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第一章 姪との出会い
15話 兄との再会
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《理》って何でしょうか?
それを知らないというだけで、アルテイシア様が気絶しました。
「あのお母様が気絶するなんて…ルーテ、本当に《理》を知らないの?」
「ええ、知りません…チェルシーは知っているの?」
今の私にとって、《理》という言葉はかなり重要のようね。
「うん、お母様から聞いているわ。精霊は人と違って繊細で尊く、世界を支える上で重要な存在、生まれた当初は人間で言うところの十歳前後の知能しかない。だから、生まれた際は暴走が起きないよう、必ず精霊としての常識が自動的に刻まれる。それが《理》、これがあるからこそ、精霊はどこで生まれようとも生きていけるの。ルーテの場合、生まれた場所がルーテシア叔母様のいた牢屋区画、普通の子供なら発狂してもおかしくない場所だね。しかも、精霊じゃなくて人としての理が刻まれているからおかしいの」
あはは、確かに十歳の何も知らない子供が牢屋の中で目覚めた場合、最悪発狂してもおかしくないわね。私の場合、生前の記憶があるから、精霊としての理が刻まれなかったのね。生前、学園で精霊の格や魔法について少しだけ学び、基本的なことは知っていますわ。かといって、現時点で流石にそこまで説明できません。私自身、どうして生前の記憶を維持したまま精霊に転生したのかもわかりませんから。
「私が特異精霊以上の存在で、精霊としての理を持っていないからショックで気絶したわけね」
もしかしたら、私の中に目覚めつつある力、これが《理》の一部かもしれませんね。ルーテシアの記憶があるせいで、何らかの弊害が生じているのかもしれません。
「ルーテは私と同じくらいの女の子にしか見えないよ。そんな尊い存在なのかな~?」
チェルシー、何気に失礼なことを言ってませんか?
「私に聞かないでください。未だに第三位以上の精霊なのか、自分でもわからないのですから」
アルテイシア様は五分程で気絶から復帰したのだけど、やはり顔色が悪いです。そこから話を聞いた限り、精霊が暴走してしまうと、かなりの被害が生じるらしく、特に特異以上は一国を滅ぼす程の力があるそうです。
彼女に安心感を持ってもらうため、私は自分の知る一般常識や自分の意志で感情を制御できること、目覚めつつある力が精霊としての《理》だと思うことを口にしたことで、暴走の恐れはないことを理解してくれたのか、顔色も良くなりました。
せっかくなので、『私に対して《様》だけは付けないでください』とお願いしたら、渋々納得してくれました。彼女の反応から、自分は本当に特異以上の精霊なのかもしれません。その正体をはっきりさせるためにも、一度フューイ様にお会いしないといけませんわね。
ずっと話を続けていたこともあり、オースコット家別邸の敷地内に入ったのか、馬車が静かに止まりました。窓から見た限り、男爵家の別邸のためか、敷地面積はそこまで広くなく、屋敷自体も平民のものよりかなり立派ですが、高位貴族のものと比べると見劣りしますね。
ここに……お兄様がいるのね。
「あら、もう到着したのね。ルーテ暴走の懸念もなさそうだし、今日はゆっくりと休みましょう。さあ、チェルシもルーテも降りて、降りて」
この扉を開けたら、そこにお兄様がいるのかもしれない。
私にとっては数ヶ月ぶりの再会、胸が凄くドキドキします。
「やった!! 二ヶ月ぶりにお父様に会える!! ほら、ルーテも行こうよ!!」
「え…ええ」
チェルシーに続き、私が馬車から降りると、そこには……
○○○
あ…あ…お兄様…ですわ。
十八年経過しているため、身体全体ががっしりと逞しくなっており、十九歳で若干の幼さを残していた顔も精悍なものになっていますが、全ての女性を癒してくれるあの爽やかさだけは今も健在のようです。
「お~我が娘、チェルシ~~~会いたかったぞ~~~~」
デレ~っとしたあの顔、お父様にそっくりですわ。
まさか、私がいるのに《アレ》を始めるのでは?
