じなかった。でも、仲間が出来た今だと、1人になると、寂しさと孤独感を強く感じる。マルティナは、これを感じたくないってことか。
「僕は、マルティナ様って言った方がいいの?」
「マルティナで言いわよ」
「了解。両親は、いつから出かけるの?」
「明日の朝からよ。私の両親は領地こそないけど、商会を経営しているの。詳しくわからないけど、取引先の村の名産トマトが大豊作で、このまま出回ると値崩れを起こすところを、子供に助けられたんですって」
トマト!?
僕の善行が、ここで活きてくるの!?
「しかも、その子がトマトケチャップていう調味料をその場で開発して、そのレシピを村人に教えて、権利を全てあげたって言うじゃない。その話を聞いて、お父様もお母様も、急いで王都からこの街へ来たのよ」
う~ん、『その子供は僕です』と言っても、絶対信じてくれないよね。ここは黙って、話を聞いておこう。
「私も面白そうと思い観光で来たけど、今度は2人して村の方へ移動して、トマトケチャップに関わる対策会議を開くことになって、しばらく泊まり込みになるから、その期間中、私はこの街の別荘で留守番になったの」
ある意味、僕のせいだね。せめてもの罪滅ぼしで、この子の話し相手になってあげよう。今日は大丈夫として、明日以降に関しては、みんなと要相談だ。
「なるほどね。マルティナの別荘って、ここから近いの?」
「ええ、一番治安のいい中央区にあるわ。お昼までは時間もあるし、冒険者ギルドに行っていいかしら? 受付の人に、依頼を取り下げるよう伝えておきたいの」
「了解、行こう」
僕たちは歩き出すと、メイドの女性が僕に自己紹介してくれた。彼女の名前はナディア、18歳で護衛兼メイド、『マルティナ様のお友達になって頂き、誠にありがとうございます』と言われた時、僕も嬉しかったので、『せっかくお友達になったのだから、彼女と手を繋いで冒険者ギルドへ行っていいですか?』と言ったら、『ええ、勿論』と許可してくれた。
「ちょっと、なんでナディアに許可を求めるのよ?」
「護衛だから?」
「私に言いなさい……まあ、いいわよ、手を繋ぐくらい」
マルティナは顔を赤くして、僕と手を繋いでくれた。アイリお姉さんとナディアさんは、その光景を後ろから、微笑ましい顔で見ていた。
○○○
僕たちは冒険者ギルドに到着して、受付嬢スズナさんのもとへ行き、マルティナが自分の事情を打ち明けて、依頼を取り下げて欲しいと訴える。
「迷惑をかけてごめんなさい」
「いえいえ、そういったご事情なら仕方ありませんよ。平民の皆さんは貴族と知ると、気後れしてしまいますから」
気後れ…か。ミサお姉さんとレアナお姉さんは、少し違う。王族貴族は、自分たちの理になるためなら、お世話になった冒険者であっても裏切ると、僕は聞いている。まあ、彼女が裏切るとは思えないけど、この忠告に関しては心に刻んでおこう。
「話し相手が冒険者最年少のノア君なら、問題ありませんね。依頼を取り下げておきます」
「お願いするわ」
スズナお姉さんが職員の男性に依頼取り下げをお願いすると、彼はすぐに掲示板へと行き、1枚の紙を外す。
「はい、これで取り下げ完了です。ところで、ノア君」
「何?」
スズナお姉さんが、僕の右肩に乗っているアイリお姉さんを見ている。
「そちらにいるのは、風精霊のアイリ様ですよね?」
「そうだよ。リルルお姉さんの不調の原因がわかったんだ。今、この街には、水精霊のセインお姉さんもいるよ」
「風精霊のアイリよ。その様子だと、リルルから聞いているようね」
「はい。つい先程まで、ギルドマスターと話しておりました。今は、管理人のテオさんのもとへ行っています」
もう、そこまで話が進んでいるんだ。
「そう…はっきり言っておくわ。リルルに悪さを働いた奴、そいつが誰であろうとも、絶対に見つけ出して地獄を見せてあげる。邪魔する奴がいたら、そいつらのステータスを全て封印するから」
なんだろう、アイリお姉さんから負のオーラが出まくっているし、何より右肩が重い。周囲にいる人たちも、彼女の言葉が本気であると理解したのか身震いしている。
「あはは…ステータスの封印って…冗談…ですよね?」
「本気よ。リルルを好む精霊って、かなりいるの。皆が力を合わせれば、召喚されなくても可能なのよ。精霊を舐めないでほしいわね」
やっぱり、本気で言っているよ、アイリお姉さん。
リルルお姉さん、どれだけの数の精霊と契約しているの?
多分、皆も僕と同じことを思っているに違いない。
近くにいるマルティナも怖がって、ナディアさんに抱きついている。
僕たちは受付を離れると、緊張していたマルティナの雰囲気が一気に緩み、顔も緩んでいく。
「ノア。あなたの友達のリルルさんって、ランクCのパーティー銀狼のリルルさん?」
「そうだよ。不調で精霊魔法を使えなくなっていたから、今はパーティーから離脱しているんだ。僕と仲間たちがその不調の原因を解明したことで、お友達になってくれた。今は、とある依頼を遂行中だから会えないよ」
最低でも、爆発事故の件が片付かない限り、会えないと思う。
「そ、そうなんだ。誰が、そんな凄い人に悪さをしたのよ」
「誰だろうね。わかった瞬間、その人は世界中の精霊から嫌われるかもね」
「あははは」
マルティナは僕の冗談を真に受けたのか、アイリお姉さんを見て苦笑いだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《ノアの善行日記》
生後14日目
善行:なし
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依頼を取り下げたし、これからどうしよう?
話し相手だから、一応マルティナの両親に
会っておいた方がいいような気もするけど?
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