「お父様~~~」
チェルシーがお兄様のもとへ行くと、彼は軽々と自分の娘を抱き上げました。
「ははは、十三歳の誕生日おめでとう~~~」
チェルシーの顔が真っ赤ですわ。小さい頃、私の父も私や兄と三日会えなかっただけで寂しくなったのか、必ずああやって抱っこされ、最終的に抱きしめられるのです。今のお兄様は、お父様を見ているようですわ。
「お、お父様、私はもう十三歳なんですよ!! 抱き上げないでください!! 私の友達もいるのに抱きしめないでください。恥かしいです!!」
さすがのチェルシーも十三歳のためか、かなり恥ずかしいようですね。
まあ、私もいますからね。
「うん、お客様?」
「そうよ、こんな可愛いお客様もいるのだから、感動の再会はそこまでよ」
アルテイシア様が注意すると、お兄様の視線が私に向きました。
「ほう、これは可愛いお客様だ。はじめまして、私は当主のロイド・オースコット」
いつ見ても、惚れ惚れするほどのご挨拶です。
お兄様とお話しする際、感極まって泣くのだけは回避しないといけません。
私としては全てを明かしたいところですが、自分自身の正体を掴めぬまま、全てを暴露させた場合、お兄様たちにどんな被害が被るのか不明です。私自身が自分の素性を知るまでは、絶対に黙秘を貫きましょう!!
自分の感情を制御しなければ!!
「ロイド様、初めまして、ルーテと申します」
私がフォンテンス侯爵家で教えられた挨拶をすると、彼の顔が固まりました。
「ああ…すまない。君から感じる雰囲気や仕草が、知り合いに似ていてね」
それって、《私》を指していますよね?
「ロイド、ラルカーク様とルーテのことで少し話し合いたいの。それが片付いてからパーティーを始めましょう」
アルテイシア様の表情は真剣そのもの、お兄様も気づいたのか、真剣なものへと変化します。
「何かあったようだな。パーティーまでは、時間もある。応接室で話し合おう」
私達は庭園を歩いていき、邸内へと入っていきます。
今日起きた出来事をお兄様に伝え、今後チェルシーに起こる変化について、じっくりと話し合いましょう。私が勝手に行動を起こした以上、責任を取らないといけませんね。
それを知らないというだけで、アルテイシア様が気絶しました。
「あのお母様が気絶するなんて…ルーテ、本当に《理》を知らないの?」
「ええ、知りません…チェルシーは知っているの?」
今の私にとって、《理》という言葉はかなり重要のようね。
「うん、お母様から聞いているわ。精霊は人と違って繊細で尊く、世界を支える上で重要な存在、生まれた当初は人間で言うところの十歳前後の知能しかない。だから、生まれた際は暴走が起きないよう、必ず精霊としての常識が自動的に刻まれる。それが《理》、これがあるからこそ、精霊はどこで生まれようとも生きていけるの。ルーテの場合、生まれた場所がルーテシア叔母様のいた牢屋区画、普通の子供なら発狂してもおかしくない場所だね。しかも、精霊じゃなくて人としての理が刻まれているからおかしいの」
あはは、確かに十歳の何も知らない子供が牢屋の中で目覚めた場合、最悪発狂してもおかしくないわね。私の場合、生前の記憶があるから、精霊としての理が刻まれなかったのね。生前、学園で精霊の格や魔法について少しだけ学び、基本的なことは知っていますわ。かといって、現時点で流石にそこまで説明できません。私自身、どうして生前の記憶を維持したまま精霊に転生したのかもわかりませんから。
「私が特異精霊以上の存在で、精霊としての理を持っていないからショックで気絶したわけね」
もしかしたら、私の中に目覚めつつある力、これが《理》の一部かもしれませんね。ルーテシアの記憶があるせいで、何らかの弊害が生じているのかもしれません。
「ルーテは私と同じくらいの女の子にしか見えないよ。そんな尊い存在なのかな~?」
チェルシー、何気に失礼なことを言ってませんか?
「私に聞かないでください。未だに第三位以上の精霊なのか、自分でもわからないのですから」
アルテイシア様は五分程で気絶から復帰したのだけど、やはり顔色が悪いです。そこから話を聞いた限り、精霊が暴走してしまうと、かなりの被害が生じるらしく、特に特異以上は一国を滅ぼす程の力があるそうです。
彼女に安心感を持ってもらうため、私は自分の知る一般常識や自分の意志で感情を制御できること、目覚めつつある力が精霊としての《理》だと思うことを口にしたことで、暴走の恐れはないことを理解してくれたのか、顔色も良くなりました。
せっかくなので、『私に対して《様》だけは付けないでください』とお願いしたら、渋々納得してくれました。彼女の反応から、自分は本当に特異以上の精霊なのかもしれません。その正体をはっきりさせるためにも、一度フューイ様にお会いしないといけませんわね。
ずっと話を続けていたこともあり、オースコット家別邸の敷地内に入ったのか、馬車が静かに止まりました。窓から見た限り、男爵家の別邸のためか、敷地面積はそこまで広くなく、屋敷自体も平民のものよりかなり立派ですが、高位貴族のものと比べると見劣りしますね。
ここに……お兄様がいるのね。
「あら、もう到着したのね。ルーテ暴走の懸念もなさそうだし、今日はゆっくりと休みましょう。さあ、チェルシもルーテも降りて、降りて」
この扉を開けたら、そこにお兄様がいるのかもしれない。
私にとっては数ヶ月ぶりの再会、胸が凄くドキドキします。
「やった!! 二ヶ月ぶりにお父様に会える!! ほら、ルーテも行こうよ!!」
「え…ええ」
チェルシーに続き、私が馬車から降りると、そこには……
○○○
あ…あ…お兄様…ですわ。
十八年経過しているため、身体全体ががっしりと逞しくなっており、十九歳で若干の幼さを残していた顔も精悍なものになっていますが、全ての女性を癒してくれるあの爽やかさだけは今も健在のようです。
「お~我が娘、チェルシ~~~会いたかったぞ~~~~」
デレ~っとしたあの顔、お父様にそっくりですわ。
まさか、私がいるのに《アレ》を始めるのでは?
「お父様~~~」
チェルシーがお兄様のもとへ行くと、彼は軽々と自分の娘を抱き上げました。
「ははは、十三歳の誕生日おめでとう~~~」
チェルシーの顔が真っ赤ですわ。小さい頃、私の父も私や兄と三日会えなかっただけで寂しくなったのか、必ずああやって抱っこされ、最終的に抱きしめられるのです。今のお兄様は、お父様を見ているようですわ。
「お、お父様、私はもう十三歳なんですよ!! 抱き上げないでください!! 私の友達もいるのに抱きしめないでください。恥かしいです!!」
さすがのチェルシーも十三歳のためか、かなり恥ずかしいようですね。
まあ、私もいますからね。
「うん、お客様?」
「そうよ、こんな可愛いお客様もいるのだから、感動の再会はそこまでよ」
アルテイシア様が注意すると、お兄様の視線が私に向きました。
「ほう、これは可愛いお客様だ。はじめまして、私は当主のロイド・オースコット」
いつ見ても、惚れ惚れするほどのご挨拶です。
お兄様とお話しする際、感極まって泣くのだけは回避しないといけません。
私としては全てを明かしたいところですが、自分自身の正体を掴めぬまま、全てを暴露させた場合、お兄様たちにどんな被害が被るのか不明です。私自身が自分の素性を知るまでは、絶対に黙秘を貫きましょう!!
自分の感情を制御しなければ!!
「ロイド様、初めまして、ルーテと申します」
私がフォンテンス侯爵家で教えられた挨拶をすると、彼の顔が固まりました。
「ああ…すまない。君から感じる雰囲気や仕草が、知り合いに似ていてね」
それって、《私》を指していますよね?
「ロイド、ラルカーク様とルーテのことで少し話し合いたいの。それが片付いてからパーティーを始めましょう」
アルテイシア様の表情は真剣そのもの、お兄様も気づいたのか、真剣なものへと変化します。
「何かあったようだな。パーティーまでは、時間もある。応接室で話し合おう」
私達は庭園を歩いていき、邸内へと入っていきます。
今日起きた出来事をお兄様に伝え、今後チェルシーに起こる変化について、じっくりと話し合いましょう。私が勝手に行動を起こした以上、責任を取らないといけませんね。
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